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第7話 あばよ、独房

 朝食を終えると、またブザーが鳴る。

俺は立ち上がり、扉の前に立った。


「4125774!」

「はい。」


 看守が迎えに来たみたいだ。

前と同じなら、このまま連行されて外へ出る。

拘束はされない。

 鉄の扉が開く。

目の前に現れた豊満な身体に釘付けになるのは、

生き物としての性なのか。

はたまた、死に瀕しての本能なのか。

 この時点で看守は銃を持っている。

看守が俺を路傍の石を見るみたいな目で見る。

俺はノーマルなので、嬉しくない。

むしろ、見てくれなんて言ってない。

嫌なら見るなよ。


「4125774。

ついてこい、外へ出す。」

「はい。」


 服?

貰えるわけがない。

俺は全裸のまま連れ出される。

 目の前の看守からするいい匂いと、

ぷりんぷるん尻をふる歩き方。

元気のない俺の股間は、

十ラウンド目、TKO寸前のボクサーみたいに起ち上がる。

俺はタオルを投げてやりたい気持ちだ。

 エレベーターに到着した。

看守が掌をエレベーターの機械に押し付ける。

指紋か静脈か何かを読み込ませてるんだろう。

 そして、彼女は上のマークのボタンを押した。

扉はすぐに開き、

彼女が先には入る。

 俺もそれに続く。

看守は操作盤の前に、俺は扉の前に立つ。

横並びだ。前の時も同じだった

映画とかドラマの知識だが、

これはあり得ないらしい。

 何故か?

信用ならない相手が真横にいる、ってのは、

危ないからだ。

 この状態の理由は、たぶん俺は囚人と言うより、

家畜として認知されているからだろう。

 ベルの音が鳴り、地上に到着したことを告げる。

動き出した扉を見て、俺は看守に向き直る。

俺は大きく息を吸って、言い放った。


「(見せられない程の卑猥な言葉)!!」


 俺は驚いてフリーズした看守から銃を奪い、

彼女に体当たりした。

エレベーター内で倒れた彼女を残して外へ出る。

 彼女が起き上がるより先に、

エレベーターの扉が閉じた。

 どさくさに紛れて、

オッパイ触っちゃったぜ!

ラッキー!

 俺は銃のストラップを肩からさげて、

確認する。

安全装置とおぼしきツマミを動かして、

引き金に沿わすように人差し指を置いてグリップを握った。


「っしゃ!」


 声を出して気合いをいれ、

俺は駆け出す。

目指すはあの道の前、施錠されたフェンス。

 途端に、けたたましいサイレンの音が周囲に鳴り響く。

まぁ、バレますわな、こんなの。

でも、ここまでは計画通り!

 俺はフェンスに向かって銃を向けて引き金を引く。

俺には海外に連れてってくれるバーローなオヤジなんていない。

実弾を撃ったことは一度もない。

でも、撃てなきゃ死ぬ。

無我夢中で引き金を引く。

 銃口からは予想外にレーザー光線が放たれ、

フェンスに人頭大の大きな穴が空いた。

反動は全くなかった。


「マジでSFじゃねぇか!」


 そう叫びながら何発か打ち込んで、

俺が通れるだけの穴を空けた。

素足でフェンスを蹴って、穴を広げて外へ出る。

 舗装された道は素足には辛い。

だが、俺は走る。

 こんな生活、絶対ごめんだ!

あばよ、異世界!

あばよ、推定女神様!

きっと、俺よりいい救世主(ドM)がいると思うよ!

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