体育祭での昼食
「ねぇねぇ心菜。誰と一緒にご飯食べる?」
「わ、私⁉李由ちゃんと食べるよ。」
「ホント?やった~!うれしいな。」
私は李由ちゃんと一緒にご飯を食べ始めた。
「心菜、その卵焼きって手作り?」
「あ、うん。李由ちゃんのハムがついたアスパラガスも美味しそうだね。」
「そう?ありがとう。これ、弟が好きで、よく作ってるんだ。」
李由ちゃんと一緒に二人でキャッキャと話しをしていると、後ろから声が聞こえた。
「ねぇ、僕と一緒に食べない?食べる人がいないんだよね。」
振り返らなくてもわかる。この声はおそらく神代先輩。李由ちゃんの方を振り向くと、キラキラと目を輝かせていた。
「は、はいっ!ぜひ!」
思わず敬語になっちゃってる李由ちゃん。李由ちゃんのこんな一面を見ることはあまりないから、ちょっとびっくりしちゃった。みんなでブルーシートの上に座ってお弁当を食べる。私は、神代先輩のお弁当を見て目を見開いた。
「か、神代先輩、それ、なんですか?」
「あ、これのこと?ローストビーフだよ。」
ニッコリ笑顔でそういう神代先輩。ちょっと笑顔が怖いよ……。ローストビーフってあの?美味しいものっていうのは知ってるけど、1度しか食べたことはない。なんかバラみたいな形してるし……。
「美味しいですか?」
「うん。黒毛和牛だから。」
く、黒毛和牛……⁉食べたことはないけど、すごく高級とかは聞くよ。
「心菜ちゃん、その卵のやつ何?」
こ、心菜ちゃん……⁉その卵のやつって卵焼きの事かな?
「卵焼きですけど……。」
「へぇそうなんだ。始めて見たよ。」
た、卵焼きを始めてみた⁉神代先輩ってもしかして、私が思ってる以上にお金持ちなの?じ、次元が違すぎる……。というかお弁当にローストビーフ入れるのがすごすぎるよ……。
「もう、二人で話し広げないでくださいよ。心菜、そろそろ実行委員テントに行かなきゃじゃない?」
ちょっと頬を膨らませた李由ちゃんがそういった。実は私、前言った三競技のほかに、お昼休憩を終える放送もしなきゃいけないんだ。
「もう食べ終わったし、私は行くね。じゃあプログラム8番のパン食い競争で会おうね」
「うん。じゃあね、心菜」
急いで実行委員テントへと向かう。席に座りアナウンスをした。
『あと3分でお昼休憩を終えます。プログラム6番2・3年生の綱引きに参加する児童は各自並んでください』
ふわぁ……。いつ嚙んじゃうかとか悪い妄想ばっかりしちゃったよ~!これがあと1回で終わるんだとしたらもうキセキかもしれないっ……。急いで私は李由ちゃんのいる生徒用テントに向かった。
「李由ちゃ~ん!」
生徒用テントの全部の席を見回してみたけれど、李由ちゃんの姿はなかった。り、李由ちゃんいったいどこに行ったんだろうっ……。きょろきょろと周りを見回してみると、大きな杉の木の下で、李由ちゃんが誰かと話していた。あの人は……たぶん、学年が1つ上の中山累先輩。神代先輩とも仲のいい2年Bクラス。李由ちゃん、確か、中山君が好きっていってたな……。じっと見つめていると、李由ちゃんがうれしそうな顔をして、中山君と恋人つなぎをしてやってきた。こ、恋人つなぎっ……。本とかでは読んだことはあるけれど、生にみるのは初めてだよっ。どうやら李由ちゃんは私に気づいたみたいでパッと手を離した。
「こ、心菜……。」
いつもクールな李由ちゃんが顔を真っ赤にしてる姿が可愛くて、思わずほおが緩んじゃった。
「ふふっ、お幸せに。」
「ちょっと心菜、からかわないでよ!も~。心菜だって彼氏できたらこうなるんだからね!」
いやぁ……そもそも私は可愛くないしモテないから彼氏はできないと思うっ……。そう口に伝えると、わけのわからないことを言われた。
「心菜……。これだから無自覚は。神代先輩から好意だだ漏れだっていうのに。鈍感すぎよね。」
「へぇ。英治って武田のことが好きなんだ。うちの学年でも武田は、恋人百人!とか、恋愛百戦錬磨!とかいううわさが広がってるんだけど、実際は違うんだね~」
「ちょ、それを累は信じるわけ?」
「信じてたやつもいたけど、今結果わかったし。」
「何そのあいまいな答え!」
言ってることは全然わかんないけど、二人の仲が順調って事がわかった。そして、最終種目のリレーに。私は放送をするために体育祭実行委員席へと向かった。




