プロローグ
すべてが無駄になった
いやもとから無駄だったのだろう
気付いたのならここからだ
変えてゆけばいい
私を待つ人がいるから
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「起きろーーーーー!」
「うんんん…ねぇちゃんうるさいよ…」
「うるさいも何も、騎士見習い集合まであと20分だよ?」
「はああああああああ!?やばいやばい遅れちゃうよ!」
騎士見習いユーゴ・シャーウッドはバタバタと朝の支度を始める
こんな忙しない光景がない日など、年に数えるほどしかないだろう
「姉ちゃん支度終わったよー」
「はーい、いってらっしゃいユーゴ」
「おう!行ってきまーす!」
家を出ようとドアノブに手をかけるが、
「あ、ちょっと待って忘れ物」
姉はそう言って俺の手を握ろうとした
家に伝わるおまじないだ
無事に家に帰れるよう事を願っている
「今日はもう急ぐからそれはいいよ。じゃあもう行ってきまーす」
「あ、」
俺は姉の手を振り払って集合場所まで急いだ。
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「なんだか今日暑すぎません?もう僕甲冑着てられないですよ」
「あのなぁお前、見習いを卒業すれば今みたいな仕事量じゃ済まないんだぞ?もっと気合い入れとけ」
「へいへーい」
暑さで溶けそうになりながら村外の見回りをする
俺の担当は周りに森林がなく見晴らしもいいため魔獣や野盗に奇襲されることもなく楽なのである
「にしても熱いな。まるで真夏にストーブの前に立っているようだ」
「ちょっと兜…取っていいすか?」
「…まぁたまには許そう」
他愛もない会話をしているうち日が暮れかけてきた
「よし、撤収するぞー」
「あぁーやっと帰れるよ」
村に近づいて来るとあることに気づいた
「なんか、焦げ臭くないですか?」
「たしかに、だれか焼き芋でもやってんだろ?秋だし」
じゃあ大丈夫かと安心したところで少し目線を上げた
すると村から太いどころではない大きさの黒煙が立ち昇っていた
「いや違う!あれ見てください!黒煙があんなに…」
「急ぐぞ、ユーゴ」
駆け足で村の入り口に続く坂を駆け上がる
するとそこには何もかもが焼かれているイデリー村が
しかも家などの焦げ具合から見て結構時間がたっているはずなのに、逃げ出た人が見当たらない
背筋が凍った
姉ちゃんは?
俺は姉ちゃんがいるはずの俺の家へ突っ走る
「ユーゴ、どこ行くんだ!」
声なんて聞こえなかった
ただ一直線に走った
家に着くとそこには足から炎が出ている猪の魔獣とその仲間の猪がうつむいていた
いやうつむいているんじゃない
頭を下した先には姉ちゃんがいた
「姉ちゃん!!」
足が完全に向いてはいけないほうに曲がり、呼びかけても返事はない
「殺してやるっ!うおおおおおお」
腰の剣を抜き魔獣に切りかかろうと駆け出す
しかし横からの猪の突進によって足を骨折
そこで倒れた俺は生きたまま腕をかじられた
嚙まれた腕に何かが流れ込むのが分かった
腕の噛み傷から段々と紋様が浮かび上がった
それと同時に嚙み傷以外からも魔力が流れ込むのを感じた
(俺が朝におまじないをやらなかったから帰る家がなくなったのか?)
(こんなことならやればよかった)
(最後にこいつらに一撃でも...)
「ラジュール村騎士、通報により参上した!総員あやつが大将だ。打ち取れええ!」
そう言うとラジュールの騎士は炎の猪を取り囲み、見事な連携で打ち取った
「君、大丈夫か?すんごい傷だすぐ手当てしよう」
家族が死んだ。友達も死んだ。隣人も死んだ。同僚も死んだ。
みんなを守るために騎士に入ったのに
結局生き残ったのは俺だけ
これまでが無駄になった。
いや、無駄であることに気づいたというほうが正しい
今まで何をやっていたんだろうか
結局魔獣がいることが悪いんだ
あいつらがさえいなければ
<ゲート>から出てくることさえなければ
みんなの無念なきもちで死んでいかなかっただろう
これまでが無駄なのであればこれから変えていこう
必ずゲートを閉じ魔獣を根絶やしにする
突き進んでやる
みんなの無念を晴らすため




