婚約者の集い
懇談会の日となり、婚約者一同で王城へと向かう
門番にアストラ男爵としての証明書を見せて、中へと入る
因みに門番は、シンはよくラルフに呼び出されているため、また何かの用事で招集されたと思っている
門番1「アストラ男爵も大変なんだなぁ…貴族って楽なのかと思ってたけど、こんなにも呼び出されるなんて考えたくないぞ…」
門番2「あぁ…確かにな。俺等はこうやって応対するのは公爵様までだが、あの方は陛下とお会いになられるんだぞ…それも頻繁に…
緊張やらなんやらで胃が痛みそうだな…」
門番1「いつ呼び出されるか分からないって本当にキツイもんな…」
今日も門番達は、勘違いしながら王城の門を守っている
中ではセバスが直立不動で待っており、その前で馬車は停止する
セバス「ようこそお越しくださいました。」
シン「いつもお世話になっております。」
セバス「いえいえ、これも仕事です。それに、お嬢様が大変喜ばしそうに今日はこれを話したとお話なさるので、私達事情を知っている者は微笑ましいのです。どうかこれからも仲良くして頂けると有り難いです。」
シン「勿論です!」
セバス「それが聞けて安心しました。おっと…歳をとると、長話になってしまいますな。これ以上お待たせしてしまうと、お嬢様からの嫉妬を受けてしまいますね。それではご案内致します。」
シン「宜しくお願いします!」
王城内をセバスに先導され、とある一室に案内される
そこにはイリスとシャルが待っていた
イリス「やっといらっしゃいましたね、こちらへどうぞ。
セバスも案内ありがとう。」
セバス「いえいえ、ごゆるりと。なにか御用がありましたらお知らせください。それでは失礼します。」
そう言うとセバスは部屋を出ていった
その後、すぐに王女付きのメイドから紅茶が配膳され、
全員の前に紅茶と茶菓子が並ぶ
メイドは配膳を終えると、壁際に寄り直立不動となる
シャル「よし!これで現在の婚約者が全員揃ったね!」
イリス「そうですね。では第一回婚約者懇親会を始めましょうか。」
ハク「わぁ〜〜い!パチパチ!」
ハクが手を叩いて盛り上げる
アリス「あの…私達はここにいてもいいのでしょうか…?」
ナズナ「私達は奴隷なのですが…」
アリスとナズナは、婚約者であり、シンの奴隷でもあるということになっている
特に奴隷であることをシンが強制したわけでは無いが、
婚約者となった時に解放しようかと相談すると、
アリス「私はこのままで良いです。」
ナズナ「私もです!」
シン「え?なんで?解放されたら何の不自由もなくなるんだよ?」
アリス「………強固なつながりが欲しいからです。」
シン「どういうこと?」
アリス「アリシア様はご主人様が赤子の頃からお世話をしているとお聞きしています。
ハクちゃんは妹として、
イリス様やシャルロッテ様は王女や公爵令嬢という何かしらのご主人様との婚約するにあたって地位を持っております。
ですが、私達には奴隷以外何もありません。あってもメイドという立場です。
メイドだけであれば、外野から何かしら圧力をかけられると対応できませんが、奴隷という立場があれば、手出しをすることは出来ません。
奴隷は主人に帰属しますから。」
エリス「アリスの言う通りですね。人の醜い欲は際限ないものです。マスターは物理的には世界最強です。しかし搦手にはまだまだ弱いものです。もし権力で押されようものならマスターでは対応しにくいものも沢山あります。
使えるものは使っておいたほうが良いでしょう。」
シン「う〜ん…そういうものなのかな…度し難いね。」
アリス「少なくとも、婚約ではなく結婚する、若しくはご主人様が伯爵以上の権力を保持することができれば、何も言われなくなるでしょう。それまでの辛抱ですね。」
シン「ごめんね2人共、不自由を強いることになってしまって…」
ナズナ「不自由だなんてそんな!ご主人様はとても優しくて、普通の奴隷ではありえないほどの待遇を与えてくださいます。それに奴隷なのに婚約者として受け入れてくださって…」
アリス「そんなご主人様を私達は好きになったのですよ。人として扱ってくれて、不自由など感じさせないくらいいろいろな物を与えてくださる…だからこそくださったもの以上のものをご主人様にお返ししたい、一生お側で、支えたいと思ったのです。」
シン「アリス…ナズナ…分かった!なら、早く2人を解放して、誰に何も言わせないようにしないとね!」
エリス「その意気です。」
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こうして、アリスとナズナはまだ奴隷兼婚約者となっている
しかし、アストラ家やカルミナ家では奴隷ではなく婚約者として扱われ、一切気にすることもなくなっていた
勿論イリスとシャル達も奴隷ではなく婚約者として扱っている
シャル「アリスお姉さんとナズナお姉さんまたそんな事を言っているの?前から言ってるじゃない!
ここにはそんな事を気にする人は誰もいないよ!2人共私達と同じくシン君の婚約者なんだから!」
イリス「そうです!なにか文句がある人がいたら、私が王女の名において罰を与えます!」
アリス「…………そうでしたね、ごめんなさい。」
ナズナ「いつまでもこんなこと言ってしまっては駄目ですね。」
シン「何か言われたら僕に言ってね?その人は潰すから!」
ハク「お姉ちゃん達を悪くいう奴は神獣フェンリルの娘として、神罰の代行をしてやる!」
アリシア「そうですね…その時は私も剣聖としてやりましょうか。」
フラン「私も氷魔法で凍りつかしてあげる!」
アリス「皆…ありがとうございます。」
ナズナ「ありがとうございます!」
こんな一幕があったが、その後は改めて懇親会が始まった
イリス「では改めて、懇親会を始めましょうか。今回新しく婚約者になったフランお姉様を含め、互いに親睦を深めていこうと思います。」
フラン「新しくシンの婚約者になりましたフランです!
皆さんと一緒にシンを支えていきたいと思います。よろしくお願いします!」
シャル「緊張しなくてもいいですよ!堅苦しい挨拶も敬語もいらないです!私達は同志ですから!」
フラン「ありがとうございm…ありがとう!」
イリス「流石シャルですね…仲良くなるのが早いです…」
こうして始まった懇親会ではあるが、内容はただの惚気やら、好きになった理由やら、ここがカッコいいここが可愛いといったシンにはとても恥ずかしい空間であったのは間違いない
そのため一部のみ紹介するとしよう
イリス「アリシアお姉様はシン様のどこが好きになったのですか?」
アリシア「そうですね…私は最初はなんとも思っていなかったんです。強いて言うなら守るべき存在…弟のような感じでしたね。
ご主人様が神託の儀でステータスを得て、魔の森へ魔物を倒しに行こうとした時に私は、止めるべきか悩みましたが、その時Sランクの私が守れば大丈夫かと思いました。
あの時は慢心していたのでしょうね。
魔の森に入るとどんどん奥へと進んでいきながら、魔物を倒すご主人様をハラハラしながら、ですがゴブリン程度なら見せて頂いたステータスであれば問題ないだろうと思っていたのです。
しかし、神獣であるフェンリル様と出会い、考えは変わりました。
私では敵わないと、どうやっても勝てる未来が見えないと
どうにかして、ご主人様だけを逃がすことだけを考えました。
ですが、ご主人様は笑っていました。
ご主人様が私に絶対防御の魔法をかけて闘い始めた時、その戦いぶりに目を奪われました。
神獣内でも最速を誇ると言われているフェンリル様を超える速度で動き、的確に攻撃を加えるその姿に…
その時自分の中の何かが変わったような気がしました。
私達獣人は強い者に惹かれます。
それは本能で、抗いがたい欲求に曝されました
恋心とは自覚していましたが、これは自分の胸の中だけにひめていたのです。
それをハクちゃんに見抜かれてしまいました。
行動の節々に出ていたのかもしれませんね…
そうして日々恋心を隠して、ご主人様をお世話していたのですが、イリス様とシャル様、ハクちゃんが婚約するという話を聞き、眼の前が真っ暗になりました。
どうしてもっと早くから行動していなかったのだろうと、これからどうすればいいのかという考えが頭をよぎりました。
シン様に呼び出され、何を言われるのだろうか…もしかしたら専属メイドの任を外されてしまうのではないかと恐れました。
私は我慢できず、気持ちを伝えました。
この場を逃すと、一生伝えることが出来ないと本能が伝えてきたのです。
後のことなど気にせずしましたが、結果受け入れてもらえて今に至ります。」
ハク「お姉ちゃんの気持ち私は分かる!お兄ちゃんとっても強くて、魅力的で、優しくて、最高なんだもん!」
イリス「そうなんですね…」
アリシアの告白までの経緯を話している場面もあれば、
シャル「フランお姉様!フランお姉さんのことも教えてください!」
フラン「良いけどなにがいい?」
シャル「えぇ〜っと…お姉さんって魔法を使うタイプ?それとも剣とかで戦うタイプ?」
フラン「私は魔法で戦うタイプだよ。得意な魔法は氷魔法なんだ!シンから貰った杖で戦っていると、シンの思いが沢山伝わってくるんだ!」
シャル「いいなぁ〜!専用の武器って!私は戦う力がないから…」
フラン「戦うことだけが重要じゃないからね。
私達が帰る家を守ることも大事だし、将来シンは領地を治めることになると思うから、その時にシンのことを助けることもできるかもね。」
シャル「……そうだね!私はその時のためにいろいろと学ばなきゃ!」
フラン「その意気!」
シャルとフランは早くも仲良くなっていた
シン「エリス?僕恥ずかしいんだけど…」
エリス「マスター諦めましょう。この場にいるのはマスターの婚約者です。皆さんはマスターがいなければこうやって集うことも無かったのですから。ほら、皆さん楽しそうにしてますよ。」
シン「そうだね…まだまだやることもあるし、気合い入れていかないとね!」
エリス「そうですね。」
まだまだ懇親会は続いていくようだ…
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次回は閑話休題となります。




