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第三話

「出席番号が早い順からだとありきたりだから、後ろのほうから始めるぞ~。」


さらに追い打ちをかけてきた。結局二番目に発表することになり考える暇はほとんどなかった。すぐに後ろの席の人の紹介が終わり、自分の順番がまわってきた。


「高校一年生の鷲宮和樹です」


ああ、やってしまった。クラスの一部から笑いが漏れた。あとは流れにまかせなんとか自己紹介を終えた。その後はとくになにもなく聞き流していたが、最後のほうに朝見た美女もいた。うちのクラスにいたんだと思いつつも自己紹介に耳を傾ける。


赤坂瑞希あかさかみずきです。好きなことは読書で苦手なことはスポーツ全般です。一年間よろしくお願いします。」


男子陣からものすごい拍手が起こった。まあ実際ものすごくかわいい。きっとクラスの人気者になるだろう。その後は書類関係を渡され余った時間はクラスメイトとの交流会が行われた。陰キャにとってキツイ時間になりそうだと思っていた時、後ろの席の人から話しかけられた。ものすごくかわいいが、驚くことに女子にしか見えないのに男子の制服を着ていた。頭が混乱していると自分の自己紹介をしてくれた。


渡邊真奈わたなべまなです。名前でよく女の子に間違われるけど男です。仲良くしようね。」


名前だけで間違われているわけではないと思うぞ、と心のなかでツッコミを入れつつも自然に返す。


「鷲宮和樹です。敬語じゃなくてため口でいいよ。あと下の名前でよんでくれ。」


「そっか、わかった。これからよろしく和樹君。僕も真奈でいいよ。」


「こちらこそよろしく、真奈。」


よし、なんとか一人は喋れる相手を作ったぞ。あとは特になく、帰るだけになった。帰る準備をしていると何故か真奈に引き留められた。


「これからクラスのみんなでファミレスに行くらしいけど和樹はいくの?」


「そうだなぁ、うーんと……やっぱりやめておくよ。用事があるから。」


「わかったよ。僕は行ってみるね。」


真奈にうそをついたことは申し訳なかったが、それでも行きたくなかった。また親しい誰かを、その人を失った時の、あの恐ろしさを、あの悲しみを、もう二度と味わいたくない。心の仮面に、そう誓ったから。


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