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朝は焼き立てのパンを

ご覧いただきありがとうございます。

楽しんでいただけますと幸いです。

 目を覚ますと見慣れない天井が目に入る。


 昨日、お風呂を出た後ライカに、疲れているだろうから早く休めと部屋に戻されて、そのまま眠ってしまったらしい。


 今日からいよいよ仕事が始まる。まずは朝食の準備からだとレノは起き上がった。


**********

 ライカがおはようと言いながらダイニングに入ってくる。


 「良い匂いね。パンを焼いてくれたのかしら?」


 「おはよう!正解、ちょうど焼けたところだよ」


 「焼き立てのパンなんて素敵ね」


 ライカが微笑む。よし、と内心ガッツポーズをした。食糧庫にはパンもあったが、初っ端だからと焼いてみたのだ。


 (頑張って良かった…!)


 ライカの良さげな反応にそう思いながらパン、スープ、サラダ、イチゴジャム、バターとライカの朝食を並べていく。


 「…貴方の分は何処かしら?朝は食べない派?」


 「あ、僕は後から食べようかと…」


 雇い主と一緒に食べるというのはあまり聞いたことがないためライカの分しか並べていなかったのだ。


 昨日の夕食はまだ勤務開始前のため、ライカが自分をお客様として扱ってくれただけの認識であった。


 「ふむ…食べれそうな時は一緒に食べましょう?もちろん貴方が嫌でないければだけど」


 「そんな!嫌だなんて…!す、すぐ準備するから!」


 ライカの言葉を受けて急いで自分の分を準備する。


 「それは良かったわ。部屋には2人居るのに、1人で食べるのは気が引けるもの」


 レノの様子を見たライカがそう言いながら微笑む。レノとてライカとの食事が嫌なわけがないのである。


 2人分の料理を並べて共に食べ始める…振りをしてライカの様子を伺う。焼き立てのパンをちぎり、そこにバターとたっぷりのイチゴジャムを乗せて口に入れていた。


 (食べてくれた…!)


 ホクホクと見つめていると目が合ってしまった。


 「美味しいわ。ありがとう」


 そう言い、ライカはニコッと微笑むんでくれる。言わせてしまった感もあるが素直に嬉しい。


 そのまま食べ進めるライカの様子に安心してレノも自分の分を食べ始めるのだった。


**********

 食事のハーブティーを飲みながら雇用契約の詳細を詰める事となった。


 「お願いしたいのはお料理やお掃除、買い物などの家事全般ね。あとお店の方も手伝ってもらうかも知れないわ。あ、私の部屋と工房のお掃除、私の物の洗濯は自分でするから気にしないでちょうだい。」


 「分かった。」


 「それでお給料は月にコレくらい、そこから1割をお薬代とさせてもらうのはどうかしら?足りる?」


 「!?十二分です……!」


 思わず敬語になったがそれもそのはず、提示された金額は薬代を差し引いても相場より高い。これなら実家への仕送りが十分できる額だ。


 「それとお休みは自由に取ってちょうだい。数日間帰省や旅行に行ってもらっても構わないけど、その場は一言言ってくれると嬉しいわ」


 「ありがとう!もちろん数日間空ける場合は相談してからにするよ!」


 帰省まで考慮してくれるとは思わなかった。その他の詳細についても決めたが、ライカの提示する条件が破格のためレノは礼を言う事しかなかった。


 ひと通り詳細を決め、一仕事を終えたとばかりにハーブティーを飲んでいるライカに、昨日渡しそびれた物を差し出す。


 「コレは?」


 「妹からライカへの感謝の手紙だよ。出る時に預かって来たんだ。」


 「……ありがとう、確かに受け取ったわ」


 レノの言葉に手紙を手にとりライカが微笑む。そんなライカに対し笑顔を返す。


 「そうだわ、貴方、今日の予定はあるかしら?」


 「今日?掃除とか料理とか…」


 (さっき決めた仕事内容くらいしかやる事ないなぁ……)


 そう思っているとライカが提案をする。

 

 「家事以外にする事が思いつかないなら、ご家族に今の状況を手紙で知らせるのはそうかしら?レターセットならあげるわ。家事よりも優先してくれて構わないから」


 「!ありがとう!確かにちゃんとライカに会えて、雇ってもらえた事を伝えてないと」


 レノの反応にうんうんとライカが頷く。


 「それと手紙を出しに行くついでに町を見てくると良いわ。コレからお世話になる場所だもの。はい、お小遣いをあげるから好きに使ってちょうだい」


 そう言うとチャラチャラと音がする小さなな袋とレターセットが手渡される。


 「そんな!こんなに良くしてもらって、更にお小遣いなんて、貰えない!」


 レターセットは受け取り、袋の方はライカに返そうとするがやんわりと拒否られる。


 「町に馴染むには何かとお金を使うのが良いでしょう?別の町から来た子をウチで雇うのだもの、コレくらいは面倒を見るわ」


 ライカの笑顔にはこれ以上有無を言わせぬ圧があり、レノは素直に礼をいう事しかできなかった。


 袋に入っていた金額が想像より多く、帰って来たレノが余ったお金をレイカに返そうと一悶着起こるのはまた別話である。

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