第五話 到着
「や、やっと見えた・・・・」
奎援が洞窟に入ってからすでに二日が過ぎていた。モンスターの襲撃や、盗賊のアジトに迷い込んでしまったなどとアクシデントはあったものの、道に迷っていたことが一番の問題だった。洞窟の中は暑過ぎて寝れるようなところではなかったし、盗賊たちのアジトで休もうにも、気絶させただけなのでいつ起きてくるかわからないから休憩は出来たが、安心して寝ることは出来なかった。モンスターは一通り襲ってきた奴らだけを狩り、無意味な殺生はしなかった。そしてその間、奎援は一睡もしないで歩き続けてやっと山を越えたところで、後は城を目指して草原を渡るだけだった。しかし、この草原もなかなかの距離があった。
「見えてるのに全然つかないこのもどかしさ・・・・」
心の声を言葉に出しながらふらふらと草原を歩いていく。しばらく歩き続け、街の入口まで来たが
「怪しい奴を入れるわけには行かない。帰れ!」
門兵に追い返されていた。
「わかった、俺はここから動かないから、誰か城に使いをやって、騎心か、瑞姫って名前の奴を探してきてくれないか?ここで待ち合わせるように言われてるんだ」
意識がはっきりとしない中、なんとか言葉をしぼりだし、交渉する奎援。しかし、それでも相手は渋り、断固として奎援を街中にすら入れようとしない。数十分の交渉と言う名の言い争いを繰り広げていたところに、騒ぎに駆けつけた隊長らしき人と騎心がいた。
「奎援・・・こんなところでなにやってるのさ・・・」
「何も聞かないでくれ・・・・とりあえず寝たい・・・・ここ二日不眠不休だったからさ・・・」
「わ、わかった、じゃあボクが城に案内するよ、走る元気は・・・ある?」
「はっはっは、今の時点で既に騎心が分身して見える」
「ちょ・・・!?まったく・・・仕方ないな・・・」
奎援は騎心に肩を借りてなんとか街に入ることが出来た。門兵は門兵で、なんあんだ?あいつ、という顔をして、隊長らしき人は事情を門兵に説明した後、すぐ城に戻っていった。
城につく頃には奎援は虚ろな目をしていて、流石にやばいと感じた騎心はすぐに部屋に連れて行き、寝させた。騎心はおそらく、今まで死の不安が奎援を繋ぎとめていたが、それがなくなり、安心したから、虚ろな目になったんじゃないか、と思いながら奎援の部屋を後にする。
ついでに、奎援を部屋に連れて行くまで、通りかかる人や城の人にクスクス笑われていたのは秘密にしておこうと思う騎心だった。
「奎ちゃんは?」
奎援の部屋を出て、瑞姫に報告しに行こうと右を向いた瞬間、後ろから声がかかる。
「大丈夫、疲れて倒れるように寝ちゃったよ。あの様子だと、しばらくは起きないんじゃないかなな?」
「そっか、よかったぁ~・・・」
安心した瑞姫はほっと胸をなでおろす。騎心も実際、奎援のことが心配で待っていることが出来ずに、そこらへんを歩き回ってるところに、不審な男が、という情報が入り、もしやと思って向かったところ奎援だったのだ。
「まぁ、回復するまでそっとしといてあげようか?」
騎心がそういうと瑞姫もそれに頷く。
奎援ばかりに頼るわけには行かない。騎心は自分も力をつけることを決心するのだった。
年末で更新するのが遅れてしまいました・・・。
なんとか時間を見つけて更新してるのですが、この後の話の展開をどうしようだのと悩んでいた結果、なるようになる ということでその場のノリで話を作りました。
物凄く手抜きな感じがしますが、基本この小説はそんな感じなので、お見逃しくださいorz