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乗り合い馬車にて〜秘めた想い、いつか…〜【ロベルト視点】

今回はロベルト視点(過去がメインですが、少しだけ本編も進んだ形)の話になります。サブタイからお解りになるかもしれませんが少女漫画ならぬ少女小説回になります(笑)

リザベルサイドでは何だかうさんくさいキャラに見えますが、実はこんなキャラです的な話になっている筈です←

 

 俺。ロベルト・ラドファルトが、リザベル・ファラティリア嬢と初めて会ったのは、まだ八歳になったばかりの頃だった。


 騎士団で当時副団長だった父が団長に昇格した為、国王陛下や王妃様に団長として着任の挨拶に来たのだが、それに付いて行く形で俺も王城に入った。謁見するのは勿論父のみだったが、謁見の後に騎士団の訓練を見学させてもらう約束をしていたのだ。


 「ロベルト、先程通って来た庭園は解るな? そこに東屋があるから、暫くそちらで待たせて貰いなさい」


 謁見の間へ向かう途中。父の言葉に「はい。わか

りました、父上」と頷き、王城内を警備する騎士の一人に案内されながら。季節の花が咲き誇る庭園へと歩みを進めた。


 庭園に着くと騎士は入口で父が来るまで待機するらしく、何かあればすぐに呼んで欲しいとの事だった。(東屋は入口から少し距離があるように感じたが、目視で確認出来る距離だった)


 騎士に『ありがとうございます』と礼を告げ、東屋まで行くと――…


 (あれ…誰か、いる?)


 淡いピンクのふわふわしたドレスを身にまとった小さな先客が東屋のベンチで猫のように丸くなって眠っていた。


 東屋は六角形の形で作られており、低いが壁もあり、それがベンチの背もたれの役割も担っているのだけど、小さな子供が横になると壁の高さより低い子供の姿は見えない。なので、東屋に入るまで気が付かなかった。


 その先客の顔を覗き込んで見ると、可愛らしい顔だが、その頬には幾筋もの涙の跡が見えた。


 (どうしたんだろう? 悲しい事があったのか…?)


 ぎゅうっと眉間にシワも寄っていたので、つい、その眉間に手を伸ばしシワが消えるようグリグリと押していたら――…


 「ん…なぁに? だぁれ?」


 …――明るく綺麗な紫色(猫のような目の形をしてる…可愛いな)の瞳が開かれ、俺の顔を写していた。


 「俺は…その、ロビンだ。お前は? こんなところで寝ていては風邪を引いてしまうぞ」


 誰だか解らない相手だったから、咄嗟に愛称で名乗ると、パチパチと瞬きを数回繰り返した目の前の女の子も『私はリザ、です』そう、おそらく愛称で名乗った。

 リザは『…少し休んでいただけだったのですが、眠ってしまっていたみたいです』と続けてから、ハッとして。


 『いけない、早く戻らないと…』そう呟き、眉を八の字にしていた。何だか泣きそうだし、本当は戻りたくなさそうだった。


 「戻りたくないのなら、もう少しここにいればいいんじゃないか?」


 そう提案してみるものの、リザは頭を左右に振った。


 「だめなの。私は、もっともっと…沢山頑張らなきゃいけないのです。将来、王子様のお嫁さんになる為に沢山、沢山努力をしなきゃいけないのです」


 そう言うリザが何だか酷く辛そうで思わず――…


 「なんだ、王子様の嫁になりたいのか? でも、お前今にも泣き出しそうだし…実際泣いてただろ? 凄く辛そうだぞ? んー、そうだ! 王子様の嫁じゃなくて王子様みたいなヤツの嫁になったらどうだ? それなら相手が本物の王子様じゃない分、努力の量だって減らせるだろ?」


 …――そう言い、俺はポケットからハンカチを取り出し、ちょっと顔に押し付けるような感じではあったかもしれないが、泣きそうな顔をしたリザの顔を優しく拭った。


 「…どうもありがとう、ロビン」


 リザは一瞬きょとんとした表情を浮かべた後に、嬉しいような照れているような。そんな顔で笑っていた。


 (良かった! 笑ってくれた!)


 その笑顔を見たら、何だか胸の辺りがポカポカ温かくなるような感じがした俺は、咄嗟にではあったけれど――…


 「なぁ、あのさ…リザ。俺、騎士を目指しているんだ。本物の王子様は無理だけど…童話に出てくるような王子みたいな騎士に、格好良くて立派な騎士になる! だから、王子様じゃなくて俺と――…」


 …――と、言いかけたところで。


 「まあまあ、お嬢様! こちらにいらっしゃったのですね! 先生がお待ちですよ。さあ、戻りましょう!」


 リザを探しに来た侍女が現れ、彼女は侍女に連れられて城の中へと戻り、どこかへ(まあ、今思えば王子妃教育の続きだったのだろうな)行ってしまうのだが、別れ際、リザはこちらに振り向いて『ありがとう、ロビン! 私もお勉強や習い事、頑張ります!』と手を振り去っていったのだった。


 



 

 きっと、リザはこの時の事を覚えてはいないのだろう。


 でも、俺にとっては大切な思い出の一つだ。







 「ロビン、ロビン!」


 八歳の子供の声ではなく、十八歳の彼女リザの声に目を開ける。


 「…ん? ああ、ごめんね。少しウトウトしてしまったみたいだ。リザ、起こしてくれてありがとう」

 「ううん、もう少しで今日泊まる町に着くから降りる準備しよう?」

 

 “私”と彼女は、彼女の願い通り貴族達が使うような言葉ではなく平民のような話し方をしている。(最初は彼女だけだったのだけど、合わせる事にした)

 まあ、話し方を変えるのは得意だよ“俺”。何しろ、八歳の頃から変えている事が多いし。


 「そうだね。それじゃ、町に着いたらまずは宿を探さないとね」

 「うん! お腹も空いてきたし、夕飯も付く宿がいいなぁ」

  

 



 私の騎士団入隊後、初の任務は“リザベル・ファラティリア侯爵令嬢の護衛”(彼女が望んだ平民生活を実施した上で、音をあげて王都に帰るまでの道中も含む)だった。


 今、正にその任務中なのだが、この任務につけたのは学園時代の実力(剣術、体術の実技は入学時から首席を維持し続けて来た)と、後はもう、俺にとってはただただ幸運だった、と言う事なのだろう。


 (卒業式の日まで、まさかこんな未来が待っているとは思いもしなかった。次期バーカス男爵と次期夫人には感謝だな。次期男爵夫人に纏わり付かれていた時にはウンザリだったが、リザが次期夫人が言うような悪質ないじめをする筈がないと信じて。次期夫人へのいじめについては、次期夫人が一番ベタベタして…いや、親密だった次期男爵が解決すべき事だと…まあ、王家の影の方達の調査に協力はしていたが、それ位のリザへの手助けなら問題なかっただろう。結果は次期男爵達は、とても愚かとしか言えないものだったが。しかし…堪えに堪えた甲斐はあったってものだな)


 リザは俺がファラティリア領辺境にある村までの片道分のみの護衛だと思っているようだけど、ずっと一緒に村に滞在すると知ったら、また驚くんだろうな。驚くだろうリザの顔が思い浮かぶ。今から楽しみだ。







 


 『あのさ、リザ。俺、騎士を目指しているんだ。本物の王子様は無理だけど…童話に出てくるような王子みたいな騎士に、格好良くて立派な騎士になる! だから、王子様じゃなくて俺と――…』


 夢に見た、幼い頃の記憶にある途切れた言葉。


 続きを伝えるチャンスなど、もう巡っては来ないだろうと思っていた。けれど、チャンスは再び巡ってきた。


 近い内に必ずリザに伝えられる“俺”になるから。


 (だから、どうかその時まで待っていて――…)


 …――願わくば。彼女が俺を選んでくれますように。

 

ここまでお読み下さりありがとうございます…!!


乙女ゲーでのロベルトは最初、幼少期の出会いでリザベルに惚れていましたが、優秀で人望もある第二王子の婚約者と後に知り、諦めます。

そして、高等部に入り、明るく誰に対しても優しく平等に接するヒロインと仲良くなり、ヒロインへの嫉妬から虐めを始め、ヒロインを悲しませるリザベルを憎み出す…な展開でしたが、転生リザ達の世界は完全に乙女ゲームの世界という訳ではなく、忠実な流れ(シナリオ補正が効かない)にもならなく、登場人物の性格も実力もゲームとは違う人物もおり、展開が違っていた為、ロベルトはずっとリザの事が好きだったりします。(解り難くてすみません;)


また、村でのスローライフが始まっても、暫くはロベルト→リザベルの図式になりそうです。(未定なので書かないかもですが、もしかしたら今後ロベ→リザ←???な展開もあるかもしれません。)

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