表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男女比1:5の世界でサバイバル  作者: 桃野産毛


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/89

第61話 魔獣は暗闇にいる

 俺が手にしているのは、

あのサービスエリアの自販機から持ってきていた光るおもちゃだ。

三つ同時に点灯すれば、結構な光量になる。

それをこの薄暗い廊下で、

至近距離で点灯すれば一時的に視界を奪える。

 脱走したときロボット相手で失敗したが、

人間相手で成功した。

俺は目を押さえてうずくまる看守から、

情報端末を取り上げた。


「管理コンソール乗っ取り。

は、無理か。

管制塔に行かなきゃ無理そうだ。」

「流石にそれは認められない。」


 スピーカーからこの場にいない人の声がした。

スピーカー越しだが、

どうやら彼女の息が上がっている。


「バネロ……。」

「年寄りに、この運動量は、

中々キツイな。

 だが、管制室にたどり着いた。

守衛室より、

ここからの方が操作できる範囲が広いんだ。

 今、そのエレベーターと外へつながるエレベーターを止めたよ。」


 そう来たか。

さすがだ、バネロ。

 俺はロックに目を開けるよう言って、

看守二人とチップの腕を、

看守が持っていた結束バンドで止めて無力化した。


「さて、バネロ。

俺のこと見てるか?

残念ながら、

俺は看守を一人確保できれば目的は完了だ。」

「何をするつもりだ?

管制室からなら、

そこの操作は制御できる。

優位はこちらだ。」


 俺は看守から奪った看守用の情報端末を手にして、

看守の顔に向ける。

俺はその看守の看守としての登録を抹消した。


「そんなことをして、何になる?」

「辛いなぁ、バネロ。

誰も彼もがアンタみたく、傑物だったらなぁ。」


 俺の一言は俺が思っていたより効果があったようだ。

スピーカー越しにバネロの狼狽える気配がする。


「誰も彼もが、アンタみたく賢くて。

アンタみたく自制できればいいんだけどなぁ。」

「……どうした?

何か言いたい?」


 俺は手にした情報端末をロックに向けた。

ロックは不思議そうに俺を眺めている。


「……何をする気だ?」

「人生はトライ&エラー。」


 俺はロックを看守として、新規登録した。

機材がここにないため、

音声認識などの生体認証の登録はできないが、

これでロックは正式に看守になった。

俺は笑顔でスピーカーに向かって言い放つ。


「さて、何が起きる?」

「本当に何がしたいんだ?」


 これで、『男が家畜以外の存在として登録された』。

完全に統制管理されているこの国の戸籍登録に、

初めて男が人として加わった。

バネロが管制室からロックの登録を消しても消さなくても、

登録をした記録は残る。

 なお、俺の情報は戸籍に登録されていない。

ロボットたちは俺をどうやってアドミニストレーターにしたか不明だが、

俺は俺自身を戸籍に登録しなかった。

理由はさっき俺が言った通り、

何が起きるか分からないからだ。


「俺が黒幕なら、

こんな登録されたらアラートか何かを鳴らす。

最悪、登録をしたことを関知したらシステムを丸ごと止める。」

「……お前、まさか。」


 バネロが俺の意図に気付き始めた。


「例えるなら、『花粉症』だ。

本来、身体にとって異物として扱う必要のないものを、

異物として過敏に、過剰に反応してしまう。

アレルギー反応は基本的にそうだろ?

 じゃ、黒幕は?

とんでもない『男アレルギー』なんだろうなぁ。」


 次の瞬間、

俺の手元の情報端末が突然動かなくなる。

すぐにモニタ表示が消えた。

そして、建物の電気が全て消える。


「マジかよ。

全部削除しやがったか?」


 もうスピーカーから声がしない。

多分この収容所のシステムを隔離して、

削除かリセットしやがったみたいだ。

恐らく施設の人工知能かシステムに、

そう言うプログラムを隠してたのだろう。

 俺は手元の光るおもちゃを一つ点灯し、

看守たちのところに置いた。

もう一つ点灯して手元に持ち、

あわてふためくロックをなだめた。


「さぁ、バネロさんよぉ。

今からアンタはシステムを再起動するしかない。

 管制室でできるか?

俺の予想では電源から起動し直す必要があるはずだ。

ブレーカーを一旦落として、再起動。

家ならすぐできる。

 でも、こんな大きな施設なら?

変電室か何かに行かなきゃなぁ?

そんで、

再起動のときにエレベーターも動くよな?

そんときにアンタが管制室にいないなら、

すぐに再停止できないだろ?」


 多分、守衛室と管制室は遠い。

バネロが歳と言えど、

息を切らすほど移動したなら同じフロアにはないと見た。

 下手をすれば守衛室のドアが電子ロックで、

看守二人は閉じ込められている可能性まである。

 ただ、管制室や変電室なら、

重要な部屋ならロックは物理的なもののはずだ。

そうでないと緊急時に出入りできない。

動くならバネロ自身だ。

 もし、守衛室も物理ロックで出入りできたとして、

看守たちはどう動く?

最近配属されたばかりの奴らだ。

どうしてもパニックになっていると思う。

 バネロが直接指示できればいいかもしれないが。

俺がバネロなら優先は電源の回復だ。

 理由としては、

看守たちが守衛室にじっとしてるとも限らないから、

探さなきゃならない。

そんな時間があるなら、

動かない変電室に向かう方が早くて効果的だ。


「ワンチャン、看守との合流を優先するか?

いや、しないだろうな。

さっき俺が煽ったもんなぁ。」


 俺は笑う。

多分、端から見たら悪い顔で笑ってる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ