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迷いの姉妹 ノレア

〝精霊同化派〟教会の中で、もっとも人数が少なく評価の低いグループ。聖書の読み方がかわっており、ある個所で〝精霊は人と同化し、人の中に内在するようになった〟という解釈をしている。


 教会の隅っこで、その派の少女が、今日も敬虔に祈りをささげる。この派の中には自由な人間やすこしすれた人間も多いのだが、彼女はまっすぐに、何かを信じるような澄んだまっすぐな青い瞳をしている。160cm付近の低い身長にフチの薄い眼鏡。下がり気味の目。長い下まつげ。左端でわけおでこを出した前髪、もみあげ部分はたらし、後ろ髪全体は短めで後ろで結んだ小さなみつあみ。

〝精霊は内部に宿る、困った出来事があるとき、必ず正しさの気づきをくれる、その時人間が気づけるかどうかが問題なのだ〟

 精霊同化派のその言葉を心でつぶやきながら、祈りをささげる。


 彼女の瞳の中に映るのは、生き別れ妹の事だった。自由奔放で悪い事ばかりして、中学生の頃にはたばこも酒も隠れてやっていた。そのくせ自分には抵抗意識が強く、学校では優等生。彼女は、ある時自分の姉が、悪魔研究をしているとしってその本にのめりこみ、ついには悪魔を召喚して、姉を不幸に陥れた。それが姉に見つかると逃亡し、だが、姉が苦労して彼女の事を見つけると、彼女はすでに強力な悪魔に取りつかれていた。


あの時、妹から、悪魔を遠ざけそもそも自分に対する対抗意識を鎮める方法をおもいつかなかった。大人になった今でも(見た目こそ幼いが)それでも〝生まれながらに悪〟だったその少女を救う方法がいつか見つかるはずだと信じている。あの時自分がもっと、悪魔の研究の本を厳重に管理していれば。

「精霊は悪くない、気づかなかった私が悪いのだ」

 そう信じ彼女は祈りをささげる。


 その彼女の背中が、今老齢の神父によって叩かれた。それと同時に、先ほどのシスター〝エンリル〟の背中もふと別の神父によって叩かれた。

そして告げられた。

「エクソシストの仕事を頼みたい」

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