表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

低きに流れた結果

作者: 雉白書屋

 あるところに、おなかをすかせた一匹の狐がいました。食べ物を探して歩いていると、ブドウ畑を見つけ、狐は大喜びで近づいていきました。

 ところが、ブドウは高い木の上にあり、いくら背伸びをしても、跳び上がっても、あと少しのところで届きません。木に登ろうとしましたが、ずるずると滑り落ちてしまいました。


 ――へっ、あんなブドウ、酸っぱいに決まってる。


 ブドウが欲しくてたまりませんでしたが、すっかり疲れ果てた狐は、別の食べ物を探すことにしました。


 しばらく歩くと、柿の木を見つけました。狐はまた大喜びして木に近づき、跳び上がります。しかし、あとわずか届きません。


 ――ふん、あんな柿、どうせ渋いんだ。


 何度も挑戦して届かないことがわかると、狐はあきらめ、再び歩き始めました。


 とぼとぼ歩き続ける狐は、今度は蜜柑の木を見つけました。蜜柑の木は柿の木より低かったのですが、狐はすっかり力を失っており、背伸びすらできませんでした。


 ――あんな蜜柑、苦いに違いない……。


 狐はまたあきらめ、去っていきました。日が暮れ、暗闇の中を歩いていると、今度はメロン畑を見つけました。メロンは地面にたくさん並んでいます。


 ――これなら食べられるぞ! 


 狐は歓喜して駆け寄ろうとしました。しかし、そのとき――


「うおっ! あっ、狐か……」


 狐は驚いて跳び上がりました。畑には人間がいたのです。狐は思わず逃げようとしましたが、おなかがすいて、どうしてもメロンをあきらめきれません。その場にとどまっていると、人間がこう言いました。


「……もしかして、メロンが食べたいのか? よしよし、割ってやるからお食べ。さあ」


 狐は割られたメロンに飛びつき、夢中で食べました。メロンはとても甘く、狐は幸せな気持ちで満たされました。

 食べ終えると、狐は軽く「コーン」と鳴いてお礼を伝え、軽快な足取りでその場を後にしました。

 狐が暗闇の中に消えたのを見届けた人間は、ふうと息をつい、呟きました。


「番犬かと思って驚いたな……。さて、さっさと除草剤を撒くか。あの野郎、自分だけ儲けやがってよお、許せねえな。こんなメロン、どうせ大して美味くもねえだろうに。はははははは!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ