#4 友達
~おとめtheルル~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#4 友達
初夏、淡いピンク色の桜は薄い緑色へと変わるこの時期。
そんなある日のこと。
私は陽花と一緒に、好きな動画チャンネルの話題で
盛り上がりながら廊下を歩いていた...。
「それでさあ、昨日の動画では...!」
階段のあるところに差し掛かったとき、
話に夢中になっていてよそ見をしていた陽花は人とぶつかってしまう。
バンッ...!!
バサーッ...
「うあっ...!」「よ、陽花?!」
ぶつかった衝撃で相手が持っていた紙が散らばっていた。
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい...」
そう言って先に謝るのはぶつかった相手側の人。
陽花に謝りながら、散らばった紙を拾う。
あれっ...この人...
「き、霧島さんじゃないですか...」
...そう、彼女は同じクラスの霧島沙奈だ。
彼女とは席が隣で少しだけお話ししたことがある。
「霧島さんごめんねー...!よそ見していたらつい...」
陽花も散らばった紙を拾いながら謝る。
そして私も散らばった紙を拾うのを手伝ってあげた。
「...あれ、このプリント...」
紙を拾いながら私は霧島さんに問う。
「ええ、昨日の課題プリントだよ。
今から先生のところに持っていくところで...」
「一緒に行くよ。」「一緒に行ってあげるっ!!」
こうして私たちは課題プリントを持って先生のところに向かうのであった。
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コンコンコン
「失礼します。課題プリントを持ってきました。」
「おお、サンキューな。」
無事に課題プリントを届けることができた。
ガラガラ...
扉を閉め、歩き出す前に霧島さんが言う。
「あ、あの、一緒に来てくれてありがとね。私、霧島...」
「知ってる。」
あれえ...?と人差し指を頬に当てる霧島さん。
そして思い出したようにして言う。
「ああ、同じクラスの未帆ちゃんと陽花ちゃん!!」
今気づいたんかい。
霧島さんって悪い人ではないがちょっと天然なところがある。
「ねえねえ!私も霧島さんのこと沙奈って呼んでもいい?」
陽花が霧島さんに向かって言う。
「いいよ!でもなんで?」
やっぱり沙奈は天然だった...。
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その帰り。教室まで戻ろうと3人で歩いていると、
階段のほうから来た誰かとぶつかってしまう私。
...っていうかまたぶつかっちゃう感じの展開...?!
ドンッ...!!
「きゃああっ...!」
ぶつかってしりもちをつく私。すると...
「ご、ごめん...大丈夫だった...?」
ぶつかった相手であり、
目の前で優しく手を差し伸べてくれたのは同じクラスの星野優である。
「あっ!未帆の彼...」
陽花が余計なことを言いそうになったのを右手で押さえる沙奈。
なんだ、そこは気が利くのね...。
...と、そう考えていると優は私の手を引っ張って起き上がらせてくれる。
って、いやっ、やあっ...!
「ほんとごめん...」
そのまま頭を下げる優。
いやいや、全然もういいってば...!
「お詫びに放課後...飲み物を奢ってあげるよ...」
ドキッとしてしまう私。
そんなこと...しなくていいってば...!
すると...
「あっ?放課後?ねえ、私も一緒に...」
...と、陽花がまたちょっかいを出しにきた。
そんな陽花を沙奈が引っ張りながら言う。
「あ、陽花ちゃんは放課後私と一緒に勉強会するから2人で行ってきてね。
それじゃあっ...!」
そしてそのまま陽花を連れて教室に戻る沙奈。
こういうところは気が利くんだなぁ...
って...ええーーっ?!
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放課後。
陽花は沙奈に連れられて図書室に行ってしまった。
っていうかホントに優くんに奢ってもらうの...?!
はあ、と小さなため息をついて私は1階の自販機前まで向かう。
「あ...来てくれたんだな...!」
するとそこには財布を持ったまま笑顔で振り向く優の姿が。
周りには彼しかいない。
窓から差し込む西日が私たちを照らしている。
何このシチュエーション...とってもドキドキする...!!
「好きなのを選んでいい、から、な...?」
そうして1000円札を自販機に投入する。
ヤバ...もう断れないじゃん...
「ど、どうした...?僕が選んであげようか...?」
そうしてボタンを押そうとする優に、ひゃああっと顔を赤らめて
すぐにフルーツジュースのボタンを押す私。
そしてそのまま逃げ帰ってしまう。
[待って待って、ほんとこういうの慣れてないから...!!]
「あ...飲み物...!」
優が自販機から出てきたフルーツジュースを渡そうとするが
既に私はそこにいなかった...。
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教室に戻ると、陽花と沙奈が戻ってきていた。
「あ、お帰り!私たちも今戻って...って大丈夫?!」
顔を赤くして机の上にうずくまっている私。
飲み物を受け取れなかったことが陽花にばれてしまう。
「あれぇ?未帆?うまくいかなかった感じ?」
「うるさい...」
うずくまったまま私が言うと、沙奈が私のおでこを触って呟く。
「まあ、熱があるみたいだわ。保健室に連れて行ってあげないと...!」
そうして保健室に連れて行かれる私。
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「これは...恋の病ね...」
保健室に行くと、私の顔を見た保健室の先生にそう言われる。
って...はい?!
「大丈夫。しばらくしたら落ち着くと思うわ。
それまでここで休んでていいわよ。」
それを聞いて安心する沙奈と陽花。
やっぱり2人きりになるなんてまだ早すぎると思う未帆(と作者)なのであった。
続く...
はじめまして、おとめtheルルです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
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