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第12話 荒野で咲く花

 遠ざかるロボットを振り返って確認しつつ、

俺は収容所と逆の方へ走る。

 片手に爆弾、片手に撃てない銃を持って。

って言うか、

さっき俺はこんなヤバいものに銃を撃ったの?!

当たってたら、大爆発じゃねぇか!

 でも、今はそれどころじゃない。


「稼げて一分か、そこら!」


 ロボットが目下の問題だ。

今無線かなにかで、

どこかにいる人間に判断をあおいでるはずだ。

その内に離れられても、

距離なんてたかが知れてる。

 なら、どうする?


「やるしかねぇ!」


 立ち止まった俺は、

爆弾を一旦置いて銃を見る。

見た目はマシンガンでよくあるヤツだ。

 俺は大きく息を吸って、止める。

そして、手の中の銃を手探りでバラしていく。

 銃は何処でもメンテナンスできるよう、

手で分解できるようになっている。

軍隊だとそれを組み立て、

分解する訓練があると漫画で読んだ。


「あったぞバッテリー。

でも、水素電池じゃねぇな。

なんだこりゃ。

 『……粒子……』。

駄目だ、読めねぇ。

 女神様よぉ!

お前が与えたのは、

読み書きする能力だろうが!

漫画とかだと、

こういうのはなんでも読めたりするだろうがよ!」


 俺は悪態をつきつつ、手は止めない。

水素電池のケーブルをそのバッテリーへ繋いでみた。

バッテリーにランプが付いているが、

なんの反応もない。

 だが、少しバッテリーが熱をもち始める。

持てない程ではないが、

レンチンした肉まんくらいの感じだ。

 視界の端に土埃が見えた。

ロボットが来る!

 俺はバッテリーと爆弾を繋いだまま、

銃を組み立てる。

無理やりだが、なんとかはまった。


「いちか! バチか!

トライ&エラーだ!」


 俺は土埃へ銃口を向けた。

下手をすれば、この水素爆弾が爆発する。

だが、何もしなくても捕まって地獄に戻る。

 ロボットの姿が見えてきた。

俺はもう一度息を吸って、止める。

まだだ。もっとだ。


 こっちに来い!


 ロボットが俺に向けて手を伸ばしてきた。

今だ!

俺は引き金を思いきり引く。


 ボッ!


 ジッポライターなんて目じゃない。

ロケットエンジンのような音がして、

目の前が真っ白になった。

 やべ、死んだ?

いや、まだ意識がある。

俺は銃を投げ捨て、

大きく飛び退いて目を閉じた。

 強い光に目をやられた。

俺はまぶたをゆっくり開いて、

周囲を確認した。

 そこには、下半身だけになったロボットがいた。

投げ捨てた銃は黒焦げて、煙を上げている。

良く見ると、俺の両手は大火傷だ。

 だが、勝てた。

でも、終わりじゃない。

 おもちゃのようにガクガク震える身体を、

なんとか起き上げる。

痛みで縮こまる手足を、

なんとか動かして俺は歩き出した。

俺はこの道の先に、一瞬でも早くたどり着く。

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