第26話 俺と廃墟とコーラ味
悔しいことに、
非常においしいゼリーだ。
結局俺は三つ食べた。
「くそぅ。
満足したけど!
したけど!
このフラストレーションをどうしてくれようか!」
腹ごなしもかねて、
自販機をみたが他はダメになっていた。
トラックに戻ってドアを閉めた。
「『出発します。』」
「はいはい、お願いします。」
とりあえず、
このトラックで行けるとこまでいこう。
俺は念のため薬を一錠飲んで座席に寝転ぶ。
睡魔はしっかりやってきた。
しばらくは酷い揺れに起こされたりしたが、
道がよくなり深く眠ってしまった。
「『到着いたしました。』」
俺はトラックの音声で飛び起きた。
急いで周囲を見回すと洞窟の外に出ており、
朝になっていた。
洞窟の中での時間がわからないので、
どれくらい寝ていたのかわからない。
周りは廃墟だった。
遺跡、までは行かない。
少し大きな建物の前にトラックが止まっている。
俺はドアから外へ出た。
人気は全く感じられない。
雑草が生い茂り、ツタ植物が建物を飲み込んでる。
「解放軍の秘密基地、ではなさそうだ。
さっきのサービスエリアと同じくらい古いか。
それよりは新しいか?」
近くのコンクリートっぽい建物に触れてみる。
まだしっかりしている感じだ。
塗装こそ剥がれているが、
コンクリート自体はまだ硬い。
ただ、人がいなくなってどれくらいなのか。
情報があるようでない。
「まぁ、何もないよりはいいか。」
俺はとにかく歩き出す。
ほんとに廃墟だ。
小さな町だが、ゴミしかない。
「と、なれば。
あの大きな建物か。
どっかから入れるか?」
大きな建物の前のトラックに戻って、
ゼリーを食べた。
コーラ味しかないが、これが旨い。
水分補給にもなる。
一休みしたら薬をポケットへ入れて、
大きな建物の前に立った。
「ドア、というか搬入口か?
乗ってきたトラックが入れる大きさだな。
それなら、人の入り口がどっかにあるだろ。」
俺は建物の壁に右手をついたまま歩き出す。
ぐるっと一周二十分くらい。
ちょっと大きな学校の校舎プラス、
グラウンドくらいの大きさかな。
「いや、入り口は?
マジでねぇじゃねぇか。」
俺は搬入口に戻ってぼやく。
「これはシャッタータイプの入り口だ。
開けるには電源がいるやつだろ?
ドアをくれ。
人力であけるドアノブと蝶番のやつ。」
搬入口を念入りに撫でてみたが、
どこにもノブもなにも見つからない。
「カードキーが必要です、ってか?
ゲームでももっといいギミックかトリック用意するわ!
窓もねぇの?
なんなんだよ、この建物は。
何の施設だよ。
ロボット使って開けるか?」
俺は大きなため息をつきつつ、
トラックの荷台に上った。




