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プロローグ
私がこの世界の「悪役令嬢」だと気づいたのは、十六歳の春だった。
目が覚めると、見覚えのない天蓋付きのベッドの上だった。頭の中に、二つの人生が流れ込んでくる。
一つは、日本の普通の女子高生としての記憶。ゲームに熱中し、登場人物たちの運命を指先で操作していた日々。
もう一つは、クラメンティール侯爵家の一人娘、コレット・ラピス・クラメンティールとしての記憶。厳格な教育の中で育ち、王太子エルメリクの婚約者として生きてきた日々。
「……そういうことか」
呟きが、真新しい制服の襟元で震えた。私は知っている。この世界が『ラピスラズリの物語』という乙女ゲームの世界で、私はその中の悪役令嬢であることを。
ゲームのシナリオ通りなら、私は卒業パーティーで婚約を破棄され、国外追放される。笑顔の裏で嘲笑を浴びせてきたヒロインと、その策略に乗せられた王太子。そして、私を救うために現れる隣国の王子――アルヴィン。
すべてを知った上で、私は運命を変えることを選んだ。
これが、抗うことを決めた一人の令嬢の物語である。
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