1-10: 激震の迷宮――最初の衝突と不可解な核
「……本当に、これでいいのか……?」
最深部。
ユートは中央にぽっかり空いた、直径十メートル以上の空洞を見つめていた。
(ここに……あのゴーレムを置けば……
冒険者は“ボス”だと思ってくれるよな……
そしたら危険を感じて……帰ってくれるはず……)
スライム三匹も不安そうに見上げている。
ぷに →(ゆーと……どきどき?)
ころ →(こわい?)
もち →(ぷにゃぁ……)
「いや、怖くはない……いや、怖いわ! 失敗したら俺が死ぬ!!」
ユートは何度も深呼吸した。
(ミリアや村の人たちに危険を近づけたくない……
だったら俺が頑張るしかない……!)
「よし……配置するぞ!」
ユートは《モンスター配置》タブを開き、最深部中央を指定する。
《モンスター:Golem(魔力核式)》
《DP:250》
「うっ……DPが……痛い……
けど……必要経費!!」
決定ボタンを押した瞬間――
ゴゴゴゴゴゴ……!!
床が震え、砂が舞い、空気そのものが呻き始めた。
「うわっ……!」
中央の床が隆起し、 巨大な岩の塊がゆっくりと立ち上がっていく。
ガガガガ……ギギギ……
“岩が人型に固まり、歩き出そうとしている”ような迫力。
(本物すぎる……!!)
そして完全に立ち上がった瞬間――
ゴゥン……!
ゴーレムは低い鳴動を響かせ、身体をわずかに震わせた。
「うわあああ!? 本当に動いたぁぁぁ!!」
ぷに&ころ →(びくっ)
もち →(ぷにゃ!?)
その時、ユートが設定したギミックが作動する。
ゴッ……!
ゴーレム背後の壁に、“拳大の穴”が突然開いた。
(よし……順調、順調……!)
次いで穴から“淡い光”が漏れ始める。
ぼうっ……
(魔力ゼロでも光ってれば“それっぽい”!
冒険者なら絶対誤解する!!)
ゴーレムが震えるたび、あたかも“魔力を放出”しているように見える。
(『あの穴がコアの魔力源か!?』とか思ってくれ!!)
ユートは拳を握った。
そして光のタイミングに合わせて――
《モンスター配置:ゴブリン(群)》
(今だけは……ゴブリンなら罪悪感が……まだマシ……!!)
《DP:ゴブリン1体=3》
《大量導入が可能です》
(20体いける……!
冒険者に“生み出された群れ”と思わせるには、このくらい必要!!)
「いけええええ!!」
《ゴブリン×20 配置完了》
ガララララッ!!
穴から“吐き出されるように”大量のゴブリンが雪崩れ出た。
「うわああああ!! 多すぎる!!」
ぷに →(すごい……)
ころ →(いっぱい!!)
もち →(ぷにゃぁ……)
(だ、大丈夫……!
これは“脅し”だから……!)
ゴブリンたちは統率なく走り回り、奇声を上げる。
穴からの出現演出は満点だった。
「……俺、ちょっと……すごくない……?」
ぷに →(ゆーとすごい)
ころ →(つよそう!)
もち →(ぷにゃ……すごい……)
「えへへ……お前らに褒められると嬉しいな……」
ダンジョン前では国家直属の 中級冒険者ガイル隊 が準備を整えていた。
ガイル「……全員、準備はいいか?
今日はダンジョンの“変異源”を探る。
最深部まで到達する可能性がある」
ドラン「途中で増援が出る可能性は?」
ガイル「十分ある。深層が動いた可能性が高い」
リナ「……魔力、昨日とは比べ物にならないほど濃い。
何かが……大きく変わってるわ」
彼らは知らない。
ユートが必死に作り上げた“偽コア演出”
――巨大ゴーレムと大量のゴブリンが
ガイル隊を待ち構えていることを。




