君の鎖骨3
(短歌九首)
この水を
早朝飲み干し目を覚まし
新しい日のはじまりとする
まっすぐな
視線にすこし照れながら
目を逸らしそう だからキスする
若かった
ふたりは宇治のマンションで
ふたりの暮らしをはじめた夏空
爽やかな
風がやさしく頬を撫で
孤りで暮らす日を慰める
はじめての
黄昏公園消えそうな
寂しさだけを理由にキスされ
悪役が
消えてくれないただの役
なのに心が染まる闇空
狼の
遠吠えを聴くこの部屋で
はるか昔の匂いがする闇
からまった
心がほどけた深夜二時
鈍感ぶって寝ている振りした
楽しげに
生きたいなんて玉の汗が
君の綺麗な鎖骨に浮かんだ