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生活魔法発展に関するお話  作者: ヒロ
0章 「はじまり」
8/30

合格発表のお話

短めです

初めほのぼのします。


こういうのをもっと書きたいんですけどねー

 今日は合格発表の日。



 エレンは相変わらず寝坊する。今日はまだガレッドも迎えに来ていない。


 すやすや眠るエレンに忍びよる1つの影。



「おやおや、まだ起きなくてもいいのかな~? うりうり~」



 そう言いながらほっぺたをぷにぷに突っつくのはエレン母。



「う~、……うん?……うーん……zzz」


「……うん、駄目だこりゃ」



 起きる気配のないエレン。意を決したようにエレン母は立ち上がる。



「うわー! ネコが空飛んでる!」



 大きな声でエレン母が叫ぶ。もちろんネコは飛んでいない。



「……ほんと!? ……捕ま…えとい…てー…………zzz」



 なぜか目を覚ますエレン。そしてすぐに眠るエレン。



「捕まえといてって……上手い返し方ねー」



 うんうんと妙なところに頷き納得するエレン母。エレンの性格は明らかに母の影響によるものだ。



「これだけはしたくなかったけど、起きないのが悪いのよ、エレン」



 そう言ってエレンに近づいていき手を伸ばす。


 そして――



「エレン、起きなさい。遅刻するわよー」



 普通にゆさゆさ揺さぶった。



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 その後、無事ガレッドと合流することができ、エンゼルシア魔法学校の校門前に到着したエレンたち。



「もうエク君いるのかな?」



 軽く背伸びしながら周りをきょろきょろと探すエレン。



「さあな、あいつのことだしいるんじゃねえか?」


「ま、そうだね」



 あまりに人が多くて探しきれない。あっさり探すのをあきらめて合格発表を見に行く2人。

 張り出されている紙には合格者の受験番号が書いてあり、その横にはクラス番号が書いてあった。


 自分たちの番号を探す。上から受験番号順に並んでいるため簡単に見つけられるはず。



「433、433っとー」


「お! あった!」



 ガレッドの432番、エレンの433番、 そしてユルスの434番が並んでいた。



「やった、受かってるー!」


 満面の笑顔で万歳するエレン。大声で叫んだため注目を浴びてしまっている。

 そしてガレッドに向かってサムズアップをしてからようやく周りに気付いた。



「あ、えっと……ははは……」


 恥ずかしがりながら笑うエレンの姿にたくさんの人が目を奪われてしまった。



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 合格してることを確認し終えて、その場をあとにしようとすると後ろから声をかけられた。


 振り返ってみると、そこにいたのはユールシス・エクリーバ。



「お~、エク君だ」


「無事みんな合格しましたね。まあギリギリみたいですけど」



 3人は帰路に着きながらしゃべり始めた。


 ギリギリとはどういうことだろう、疑問に思ったエレンはユルスに尋ねた。

 すると少し驚いたようにユルスは聞き返した。



「エレン、自分がどのクラスか見ましたか?」


「あ……忘れてた」



「ガレッドはちゃんと見ましたか?」


「あー……俺も忘れてた」



 別の物に目が奪われていたなんて言えるわけもなく、ガレッドの目は泳いでいる。


 2人の様子に思わず溜め息をついてしまうユルス。



「僕たち3人とも同じクラスでした。しかも10組(ツィーン)です」


「お~、同じクラスなんだね」


「まあそうなんですけど、問題はクラスです。どうやら成績順らしいですね」



 成績順、つまり1組(アインズ)が1番成績のいいクラスということになる。言い換えれば10組(ツィーン)が最も成績が悪いクラスなのだ。



「へ~……へ?」


 成績順で3人とも同じクラス。しかも10組(ツィーン)

 やっと状況が飲み込めたエレンが驚きの声を上げた。



「えー!? エク君、試験でいったい何したの!? ガレッドは……まあいいか」


「まあいいかって何だよ。お前も似たようなもんじゃねえか」



 実際ユルス自身も驚いている。筆記試験でも手ごたえはあったし、実技試験の内容も悪くなかったと思っている。



「自分でもよく分かりません。まあ10組(ツィーン)でも合格は合格ですからね」


「そうだな、それに1年の間だけだろ? 気にすんなよ」


「そうだよ。むしろ同じクラスで私は嬉しいな~」



 そんなことを話しながら、途中でユルスと別れた。ガレッドも親方に頼まれてる物を買いに行くとか言ってユルスについて行ってしまった。


 そのまま1人で帰る。




 家に到着してまず母親の元に向かう。この時間だと父親はギルドで働いているだろう。



「お母さん、合格してたよ~」


「おー! おめでとう、エレン」



 台所で昼食の準備をしていたエレン母が笑顔で振り向く。右手には包丁。



「ちょっと危なかったけどね……」


「危なかったの? どうして?」



「うん……それがね、10組(ツィーン)だった。でね、成績順らしいよ」


「え? あの学校、クラスは9組(ノイン)までしかないはずよ?」



「……え?」



 不思議そうに首をかしげるエレン母。右手には包丁。


 エク君が見間違えるとは思えない、そう考えたエレンは深く気にしないことにした。



「まあ、いっか」


「そうね、まだご飯までには時間あるし、お父さんにも教えてあげたら?」


「うん、じゃあ行ってきまーす」



 手を振って見送るエレン母。やはりその手には包丁。



 エレンが振り返って一言。




「……包丁あぶないよー」



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 当然エレンが向かった先は冒険者ギルド。


 扉をくぐって真っ直ぐカウンターに向かう。



 エレン父は下を向いている。エレンからは見えないが手元にある資料に目を通しているのだろう。


 エレンが声をかける。するとはっとした様子で、難しい顔が穏やかなものへと変わる。



「おお、エレン。学校の方はどうだった?」


「うん、無事受かったよ」


「そうかそうか、それは良かったなあ」



 エレン父は嬉しさのあまり目を細めてそう言った。



「でもね、10組(ツィーン)だったよ」


「……10組(ツィーン)?」



 エレン父の眉間に小さなしわが出来る。訝しげで、それでいてやはりといった面持ちを一瞬だけ見せる。


 しかしそれはエレンに気付かれないようすぐに元の穏やかな顔に戻る。



「そうか……、とにかく合格おめでとう、だな」


「うん、ありがとー」



 そして家に帰ろうと出口に足を運ぶエレンはふと依頼掲示板に目がいった。


 するとそこには見覚えのある後ろ姿があった。



 ……明らかにユルスだ。



「あれ? エク君、ここで何してるの?」


「え? エレンこそ何故ここに?」


「あー、私はお父さんに合格したのを教えにね」



 お父さんと聞いて頭に?マークを浮かべるユルス。



「エレンのお父さんはここで働いているんですか?」


「そうだよー。ほらカウンターにいる男の人」



 そう言ってカウンターを指差す。


 カウンターにはいわゆる窓口が5つ程ある。女性のギルド員が受付を担当することが多いのだが、エレン父は仕事ができるため中央カウンターを任されている。



「で、エク君はどうしてここに?」


「えー、まあちょっといろいろありまして……」



 歯切れが悪く、あまり言いたくなさそうにしている。エレンもそれを感じ取ったため、深く聞かないことにした。



「ふ~ん、まあいいけど。依頼受けるなら気をつけてね」


「ええ、分かってますよ。……それではまた」



 依頼書を手に取ってカウンターに向かい、さっさとその場をあとにするユルス。



 そして「お腹空いたなー」とエレンも帰路に着いた。






――――そして入学してすぐ、エレンに大きな困難が訪れるのだった。



エレン 「お母さん、包丁あぶないよ」

エレン母「全然あぶなくないわよ~」

エレン 「なんで?」

エレン母「だってこれ、包丁っぽく作ってもらった小剣だもの」


エレン 「…………」


ガレッド「あー、それ作ったの親方だぞ」


エレン 「……」


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