第4話 独房の管理
よれよれになった俺は、部屋に戻される。
床に座り込むと、壁から昼飯が出てきた。
赤色のゼリーだ。
これはいまいち何味か分からない。
甘味は少ない。
酸味はない。
少し癖がり、コクがある。
このゼリーは基本フルーツ味だが、
たまにスポドリやエナドリ的な味も出る。
この前出たコーヒー味はブラックだった。
俺はゼリーをとにかく胃袋へ詰め込む。
午後は自由時間だ。
だからといって、この独房からは出られない。
運動もダメだ。
試しに筋トレを始めたら、
部屋の角からガスが吹き出した。
一息吸ってしまっただけで俺は意識を失って、
気づけば朝のブザーで起こされていた。
もちろん、自慰もダメ。
じっとしてるか、寝るしかない。
まぁ、あのウォーキングと洗浄を受けた後なので、
疲れているのは確かだ。
それにしても、この生活は辛すぎる。
救世主として崇められてもよくないか?
いや、転生したとかそんな話をする相手がいない。
試しに朝の看守に話しかけようとしたが、
ガスが吹き出して気を失った。
なぁ、って言っただけで、だ。
一言と言うか、二文字でだ。
酷すぎる。人をなんだと思ってるんだ。
しばらくして、晩飯が出たらそれを食べる。
食べ終えて少しするとブザーが鳴る。
俺は扉の前に立ち、
朝のときと同じように手のマークに両手を当てる。
「4125774。」
「はい。」
看守が朝とは違う人になっている。
二勤交代制か三勤交代制かのどちらかなのだろう。
この看守は軽くだけ俺を眺めて、鼻で笑う。
「健康診断を始める。
その場を動くな。」
俺は指示通りにする。
機械音が少し聞こえる。
「ストレス値が高い。
この個体、明日は『サクセイビ』か。
明後日の解放日の解放時間は長めに取るか。」
看守の独り言だ。
看守は俺に話してる訳じゃない。
これは独り言だ。
看守からすれば、俺は家畜と同じらしい。
男女比がおかしい、と聞くと、
やはり男性不足が思い浮かぶ。
元の世界でも、
戦争やなんかで男性が急激に減ることは歴史的にままあった。
だが、この現状。
いくら楽観的に考えても、
この比率がヤバイくらい偏っているようだ。
男性を家畜のように飼い、管理する。
男女比1:5とか、下手すればそれ以上だろう。
「4125774、就寝だ。」
看守は、
もう興味がないと言わんばかりだ。
俺は、またいつものマットレスに寝転ぶ。
数瞬後には部屋の電気が消える。
そして、いつもここで意識が途絶える。
暗闇で見えないがガスが吹き出しているのだろう。
悪態を付く暇すらなく、俺は眠りに落とされる。