1-5: 森の異変を探る者たちと、偽りのテイマー
翌朝。
ユートは洞窟の入口で腕を組んでいた。
(……DP、全然足りねぇなぁ)
スライム三匹――
慎重派のぷに、元気すぎるころ、そして甘えん坊のもちが
足元でぷにぷにしてくる。
「三匹とも……かわいいけど、DPにはならんからなぁ……」
もちろん倒す気もないし、
そもそもユートには手を出せない仕様なのだが。
(石拾いは効率最悪。
俺じゃ外のモンスターも倒せないし……)
ユートがため息をつくと、
ぷにが不安そうにぷにぷに震え、
ころは「元気出せ!」と言わんばかりに跳ね回り、
もちがユートの靴にゆっくりと巻きついてきた。
「……いや、癒されるけどさ」
三匹と触れ合っていると、
ふとある表示が脳裏によみがえる。
※外部から侵入して死んだモンスターでもDP獲得可能。
(……俺が倒す必要、ないのか)
そこで脳内に電撃のような閃きが走った。
ユートは《罠》メニューを開き、
見落としていた項目を見つけた。
《引き寄せ罠(弱)》:5DP
※餌の匂いで低知能モンスターを誘う。
「これ……使えるぞ」
ユートは頷き、
罠コンボの構想を急速にまとめていく。
餌 → 引き寄せ → 落とし穴 → クッション → 非致死針山
(誰も殺さない。
でも“倒れたら”DPが手に入る)
理想的な形だ。
「よし、まずは浅い落とし穴と……」
タップして罠を配置すると、
洞窟が小さく揺れた。
ゴゴゴッ……!
三匹がそれぞれ反応する。
ぷに → 不安で震える
ころ → 面白がって穴を覗く
もち → 穴の縁で座り込む
「お前ら……可愛いな……」
罠の設置を終えた頃だった。
ドスッ……ドスッ……!
地響きのような音に、
スライムたちが一斉に反応する。
ぷに → ぷにぷに震えて警戒
ころ → 入口に行こうとしてユートに止められる
もち → ユートの足にべったり貼り付く
「お前ら、落ち着け……!」
ユートはスマホを開き外部カメラを確認する。
《ホーンボア》
危険度:中
突進力:高
知能:低
「……絶対ヤバいやつじゃん」
その瞬間――
ズドォォォン!!
ホーンボアが餌の匂いに釣られ突進し、
見事に落とし穴へ落下した。
ガクンッ……!!
針山(鈍針)に突っ込み、
もがきながらも動きが止まっていく。
《ログ》
外来モンスター:ホーンボア死亡
→ DP+14
「おお……成功した!!」
三匹も全員大喜び……かと思いきや、
ぷに → ほっとしてへたり込む
ころ → 大興奮して穴に落ちかける(ユートに止められる)
もち → その場で寝る(緊張のあまり)
「もち、お前……寝るのかよ……」
ユートは思わず吹き出した。
(……でもよかった。
スライムたちを危険に晒さずに済んだ)
「みんな……よく頑張ったな」
ユートがスライムたちを撫でると、
三匹はそれぞれ違う反応を返す。
ぷに → 安堵のぷにぷに
ころ → ぴょんぴょん跳ねて自慢げ
もち → ユートの手に吸い付く
(……なんだこれ、家族か?)
自然と笑みがこぼれた。
「よし、これならDP稼ぎも安全にできる。
みんなの居場所も守れるな」
スライム三兄弟は同時にぷるんと揺れ、
その反応がなんだか誇らしげだった。
ふと、外に“人影”が揺れた。
(……誰か来た!?)
ユートが外部カメラを見ると――
冒険者らしき二人組が入口を調べている。
「ここが噂の新規ダンジョンだな」
「浅いらしいが、慎重に行くぞ」
(まずい……!)
スライム三匹も入口で騒ぎ始める。
ぷに → 全力で警戒モード
ころ → ちょっと近づいてユートに抱えられる
もち → ユートの足の裏で丸くなる
「お前ら……静かに……!」
ユートが祈るように眺めていると――
「今日は下見だけにしておくか」
「ギルドにも報告しないといけないしな」
二人は去っていった。
「……助かった……」
「おっ、来客が引き返したねぇ」
黒パーカーの男が腕を組む。
「ユート君は、よくやっている」
白パンツの男が小さく頷いた。
「スライムたちにも個性が見えてきたなぁ」
「家族を持つと、人は強くなる」
二人は意味深な視線を交わした。
「今日の成果は上々だな」
ユートがそう呟くと、スライムたちが反応する。
ぷに → 誇らしげ
ころ → ぴょんぴょん跳ねる
もち → 眠い
「よし……明日も頑張るか。
お前らのためにも、ミリアのためにも」
ユートの声には、
昨日までになかった力が宿っていた。
三匹のスライムが同時にぷるんと揺れて、
まるで「がんばれ」と言っているようだった。




