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また逃げられた

逃げられた……。うぅ……やっぱり私のこと嫌いになっちゃったのかなあ。あ、やばい。また涙出てきそう。


「なんで逃げるのぉ……」


「いや、微妙に近づくだけ近づいて、さっさと話しかけないからでしょ……。そりゃずっと後ろついて歩かれたら誰だって逃げるよ……」


「うぅ……」


学校が終わってから今まで、私はずっとコータに話しかけるタイミングをうかがっていた。何度か覚悟を決めて近づいたのだが、そのたびに避けられて、最終的には逃げられてしまった。


「何度も話しかけられるタイミングはあったでしょうに。学校出たときでも、コンビニでも、電車内でも、電車降りたときにでも」


「だって!3年も話してないんだよ⁈」


「だってじゃないよ。それも自分が悪いんだし」


「そうだけどぉ……」


どうしよう。こうやってるときは頑張ろう!ってなるけど、いざというときになると『霧嶋さん』と呼ばれたことが頭によぎって全然話しかけられない。うぅ……。やっぱりこうやってずるずると話しかけられずに終わるんじゃ……


「まーた暗いこと考えてるでしょ」


「うぅ……」


「前向きに考えないと!ほら、次こそちゃんと謝りなよ!」


「うん……」


「じゃあ、私は帰るね。また明日」


「うん、付き合ってくれてありがとう」


「まあ、心配だったしね」


そういうと伊織は駅に向かって歩いて行った。ああ、明日も話しかけられるタイミングはあるだろうか。百山君がまた学校を休んだら話しかけるタイミングが増えるかな……いや、そんなこと思ったら百山君に悪いな……


***


香奈と別れて、電車を待つ。定期の範囲外なのに香奈が心配でついてきてしまったのだけど、結局目的は果たせなかった。香奈はついてこなくても大丈夫と言っていたのだけど、ついて行ってもダメだった。……私もしかして邪魔だった?ついて行かなければ話をできていただろうか。……いや、無理だと思う……。もういっそ、私が話を付けたほうがいいだろうか。



香奈とは1年の時も同じクラスで、席が隣だったことから、よく話すようになった。見学したくても行きにくかった部活に一緒に行ってくれたり、試験前には一緒に勉強したりと、いろんなことに誘ってくれて積極的な子なんだと思った。実際は、あまり考えずに行動してしまうタイプなだけみたいだけど。部活も同じ部に入って、一緒に行動することが多くなりどんどん仲が深まっていった。


そんな香奈が、柏木君に対してはちらちらと見ているだけで何もできないでいた。それだけ香奈にとって大事なことなんだろうと思って、好きなのだろうかと思って、話を聞いてみれば何とも言えない話を聞かされた。どう考えても香奈が悪い。悪いのだが、香奈が仲直りをしたいというのなら、私はちゃんと謝ってそれを叶えてほしいと思った。でも、あまり手出ししすぎるのも良くないと思う。だから私は応援するだけにしようと思っていたのだけど……


どうしたものか。百山君に事情を話して、手を貸してくれないか頼んでみる?いや、柏木君は香奈と幼馴染だって知られたくないのかな?うーん、幼馴染というくらいだし親同士も仲良かったりするのだろうか。それなら、親に協力してもらって機会を作ってもらえるように頼んでみるとかはどうだろう。うん、ちょっと後でメッセージで提案してみよう。


……また百山君が休んだら、明日も話しかけられるタイミングがあるかな……。いや、こんなこと思うのはダメだ。ごめんなさい百山君。

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