#1 入学
~おとめtheルル~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
「好き...です...っ!!」
夢の中、私の脳裏に浮かんできたのは
彼へ贈る熱い言葉だった...。
#1 入学
春、桜舞うこの季節。
私、静野未帆はここ新球学園へ入学する1年生。
流れる風に想いを乗せて、一歩、また一歩と学園へと歩みを進めた。
「何緊張してるの?早くしないと遅れちゃうよ?」
一緒に来ている母が言う。
「未帆っ、お前の晴れ姿は全部パパが写真に収めてやるから安心しろ?!」
そう言って私のほうにカメラを向けているのは父。さっそく何枚も撮る。
やめて、恥ずかしいから...!
そんなことをしていると同級生とすれ違った。
「未帆じゃん!やっほー!」
彼女の名前は相水陽花。
小学校から同じの幼なじみだ。
「あら陽花ちゃん、制服似合ってるわね!」
母に褒められ少し照れ気味の陽花。
しかしすぐに時計を見て、
「あっ、未帆のお母さん!
もうすぐ式がはじまるのでそろそろ行きますね、ではっ!」
そう言って体育館裏のほうへ急ぐ。
「ま、待ってよ陽花、私も行くーっ!」
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入学式がはじまった。
入学生は皆、ひとりひとり名前を呼ばれることになっている。
順番に名前が呼ばれる中、ソワソワしていた私の腕が、
思わず隣の人の肩に触れてしまう。
「ごっ、ごめん、なさい...」
謝るつもりで一瞬その人に目をやった瞬間、
その人の目が合ってしまう。
「静野未帆。」
「うえっ、は、はいっ!?!」
名前を呼ばれてようやく我に返る私。
しかし心の中のトキメキは止まってなどいなかった...。
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入学式が終わる。
今日はこれにて解散だ。
「ううーっ、未帆もいよいよ高校生かー...!楽しみだなあ、未帆が彼氏を連れて...」
「パパは黙ってて。」
父に思わずそう返す。
っていうかなにが楽しみなのよ...!
そうして門を出ようとすると忘れ物があったことに気づく。
「...あ、ごめん。教室にタオル忘れたから先帰ってて。」
「あ...ああ...」
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教室に向かう私。
ガラガラ...
「よかった...教室は空いて...」
するとそこには私たちの担任の先生が机を並べていた。
「お、静野...だったな。タオルならここにあるぞ、
明日からは忘れ物するんじゃないよ。」
笑顔でそう言っている。
よかった、とても優しそうな担任の先生で。
すみません、とタオルを取って帰ろうとする私。すると...
「お、ちょっと待ってくれ。優のヤツも忘れ物しているではないか。」
優...?
なぜだろう、先ほどの入学式が脳裏に浮かぶ。
「すまないが、もし彼を見つけたら伝えておいてくれ。
忘れ物してたぞ、職員室で先生が預かってるって。」
そう言われましてもまだ名前と顔が分からないんですけど...
「って、そうだったそうだった。
君たちも初対面なんだから分からないよな、すまんすまん。」
そう言い残して優の忘れたハンカチを持って去って行く先生。
私もそのまま教室を後にした。
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帰ろうとして校舎から出ようとする私。するとそこには
明らかに何か探し物をしている姿の彼がいた。
胸元に付けられた新入生のバッジ。
やっぱり入学式のときの彼で、同じクラスだ。
「...あ、あの...」
私の声に反応してゆっくりとこちらを見る彼。
「ハンカチ...なく...しました...?」
私のか細い声に近寄ってくる彼。すると...
「ああ、君はさっきの...
そうなんだ、せっかく入学祝いでもらったハンカチなのに...」
困ったという顔をして呟く。
それじゃあ、あのハンカチはやっぱり...
「た、たぶん教室にあったと思い、ます...
先生が来て、預かってるから、今は職員室に...」
段々下を向いて小さくなっていく声。
顔を上げて話し終わる頃には既に彼の姿は見当たらなかった...。
「......はあっ...」
緊張のあまりため息がこぼれる。
それと同時に膝から崩れ落ちた。
...しばらくして立ち上がると、
今度は向こう側から陽花がやってきた。
「あれっ、未帆じゃん。また会ったね。」
近寄ってすぐに手を握る。
「こんなところで何してるの?お母さんたちと帰ったんじゃなかったの?」
それはあなたも同じでしょ。
「...いや別に。ちょっと忘れ物したから取ってきただけ。」
「ふーん?その割には顔が赤いけど?」
ひゃっ?!となって顔に手を当てる私。
それをからかっている陽花。
「まあいいや。私ちょっと先生に用事があって今終わり。」
「入学式の日に先生に用事って...一体何やらかしたわけ...?」
「違う違う!用事ってのは提出用のプリントでー...」
そう言って歩きながら会話が弾む私たち。
その後ろには
門へと歩く彼女たちを眺める彼の姿があった...。
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その日の夜。
ベッドの上、スマホを操作していた指を止め、ベッドから立ち上がる彼。
そしてそのままお手洗いに行く。
そしてポケットから今日の昼間なくしたハンカチを取り出すと、
そのままハンカチを眺めている。
「入学祝い、か...」
ハンカチを優しく握りしめたまま、
何事もなかったかのように部屋へ戻る彼。
果たしてこれから2人の関係はどのようになっていくのだろうか...
続く...
はじめまして、おとめtheルルです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
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