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魔法使いの私生活

ご覧いただきありがとうございます。楽しんでいただけますと幸いです。


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週に1回は投稿出来たらと思っていますので、よろしければブックマークをして更新をお待ちいただけますと嬉しいです。

感想もいただけますと踊り喜びますのでお気軽にコメントいただけますと幸いです。

「色々ごめんなさいね…驚かせたり、お仕事を増やしたり…」


 ライカが申し訳なさそうにレノの様子を伺う。そんなライカを安心させようとレノは笑顔を返す。


「正直驚きはしたけれど、大丈夫!お仕事も、これくらい増えた内に入らないよ!」


 その言葉にライカが少しほっとした様子になる。レノにとっては自分の感情や仕事量などよりも、よっぽどライカの心身の安定の方が重要なのだ。


 ちなみに今は、家の図書室をライカと片付けている最中である。

 ロウルがいつも泊まっていたであろう客室をレノが使っているため、図書室にロウルが寝られる場所を用意ことになったのだ。


 レノが客室をロウルに明け渡す提案もしたが、ライカとロウルに却下された。

 ロウルとしては工房かリビングのソファーで寝れたら良いとのことだったが、それもライカが却下した。生活スペースで寝られるのは邪魔とのことだ。正直、レノとしても気まずい思いをしそうだったため、助かったと思っている。


「ありがとう、でも無理せず、ロウルが貴方に迷惑をかけるようなら直接言うなり、私に言うなりしてちょうだいね?」


 ライカの発言はレノの事を思ってのものだと分かるが、心がモヤっとする。

 ライカのロウルへの対応が身内に対するものであり、この家に住んでいるはずのレノの方が客の様な扱いになっていように感じられたからだ。


「分かったよ!でも、”お客様”をおもてなしするのも僕のお仕事だからね!」


「ふふ、頼もしいわ。ありがとう」


 客はロウルの方だと言う気持ちが言葉に漏れてしまい、慌ててライカに気持ちを悟られないように元気よく笑顔で自分の胸をトンと拳で叩く。

 任せてと言えばライカが嬉しそうに笑ってくれた。


(あぶなかった……働かせてもらっている身なんだから、もっと気を引き締めないと…!)


 レノはもう20歳で大人の対応ができるようになったと思っていたが、朝から続く動揺が尾を引いていたようだ。

 ボロが出る前に話題を変えなければいけない。


「そういえば、朝食の後にロウルが出て行ったけどどうしたの?」


「ん?あぁ、たぶん町に行ったのよ。そのうち、食料とかを買い込んで戻ってくると思うわ」


「え、食料?家にたくさんあるけど…」


 レノは定期的に町で買い物をしており、家の食糧庫には食材を新鮮な状態で長く保たせる魔法がかけられている。そのため常に食料は充実している状態なのだ。

 この豊富な食材こそがレノが毎日ライカの好物を模索できる要となっている。


「今はそうね、でも昔はこんなに食料は充実していなかったの。家にも町にもよ。だからロウルは泊まりに来るたびにたくさん食料を持ってきてくれたわ。その習慣が抜けないのでしょう。貴方の好きに使ってちょうだい」


 そう言うライカは遠い昔を懐かしむような眼をしている。800年という長い時間を生きているライカにとっての「昔」はきっとレノが想像もつかないほど昔だろう。人の文化がもっと発展途上だった頃から生きているのだから。それはロウルも同じなのだろうと推測される。


 そもそもレノも今でこそ毎日3食の暖かいご飯を食べれているが、数年前はかなり切羽詰まった生活をしていたのだ。食べ物の無いひもじさは身に染みて分かっている。

 ライカの生活の質向上のために色々模索できる今の時代と暮らしに感謝しかない。


 そう思うとモヤモヤとロウルに対して抱いていた対抗心が晴れていく。


「分かった、腕によりをかけて作るね!」


「そうしてくれるとロウルも喜ぶわ。食糧を手に入れられるからと言って、食料を加工できる技術はないのだもの。技術はあってもやらなかったりするし…必要な栄養が取れればいいみたいな…」


 言葉が進むにつれてライカの声がだんだんと小さくなっていく。しかも最後の方にとんでもない事を言っていた気がする。


「魔法使いは魔法で料理とかできるんじゃないの?」


 ライカが日常生活を魔法に頼っている姿を多々目にしているレノにとって魔法使いは皆、こういう便利な暮らし方をしているのだろうと思っていた。

 だがロウル曰く、ライカは規格外のところがあるらしい。


「料理に限らずなのだけれど、魔法は使う者の力量に左右されるのよね…魔法が使えない人にも物事の得意不得意があるでしょう?それと何の違いもないのよ。つまり、魔法が使えても料理が下手なら美味しくできないの」


「美味しくできないんだ…それは上達しないの?」


「もちろん、不得意な事も練習したら上達するわ。これにも魔法の有無は関係ないのよね。でもね…不老という特性のせいか魔法使いは私生活が雑なのよね…」


「な、なるほど…」


 確かにロウルも魔法使いは魔法という学問に没頭して衣食住が疎かになる人が多いと言っていた。確かにそんな魔法使いたちが美味しい手料理を作るために料理の練習をするとは思えない。


「均一のクオリティを求めるのなら魔道具化してしまった方が良いわね。食事を重要視していないから開発されないのだけれど。逆に味はともかく一口で必要な栄養を全て接種できる食べ物とかは開発されているわね」


 ライカが困ったものねと頬に手を当てて首を傾ける。


「でも、ライカは料理ができるよね?ライカの料理美味しかった!」


「そうね、多少はね。でも『料理ができる』と『料理をしている』は別なのよ?」


 ライカが苦笑する。


(あ、これライカも私生活を疎かにしていた魔法使いの内の一人だ)


 レノはライカの言葉の意味を正確に受けとり、今一層、仕事への熱意を持ったのだった。

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