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乗り合い馬車にて〜隣の席が、まさかのあの人!?〜

ようやく領地(辺境の村)へ向かい始めました。村まではもう少し掛かりそうです。


 「あ、あの? 今日は…良いお天気ですね? どちらまで行かれるのですか?」


 現在地、王都のどこか。ラドファルト領経由ファラティリア領行きの車内にて。


 ラフな格好をし、肩から少し大きめの茶色い革の鞄を下げて隣に座った青年。彼は白金色のサラサラとしていそうな髪(解けば肩より少し下位までの長さかな?)を緩く束ねており、やや垂れ気味の水色の瞳をしているのだけど、穏やかそう…優しげと言えばいいかな? そんな印象を受けた。

 口元に笑みを浮かべていて今にも機嫌良く鼻歌でも歌い出しそうな、そんな青年に声を掛けた――…って言うか、ね? この人! 凄く見覚えがあるんですよ!? あ。手紙では伝えたけど、直接お礼は言ってなかったな…


 そう、彼ですよ。卒業式の日に助けてくれたロベルトこと“ロベルト・ラドファルト”。何でここに居るの? 偶然?



 「ええ、良いお天気ですね。卒業式以来ですね、リザベル・ファ 「わあ!」…リア嬢? ええと、体調はもう宜しいのですか?」


 あ、危ない。まだ乗客が少ないとは言え、フルネームで呼ばれるのは避けておきたいところだ。


 「…大きな声を出してしまい申し訳ありません。体調につきましては、大丈夫です。ご心配頂きましてありがとうございます。それから、私の事はリザベル、もしくはリザとお呼び下さい。家名は出さぬようお願いします」


 一瞬、驚いた表情を浮かべたロベルトだったが、すぐにまた微笑を浮かべて頷いた。


 「ふふ、解りました。では、リザとお呼びしますね。私の事も気軽に…そうですね、ロビンとお呼び下さい。他にも気をつける事はありますか?」

 「え? ええ。では、ロビンと呼ばせて頂きます。あ、その、今はまだ人が少ないので良いのですが、もう少し乗客が増えて来ましたら口調も平民が使うような口調、と申しますか、そのような口調でお話しますが、お気になさらないで下さると助かります」

 「はい、解りました」


 物分りがよくて助かるよ。あ! そうだ。卒業式の時のお礼を言わねば!


 「あ、あの、卒業式の時は助けて頂きましてありがとうございました」


 ロベルト…ロビンにペコリと頭を下げた。


 「いえいえ、どういたしまして。あの時は大変でしたね。リザが無事で本当に良かった」


 そうキラキラした笑顔を向けられて、(騎士だ! 彼は本物の騎士様だ…!)感動した。


 「あの…ところで、ロビンはどちらへ行かれるのですか?」

 

 今度は普通に気になったので尋ねてみると――…


 「ああ、私は護衛任務でファラティリア領へ向かっているのですよ」

 「まあ、そうなのですか」


 仕事かー、お疲れ様です。 


 ここで、ふと思い出したんだけど。ウチの領地の隣って、ロビンの家の領地なんだよね。ウチの領地が国境(しかも二…いや、三ケ所、か?)に面してるから、いざと言う時に介入出来るようになのか偶然なのかお隣さん、だったりする。


 あれ? ロビンって確か卒業後は王立騎士団に入隊したんだよね? 護衛って事はお偉いさんも乗ってるの? 乗り合い馬車に? 私はこれもスローライフへの第一歩だからと家の馬車を使わず乗り合い馬車で、領地の端に向かいつつ旅をしながら向かう事にしたんだけど。 んー? それらしき人は見当たらない…? あ。ラドファルト領で合流するのかも?


 「あの、護衛対象の方は?」

 「私の隣に居ますよ?」


 と言うので、ロベルトの左隣を見れば空席。


 「居ませんけど?」

 「ふふ、嫌だな。右隣に可愛らしいお嬢さんがいるじゃないですか」


 そう言い、私を見て来たのだけど(可愛らしい?? 私は…今は三つ編みにしているけれど、黒色で長いウェーブ掛かった髪に、明るめだけど紫色のやや釣り目から、キツそう、怖そうとか。友人以外から学園時代にそう言われていたんだけど?)――…まさか。


 「あのー、まさかとは思いますが私、ではないですよね?」

 「いえいえ、リザの事ですよ」


 はあぁああ!? と、叫ばなかった私を褒めて欲しい。


 「えっ!? あの、可愛らしいは置いておくとして。どういう事ですか!? 私の護衛!? 分かりやすく説明して下さいます!?」






 …――で、話を聞いてみたところ。


 「なんと! 国王夫妻の計らいで…!」


 そりゃ、断われないわ。ロビンも私も。


 「てっきり父様達が騎士団に依頼したのかと思ってしまいました…」


 何でも、今回アホの第二王子(あ、もう元が付くか)改め…次期バーカス男爵の件で、私が暫く傷心を癒やす為に王都を離れ、領地の中でも奥地(辺境と言われても気にしませんよ?)へと向かい、そこで修道院に入ると聞き…うん、どこでそんな話になった? 修道院で傷心は癒えるものなのか? 解らない。まあ…とりあえず話を戻そう。


 そこで、護衛も居ないと聞き(私、これでも高魔力保持者ですし、魔法の成績も良かったので、大抵は自力で身を守れるって訳です。あ、そう言えば自分の事も魔力が高い位しか知らなかったりするんだけど、ゲームではキャラのステータスとか見られたよね? この世界でも実際に見られるものなのかな? 後で試してみよう)、それならば、私達からリザベル嬢に護衛を付けよう。と、なって。話は騎士団へと行き、何人か集められた護衛候補の中から――…


 「私が立候補したんです」


 …――との事だった。


 まだ聞かなきゃならない事があるんだけれども。国王陛下達からの計らい(いや、気遣って頂けるのは有難いのですが…まさか護衛が付くとは…!)とは言え、入隊早々に遠征? させてしまう事になって申し訳ない、申し訳ないとも思うんだけれども! 


 先にも述べた聞かなきゃならない事。何故、立候補してくれたのかも尋ねてみたところ。


 「そうですね…理由は幾つかありますが。楽しそうでしたので」


 と、ニコニコ笑顔で答えてくれたので、有難く付いて来て貰う事にした。(いや、何か本当の理由が絶対ありそうなんだけど、少なくとも今は答えてくれそうにないからね。悪意も感じないしスルーしておこうかな、と)


 「それでは、ロビン。改めて、キタムラまでの道中どうぞ宜しくお願い致します」

 「はい、リザ。お任せ下さい。こちらこそ、これから宜しくお願いします」


 こうして、私とロビンとの二人旅が始まったのだった。


 

ここまでお読み下さりありがとうございます…!!(ブクマや評価も大変励みになっています…!!)

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