表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンチーター!〜転生社畜の勘違い最強ライフ〜  作者: 北風
第1部 ダンジョン実験編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/45

1-8: 森を駆ける魔物と、歪む魔力流の兆し

 翌朝のローデ亭は、開店前からざわざわしていた。


「北の丘のダンジョン、急に奥が複雑になってるってよ」

「ガイルさんらが調査したけど、まだ“成長途中”らしいな」

「未成熟ダンジョンってのは、ああいう風に変化が早いんだよ」


 客同士の会話が次々に耳に飛び込んでくる。


 カウンターを拭いていたミリアは、

その内容が耳から離れなかった。


(……ユートさん、あのダンジョンにも行くって言ってたよね。

 大丈夫……かな)


 彼の住んでいる場所も知らない。

森か野営か、それくらいしか思い浮かばない。


 ただ、薄い服と頼りなさだけはよく覚えている。


(あの格好で……あんな危険な場所に……)


 ミリアは胸の奥がざわつくのを感じていた。



「……昨日の冒険者、五階層まで行ったのか」


 ユートは《Dungeon Creator》のログをじっと見ていた。


《侵入者3名:第五階層到達》

《侵入者状態:全員撤退》

《DP:少量獲得》


(よし……! 作戦通り“安全に追い返せた”……!

 俺、やっぱ向いてるんじゃないか……!?)


 三匹のスライムが誇らしげにぷるんと揺れる。


ぷに →(安全第一成功)

ころ →(ユートすごい!)

もち →(ぷに……眠……)


「今日も侵入者来るかもしれないな……

 もっと強化しないと……

 ミリアのためにも!!」


 三匹のリアクション:ぷるっ(半分呆れている)


「その反応、なんだよ!!」



ユートはスライムたちをダンジョンに残し、ローデ亭へ向かった。


(昨日は色々あったし、ちゃんと顔見せとこ……

 心配されてたら悪いし……

 いや、されてないか……いや、どうだろ……)


 店に入ると、ミリアがぱっと顔を上げる。


「あ……ユートさん!こんにちは。

 昨日、大丈夫だったんですか?」


「え、俺? 全然大丈夫!!」


(大丈夫じゃなかったけど、言うわけにはいかない!!)


 ミリアは胸を撫で下ろした。


「良かった……。

 最近、あのダンジョンの噂ばかりで……

 ユートさんも行ってるって聞いたから、少し……気になって」


(で、でたーーー! “気になって”って言葉!!!

 今日から俺は“村の人気者”なんじゃないのか!?

 いやそれは違うか!?)


「え、えっと、ありがとう……!」


 ユートは緊張で声が裏返った。


ミリアは気づかないまま、柔らかく微笑む。


「スライムさんたちも元気ですか?」


「もちろん! 俺より頼りになるからな!」


(……それは本音かもしれない)



 冒険者ギルドでは、昨日の報告が騒ぎになっていた。


受付嬢「ガイルさんの報告によると……

    あのダンジョン、成長速度が異常ですね」


ガイル「ああ。

    自然発生にしては、構造が複雑すぎる」


受付嬢「次は“二段階上の”パーティーを送ります。

    準備、してもらえますか?」


ガイル「了解した」


 こうして、より熟練の冒険者たちが動き始めた。



「よし、お前ら! 今日の強化方針だ!」


 三匹のスライムが振り向く。


ぷに →(計画?)

ころ →(迷わせるの?)

もち →(寝床追加?)


「六階層の罠をもっと強化する!

 “怪我ゼロで、絶対に突破されない”階層にする!」


 三匹は嬉しそうに震えた。


▼ユートの強化案


揺れる床(速度調整版)


滑る通路(怪我しない素材)


行き止まりに見える“偽の扉”


スライムの移動音を利用した“微振動罠”



(全部ぜんぶ、“安全”にこだわって作る。

 俺のポリシーだからな……!)


 スライムたちは罠のチェックに駆け回り、

もちだけは隅で寝ていた。



黒パーカー「おー、いいじゃん。順調順調」

白パンツ「ギルドも動き始めたな。

     次の侵入者は、彼にとって試練になる」


黒パーカー「それにしても……ユート、ほんと面白いよなぁ」

白パンツ「うむ。彼の“優しさ”が、ダンジョンに滲んでいる」


 


 ローデ亭の片付けが終わり、ミリアは外へ出た。

夜風は冷たく、森には薄い霧がかかっている。


(ユートさん……今日も森のどこかにいるのかな)


 ふと胸が締めつけられるような感覚になった。


(……ちゃんと食べてるのかな。

 あのダンジョンに近づいて怪我してないかな)


 ほんの少しだけ、胸が熱くなる。


(ただ、心配してるだけだよ……うん)


 彼女はそう自分に言い聞かせて、店の扉を閉じた。




「よし……明日も強化するか!」


 三匹のスライムが、

「がんばれ」と言うかのようにぷるんと揺れた。


「……よし!

 ミリアの……い、いや、その……知り合いのためにも!!」


 三匹の反応:ぷる、ぷる、ぷる(なんか呆れている)


「その反応やめろってーーー!!!」


 ダンジョンには、今日もユートの声が響いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ