NO.1/高校
しばらくして、俺は高校生になった。
夏希が行くから受けた実山高校、なのに俺は、夏希のいない実山で生活している。
これほどまでに馬鹿らしい話があるか。
「相沢ー」
なんで俺はここにいるんだ?
何のためにここにいるんだ?
なんで・・・・・、どうして夏希はここにいない?
「なに?」
俺は、まるで身体の大事な部分がすっぽりと抜けてしまったかのように何も喋らなくなった。
無表情、無関心・・・何もかもが『無』になり、ただ生きてるだけ。
「あたし等と昼食べない?」
中三の卒業式から、俺は人形になった。
「そんなの全然オッケーだよーん!ミホちゃーん」
わけもなく。
「ホント相沢って軽いよねー!!じゃ、屋上でいい?」
見れば、声をかけてきた女子の後ろにはさらに数人の女子。
「おうよ! しかし軽いとは失敬な。俺はちゃんと好きになった女の子一筋・・・」
「じゃあさっさと用意してよー!こっちは授業中ずっと空腹に耐えてたんだから」
俺の話を遮り、ムスッとした表情で不満を口にする同じクラスの田中恵子。
しかし、その言葉とは裏腹に頬はほんのり朱色に染まっている。
そう、俺は知っている。こいつは俺に惚れていると。
萌星から来たツンデーレという名の種族だ。
「おっけーラジャ」
そして、爽やかな笑顔、そして優しく明るい声で答えるイケメンな俺。
人形になる、なんて、実際はそんなわけにはいかない。
面白い事があれば笑うし、ムカつけば怒りもする。
完全に人形になるなんて、俺には不可能だな。
どんなに悲しい事があっても、つらくても、それでも時間は過ぎてくし、世界は廻ってる。
人形のままでなんて、いられるはずがない。
「よーし、待ちに待ったメシだあああああ!!野郎共お!俺に続けえッ!!」
「ちょっと野郎とかふざけないでよ!!乙女に向かって失礼!!」
「ナヌッ!?貴様、女子だったのか!!」
「冗談も大概にしろカス」
クラス中が笑いで溢れる。
俺の一言でみんなが笑う。
「相沢バカじゃーん」
「ホントいっつも元気だよなー」
「お前悩みとかねーだろ!!」
そう、俺様は美形で面白くて女にモテて、勉強のできない愛すべき馬鹿・・・簡単に言うと、学校中の人気者だった。
「相沢ー早く屋上行こうよー」
「オッケオッケー!さあ、女の子たち・・俺についておいで!!」
「しね」
受験生なのでしばらく勉強に専念してきます。
なかなか次話投稿できないかもしれません;;
ですが頑張って進めていくのでこれからもよろしくお願いします!!