友達とのゴールデンウィーク
今日はゴールデンウィーク3日目。5日間連続の休みのうちのちょうど中間の日。前2日は特にやりたいこともなかったから、勉強したりアニメ見たり本読んだりと、完全に部屋に引きこもっていた。両親に「遊びに行ったりしないの?」と聞かれる始末だ。
というわけで、今日は雅紀と遊びに行く予定だ。昨日、「この前教えたバーチャルシンガーの展示イベントみたいなのがあるんだけど行かね?」とメッセージがきたのでそうなった。というわけでいってきます。
「いってきまーす!」
「あ、康太!今日何時くらいに帰ってくる?」
「え?えー何時くらいだろ?6時くらいだと思うけど」
「了解。いってらっしゃい」
「いってきます」
そして目指すは渋谷のハチ公前。人多いし、別にハチ公前じゃなくてもと思ったのだが、雅紀曰く、渋谷の集合場所と言ったらハチ公前、という事らしい。普段渋谷とか行かないだろうに……
集合時間の15分前になり、人がたくさんいるハチ公前に着く。それなりの人口密度の中、5分ほど待っていたら雅紀がやってきた。
「ごめん、待った?」
ちょっと高めの声でそう言ってくる。
「……5分くらい前に着いたってメッセージ送ったよね?」
「こういう時は『全然待ってないよ』だろ」
「申し訳ないけど、俺は異性愛者なんだ」
「俺もそうだわ、変な誤解すんな」
待ち合わせする度、毎回同じことしてくるんだよな……。自分が遅く来たら「ごめん、待った?」って言ってくるし、自分が早く来たら強引に「全然待ってないよ」とイケボ気味に言ってくる。特に後者は会話の流れガン無視でねじ込んでくるのでやめてほしい。ほんとわけわからないから。
「いやーマジ楽しみだわ」
「めっちゃ勧めてきてたもんね」
「なんだよ、康太は楽しみじゃないのか?」
「いや楽しみだよ。勧められてアップされてる歌全部聞いたくらいだもん」
そんなこんなで歩き出す。
「道こっちでいいんだっけ?」
「え?知らね。こっちじゃないの?」
「いや、地図見てきてよ……」
「地図見てもわからないし」
「せめて努力する姿勢を見せて」
雅紀が方向音痴なのは知ってるけど、何もしないとなると腹立つな……。まあいいか。
「まあいいや。多分こっちだと思う」
「オッケー。いつもありがとうございます」
15分ほどのんびり歩いて、会場に着く。
「おー、すげー」
「おーほんとだ。凄いなあ」
中には、いろんなグッズや絵がたくさんあった。うーん、本当に雅紀には良いものにめぐり合わせてもらった。
そのあとは一通り見て回り、最後にキーホルダーを買って会場を出た。キーホルダーはガチャガチャで何が出るのかわからなかったのだが、なかなか良いものが出た。
「いや―楽しかったな」
「そうだね。これもかわいいやつ出たし」
「そだなー」
さて、これからどうしようか。今からご飯食べて帰ったら、家に着くのは3時くらいになる。一応6時くらいかなあとか言っちゃったしなあ。もしかしたら、家に誰もいないかもしれない。普段なら別にいいんだけど鍵忘れたんだよな……
「なーなー、康太」
「うん?」
「康太はなんか趣味ってないのか?」
「え?趣味?……最近は漫画とかアニメとか?」
「いやまあそれはいいんだけど、それって俺が勧めたやつじゃんか。自分からこれが好きだとか言ったりしないし、そういうのなんかないのか?なんか俺ばっかり付き合わせて悪いだろ?」
うーん……そういわれると……、思い浮かばない。
「うーん、特にないけど、別に付き合わせて悪いってことはないよ?行きたくなければ来ないし、昔から俺はこんな感じだし」
「昔から?」
「あー、その、昔はよく振り回されてた記憶があって……」
「誰に?」
「霧嶋さんに」
「あー、幼馴染の」
「幼馴染だった、ね」
「前も思ったけど幼馴染って、そうじゃなくなったりするもんなのか?」
「することもあるんだよ」
いや、別に幼馴染じゃなくなったわけじゃなく疎遠になってるだけなのだろうか?いやいや、そこは心持の問題だ。
「……お前はまた仲良くしたいとかはないのか?霧嶋、なかなか美人だし」
「うーん……どうかなあ」
仲良くしたいかどうかと聞かれると……うーん。
「そうだなあ、昔に戻れるなら戻りたいというか、昔は楽しかったって感じ、かな?」
「ふうん。まあ、なんかあったら言えよ」
「いや、何もないと思うけど」
「そんなことないと思うぞ」
「え?」
「絶対なんかあると思う」
「いやいやいやいや。流石にゴールデンウィーク明けたらもう何もないって」
「まあ、そうならいいけどな」
その後、東京タワーに行って上空からの景色を楽しみ、家に帰ってきたのは8時くらいになってしまった。いや、まだ帰ってないけど。家はすぐそこだ。
「こ、コータ!」
……マジで、なんかあったわ雅紀。いや、これ 雅紀がフラグを立てたから起きたイベントだったりしないか?おのれ、雅紀……。