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第6話 独房の外

 翌日、ブザーの音で飛び起きた。

身体がダルいが、

這うように扉まで行って立ち上がる。

扉に手を付いたら、いつものように看守が来た。


「4125774!」

「……はい。」


 俺はなんとか声を放り出す。

『搾精日』は転生してからこれで二度目だ。

十日に一度、行われるらしい。

 いつものように朝飯が出てきた。

白っぽい色はリンゴ味だ。

よろめきながらも食事に向かう。

 俺は大きなゼリーに顔を埋めるように食事を始めた。

今日だ。

今日やる。

だから、食べなければ。


 こんなの、もうやってられない!


 『搾精日』の次の日は、『解放日』。

つまり、外に出してもらえる。

時間はそんなに長くない。

三十分かそこいらだが、外に出られる。

 前回の解放日は、外の光景に絶句した。

外の光景があまりにも酷かった。


 何も遮るもののない延々と続く荒野。

どんよりと曇った空。


 そして、何処かに繋がっているのだろう、

まっすぐに続く舗装された道。

 俺は前回の解放日で得られるだけ情報を集めた。

まず、俺はいつも地下にある独房にいる

地下は、目測で五メートルくらいのフェンスでぐるっと囲われている。

四百メートルトラック程度の広さだ。

 フェンスの内側にある建物は、

俺が出てくるエレベーターの扉と管制塔の二つだけ。

他の建物は視界に一つも見つけられなかった。

 管制塔は気持ち背が低く小さい。

滑走路はない、と言うか、

こんな荒野なら要らないのか?

 後、この時だけ姿が見える看守。

俺を連れて独房から外に出る看守が一人だけいる。

もちろん、女性だ。

腹が立つくらい美人でスタイル抜群。

 特筆するのは彼女だ。

ぴっちり身体に張り付いた制服は、

エロティックというとりサディスティック。

 なんで、こんなにしっかり見たかって?

なんと言うこともない。


 外に出たのは俺と看守だけだからだ。


 だだっ広い荒野のフェンスの中。

俺一人、何をしろと?

しかも、あの『搾精日』の翌日だ。

 体力的にも精神的にも、

辺りを眺めて散歩するくらいしかやることがなかった。

 他の男はいないのか?

いや、室内ウォーキングの後、

先に廊下が濡れていることがままあった。

俺と同じように、

俺より先に濡れたまま移動した人間がいるはずなんだ。

 そいつはきっと男で、

俺と同じ扱いを受けてるはずなんだ。

まぁ、見えないし会えないなら、

なんの意味もないが。

 看守はエレベーターの扉の前のひさしの下から動かない。

日焼けを気にしてるらしい。

相手が美人でも、やっぱりなんか腹が立つ。

 だが、無駄ではなかった。

無駄ではなかった!

 看守が持っているゴツい銃。

ストラップがついているが、

それを身にはつけていない。

 そりゃそうだ。

あれだけ立派な乳房でストラップを肩からかけると、

とんでもないパイスラッシュになる。

 それに、銃のグリップの握り方だ。

こういう場合、

グリップを握って人差し指は伸ばして引き金のそばに置くはず。

 だが、

彼女はグリップを人差し指も使って握っている。

それではいざとき、構えてもすぐ撃てない。

 なんで知ってるかって?

そんなもん、男の子だもの。

銃は大好きだ!

これくらいは分かる。

 脱獄のプランは建てた。

半分は出たとこ勝負だが、勝率五分五分だ。


 こんな異世界真っ平ごめんだ。

さぁ、逃げ出すぞ。

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