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読まれる日常と、読む非日常。  作者: 金木犀
弐:これから始まりを告げる為に幕が上がる。
20/46

――時間経過。外と中では、当然違う。(後)

十二話目(後編)を更新しました!!


いつも読んでくださっている方、ありがとうございます。


それでは後編お楽しみください。

事の発端は月が編の事を友達に話したことからだという。

その友達は編に興味を凄く持ったらしく、

『是非、見たい』

そう言った友達は自分の我儘を聞いてもらう代わりに、編の服装に関することを解決するという交渉を提案し、月はそれを飲み込んだと、そんな一連の流れが、俺が高校で勉強している時に、月の中学で起きたらしい。

その友達はコーディネーターの母親を持つ子で家は服屋営んでいるという。

幻影の服装というは特殊なもので、人間が普段に着ている服装とは材質などが異なり、その分当然、値段も跳ね上がる。

裕福な暮らしをしているわけではない俺たちにとってはありがたく、嬉しい話だった。

月は日時まで決め、計画通り休日はお世話になる服屋に行くとなっていたのだが、



「でもさ、つづり。カタログを持って帰ってきてくれた本人のつっきーがいないってのはいいの?」

「悪いだろうな。でも、仕方ない――」

今日が約束の日。それを決めた本人は。

「起きなかったんだから」

「つっきーらしいね」

「個性的なのはその人の魅力だけど、あまり個性的過ぎるのも仇となるからな。編も周りに流されないように、それでも上手く流れるんだぞ」

「それ、難しくない!?」

頼りなのは手書きの地図だけ。前にも言ったように俺は地図を読むのが苦手で、今日は目的地まで月が案内してくれると安心していたのだが、それはもう無理なこと。

過ぎたことを言ったって、現状は解決に転がらない。

「遅れたりしたら気を悪くさせて、安く売ってくれないかもしれないからな、月を置いてきて正解だったかもしれない」

「でも、つっきーのお友達なんだよね?ーー 絶対、手作りのマドレーヌとか出す人だよ」

「まぁ、うん。――いや、そうか?」

「つっきーの感じからして、お友達は温厚な人だと手前は思うなぁ」

「でも、あれだぞ? 月のコミュ力は底知れないからな。案外、コンビニに売っているクッキーとか、そこら辺を出す人だったりして」

月の交友関係には、あまり触れたことがなかった。と言うのも、自分が精神的に不安定な時期に妹の交友関係などは一切眼中になく、そんな事よりも自分の交友関係の方が優先的だった。

高校に入学した今、妹の周囲まで気にかける事が出来るという事は、昔より自分が精神的に安定してきているという証拠あり、自分を取り巻く周囲の環境変化でもあった。

結果、目的地に着くまでに想像した月のお友達というのが、


・口調は優しく、穏やか。

・趣味はお菓子作り。

・家でもフリルのついたお洒落なドレス。

・キューティクルな黒髪。

・童顔で可愛い。


この五つ。

俺と編の想像力になれば、ここまで月の友達を見らずとも表現する事が出来る。

――マドレーヌにはどんな飲み物が合うだろうか。

――紅茶じゃない?

そんな話をしているうちに、一際目立っているお洒落な服屋が見えてきた。 不安だった道のりをなんとか紙一枚で乗り越えたと思うと自分の成長した姿を分かりやすく表現しているようで、嬉しかった。


ピンポーン。

一般的な音のインターホンが響いた。

店自体はまだ開店してはいなくて、そのため裏口であって玄関のインターホンを鳴らす事になった。

反応は早かった。

ガチャリ。

ゆっくりと開く扉から顔を覗かせたのは、俺と編で想像した通りの――

「やっほー! キタキタ、やっとキタねぇ! もう、待ちくたびれちゃったじゃないか! ――お⁉ その赤い髪のツインテールの子は……編ちゃん! 編ちゃんだろ⁉ おぉ、すごいすごい! めっちゃ可愛いじゃん! 噂通りだよ!」

想像をはるかに超えていた。

顔を覗かせたのは、上下灰色のスウェット姿に、髪色はまさかの金髪、そして口調に穏やかさは見られない荒れた海のような抑揚。それに、見るからに俺より年上に見える色っぽさがあった。

顔合わせ数秒で、想像していた五つのうち四つを粉々にされてしまう。

「ね、ねぇ。つづり……」

「あぁ、分かってる。 ――あの!  今日、お世話になる十七夜と、編です。よ、よろしく――お願いします……」

月のお友達ということは、俺の一個下という事になる訳で、敬語を使うのには少し違和感を感じるんだと思うのだが、『色っぽいお姉さん』みたいな月のお友達には、逆にタメ口を使う方が違和感を感じてしまい、色々と自分の頭の中で混乱が起こりそうな為、最終的には頭を下げ敬語を使った。

「そんな丁寧に挨拶しなくてもいいよ! 君が十七夜君だね⁉ ――おぉ、兄妹似てない‼ まぁ、こんなところで立ち話もなんだから入りなよっ」

うん、この会話に敬語というのはいらないらしい。

近所のお姉さんと会話しているように感じさせ、想像した姿とは真逆である月のお友達は、キョトンとしている俺と編を歓迎してくれた。

――趣味、何ですか?

なんて、怖くて聞けない。


「さあさあ! 汚いところだけど、汚いとか思ったら怒るからなぁ!」

慣れた手つきで部屋の電気が付けられた。

案内されたその部屋は、お洒落な洋服が何着も展示されており、服屋のスタッフルームのようだった。

「そこら辺に適当に座ってくれよっ。結構、もふもふな絨毯引いてっから大丈夫だろ?」

椅子も机もないこの部屋に月のお友達は、見渡して粗方、散らかっていない所を指差して言った。

俺は言われた通りの場所に胡座をかいて座った。

ここまでフレンドリーな人だと変に緊張していた事が、なんだか可笑しく思えてくる。

編は部屋に展示されている洋服に目を輝かせ、一通り眺めた後、座った。

「可愛い洋服ばっかりだね」

「うん、そうだな。――じゃなくて、どこに座ってんだ!」

「どこって……ここ」

編みは俺の両膝をポンポンと叩いた。

胡座をかいて座っている俺の上に、上手い具合にフィットしている編。元々、編が座ることを考えた上で胡座をかいたかのように。それぐらいマッチしていた。

「はっはっは! 君たちは仲が良いんだな! なんだなんだ⁉  君たちは、付き合っているのかっ?」

「いやいや、そんな事は――」

反射的に立ち上がろうとしたが、編がそこにいるため不動だった。

「つづりって、恥ずかしがり屋さんだから」

「編さん⁉」

「それならそうと早く言ってくれよ! 二人きりの大切な時間を私が邪魔しているみたいじゃないかっ」

この後の説得も効果は無効で、月のお友達には、俺と編が『恋人』という設定付けられてしまった。

「まぁ、それはそうと――」

話が逸れていく状況に、月のお友達は自ら区切りを付け、本題へと切り込んだ。

「編ちゃんはどんな服装を希望するんだ?」

「えっとね――」

分厚いカタログに栞を付けているページを開き、月のお友達に見せた。

「おぉ、なかなか良いセンスをしてるんじゃん? うんうん、編ちゃんにはチョー似合うと思うよ!」

「えへへ」

まだ実際に着てもいないに、似合っていると褒められた編の表情は綻んでいた。

「ちょっと、俺にも見せてくれよ」

分厚いカタログに手を伸ばそうとした時、座っている(ちゃんと俺の横に座らせた)編が俺の腕を掴み、

「だめ! お楽しみなんだから」

気になってしょうがないカタログに触れる事を許してはくれなかった。

それから俺を抜いた二人は、編が着る衣服の話で盛り上がっていき、ポツンとその状況に置いていかれている俺は挙げ句の果てに、『ここからは女の子トークっ‼』

と、追い出されてしまった。


最後まで読んでいただきありがとうございます。


どうでしょうか、ここまでの流れ。

読者の皆様に続きが気になると思っていただけたら、嬉しいのですが!


梅雨の天気には、気分がどんよりとしてしまいます。

が、負けずと、執筆はしていきたいと思います!


次話は六月二十七日に更新する予定ですでの、

お付き合いの程よろしくお願いします。


ぶっぶっぶ、ぶっぶっぶっぶ、ブクマ登録よろしくっ(マホトさん風に)

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