表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/33

後ろにいる

あーびっくりした……。隣に……えっと、五十嵐さんだっけ……、がいたから多分普段席に居ないやつが居て邪魔だったのだろうと思って、さっさと逃げてしまった。久しぶりに話したな……。まあ、クラスメイトとしての会話といった感じだったけど。


 霧嶋さん、か……。柏木君と呼ばれたことは1回だけあったけど、霧島さんと呼んだのは初めてだな。自分で言っといてなんだが、何とも言えない気分だな……取り敢えず図書室で時間を潰すか。



 授業が始まるギリギリに図書室から帰ってくると、俺の席はもう空いていた。……?香奈の目が真っ赤だ。え、大丈夫?五十嵐さんと喧嘩でもしたの?そう思って五十嵐さんを見ると、五十嵐さんと一瞬だけ目が合う。……今、俺の方見てた?なんで?


 席に座るのを少しためらったけど、授業が始まるのに座らないわけにはいかず、そのまま次の授業の準備を始める。そして時間がギリギリだったので、すぐに担当の先生が教室へと入ってきた。


 そして5,6時間目が終わり、試練の1日が終わった。よし、帰ろう。さっさと帰ろう。5,6時間目の間の休み時間にも、なぜか知らないけど、五十嵐さんが俺のほうを見ていた。昼休みに香奈が話しかけてきた時も隣にいたし、なんか怖い。なんかやったっけ俺。え、大丈夫?そんなに俺が自分の席にいたことが気に食わなかったのか?ほんと怖いからさっさと帰ろう……



 学校から駅までの約7分。その道のりの半分くらいまで歩いてきているのだが……。何気なく後ろを見たら、香奈と五十嵐さんの姿があった。ええ……。今までこの時間に帰ったら、一緒になることはなかったのに。もしかして狙われてんの?撃ち殺されたりしない?取り敢えず、このままだと香奈と俺の家はかなり近いので、最寄駅から家までの間、凄い気まずいことになる。……取り敢えず、何とかして撒こう。




……撒けなかった。どういうこと?コンビニに行ったり、駅まで早歩きで行ったり、トイレに行ったり、他の車両に移ってみたりしたのだが……結局最寄り駅についても、後ろに香奈と五十嵐さんがいる。というか香奈に至っては、なんかちょくちょくこっちに来ようとしてた気がする。よくわからんし怖いから逃げたけど。……最終手段だな。このまま15分くらい後ろを歩かれるのは嫌だ。取り敢えず、駅を出て曲がり角を曲がったところで全力疾走をした。……なんでそんなに追いかけてきていたんだろう。訳が分からないよ。というか五十嵐さんまでこの駅で降りてたな……。この辺に住んでるのか?一から十まで訳が分からないよ。



 その後もランニング程度のペースで走り続けて家に着く。


「はあ、はあ、ただいま……」


「お帰り。どうしたの?そんなに息切らして」


母が出迎えるように玄関に出てくる。


「いや、走って帰ってきたから……」


「もー汗だくじゃないの……シャワー浴びなさいよ」


「あ―うん」


「なんでそんなに走ってきたの?」


「うーん、なんとなく?」


「……どういうこと?」



さっとシャワーを浴びてリビングに行く。


「あ、そういえばあんた、香奈ちゃんと同じクラスなんだって?」


「え、なんで知ってんの」


「香奈ちゃんのお母さんが言ってたからだけど」


 あーそりゃそうか。で、おばさんは香奈から聞いたのか?話してるなんて意外だけど。それにしても随分とタイムリーな話題だ。因みに俺は同じクラスだったことも、中2の時の話もしてない。何かあったことは、ばれてるみたいだけど。


「中学生くらいから家には来なくなったけど、学校ではどんな感じなの?」


「別に、普通だよ」


「ふーん。まあ、仲良くしなさいよ」


 仲良く、か。仲直りしたいかと言われても微妙な感じだし、一生話しかけるなとまで言われた相手と仲直りというのもあんまり想像がつかない。うーん……。まあ、いいや。なるようになるか。というか何も起きないだろう。起きないか?さっき謎のストーキングをされたばかりで、全く確信が持てない。


 そう言えば、雅紀は大丈夫だろうか。さっき、だいぶ良くなったと連絡がきたから大丈夫だと思うけど。

お見舞いに行こうかといったけど断られた。桃缶でも持って行ってやろうかと思ったんだが……


 あと、明日も一人となると気まずさ天元突破なんだけど。なんかストーカーもされたし。いや、あれはストーカーじゃなくて殺しに来てた可能性もあるか……。ないな、流石に冗談だ。いや、一人になったところを狙いに来てた可能性も無きにしも非ずか。それなら、なおさら雅紀がいないとまずい。……頼むぞ、雅紀。明日は学校に来てくれよな……

伊織ちゃんは保護者

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ