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食べ盛りにはハンバーグを

ご覧いただきありがとうございます。

楽しんでいただけますと幸いです。

 「夕食の準備ができたわ。来れそうかしら?」


 コンコンコンと部屋の扉がノックされ、声がかけられる。


 慌てて返事をし、扉を開けるとコロコロと鈴の様に笑うライカの顔があった。

 

 「そんなに急いで出てこなくても良いのよ?それともお腹空いてたのかしら?それだと待たせてしまって申し訳ないわ」


 「そう言う訳では……」


 お腹が空いていない訳ではないが、別に夕食目当てで飛び出て来たのではない。が、うまく言葉にできない。


 言葉に詰まっていると、早く行きましょうとダイニングに誘われる。

 

 「そうそう、貴方に渡したい物があるのよ。はいこれ、従業員証みたいなものだから常に身に付けておいてもらえるかしら?」

 

 「そんな物が…ありがとう、分かった」


 受け取った物を見ると直径3センチほどの丸い石に首から下げる用の紐が付いていた。


 石は透き通った深い青色をしていた。きっと宝石なのだろう。だが、この大きさの宝石を身に付けていると思いたくないため考えない事にした。


 受け取った「従業員証」を首から下げる。


 そうこうしている間にダイニングに着き、美味しそうな匂いが漂ってくる。

 

 「好きな食べ物を聞いていなかったから勝手に用意してしまったわ。お口に合うとういのだけど…」


 「大丈夫!食べれない物は無いし、匂いが既に美味しいから!」

 

 「それは安心だわ」

 

 意味の分からない事を言ってしまったが、ライカは笑ってくれる。優しさを噛み締めながら勧められた椅子に座る。

 

 「さあ、冷めない内に食べちゃいましょうか!」


 「ありがとう!いただきます!」


 「はい、召し上がれ」

 

 改めて皿の上を見ると何かの肉をミンチ状にし、丸めて焼いた物にソースを掛けた食べ物がメイン料理の様だ。あとはパンにスープ、サラダまで添えられている。豪華だ。


 メインの肉料理にナイフを入れると肉汁が溢れる。

 

 「うわぁ……!」


 思わず声が出てしまったがもはや気にする余裕はなく一口食べてみる。


 「!!美味しい……!!」


 何と牛肉である。ふわふわの肉からは肉汁が溢れ、口いっぱいに広がる。ソースも濃厚だが肉に合っている。


 「それは良かったわ。やっぱり食べ盛りにはハンバーグよね」


 この料理はハンバーグと言うのか。ずっと食べていたい美味しさである。こんなに美味しい物を食べさせてもらって良いのか………


 美味しい。本当に美味しいと食べ進めるレノは、ハンバーグの美味しさに気を取られてライカにまだ「食べ盛り」と思われている事実に気付いていない。


 「ふふふふ、そんなに気に入った貴方に、新しい食べ方を教えてあげるわ!」


 そう言ったライカは楽しそうにパンを手に取り小さくちぎってソースに付け食べて見せる。


 「!!」


 なるほど盲点である。この肉に合う濃厚なソースはパンにだって合うはずだ。


 ライカの真似をしてパンをちぎり、ソースを付けて食べてみる。


 「美味しい!!!」

 

 ソースに肉汁が混ざっておりこれだけでも満足できる美味しさだった。ライカは天才である。


 うんうんと目の前で満足そうに微笑んでいる美女が、本当は人の力を超えた力を持つ魔法使いである事を一時的に忘れさせるには十分だった。

読んでいただいた方がふわふわのハンバーグを食べたくなりますように。

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