第五話 訓練
すごい間が空いてしまいました。これからもゆっくり更新していきます。感想や評価などをもらえると嬉しいです。
朝6時くらいだろうか自然と目が覚めた賢太はむくっと起き上がり、顔を洗ってすぐマフィンとともに外へと出る。今日も引き続き雲ひとつない快晴が広がっていた。とてもいい気分で朝を迎えたが、今日から始まる訓練で地獄を見ることになる。
「ねぇマフィン今日からどんな修行するの?」
まず賢太には戦闘に慣れてもらう。つまり魔物を狩りまくるということだ。
そう言って、すぐさま訓練が始まる。しかし本当にただ魔物を狩って狩って狩りまくった。そして1日目が終わり2日目、3日目もただひたすら狩るという生活が続きそんな生活が10日続いた。
そして11日目ようやく次のステップへと進むことになった。
「・・よく頑張ったな。このくらい慣れれば問題すないだろう。」
「あー〜ようやく終わりかー!きつかった!」
賢太にとってこの10日間は相当きついもんであった。戦闘に関しては化け物級である賢太にとって魔物を倒すことなど造作もない。
しかしなにかを殺すというのは、温和な日本で育ったものにとっては結構精神面にくるものがある。血や臓器などのグロい部分に慣れさせることもマフィンはおそらく考えていたのだろう。そういったことを乗り越えた賢太は大きく成長したと言えるだろう。
「・・よし、じゃ次の訓練は格闘術と精密な魔力操作だ。」
「え?今までのが格闘術じゃないの?」
「・・いままでのはただ敵を回避して、ぶん殴っていただけだ。あんなものは魔物にしか通用がしない。もし対人戦をする時が来た時いくら力を持っていても高度な格闘術を身につけているものには勝てない。」
「なるほどね」
賢太は昔テレビで筋肉ゴリゴリの男をヨボヨボのおじさんが簡単に倒していた映像を見たことがある。だからマフィンが言ったことはとても納得ができるものだった。
「よし、じゃあ始めよう。」
そう言って格闘者と魔力操作の同時並行で訓練を始めた。今回、賢太が覚える格闘術は光一族が代々受け継いで来たもので、相手の気というのを感じ相手の動きを読んだり、一撃の威力をあげたりと万能な格闘術だ。普通こういうのは長い修行を重ねて身に付けるものだが、
今回はマフィンが賢太の体を無理やり動かし体に覚えさせるという強引な方法でやっていく。これにより大幅に時間が短縮でき、同時に一定の魔力を体で覆ったり、体の一箇所にだけ魔力を集中させるなどの魔力操作の訓練も同時並行で行い相当ハードな訓練が続き、一ヶ月がたちようやく一通りの訓練が終わった。その頃には賢太はほぼ完璧な魔力操作と格闘術を身につけてていた。
そして”印”をつけながら訓練をしていたため転移でいける範囲がものすごく広がっていて森を抜ける一歩手前くらいまで来ていたので今日はそこに転移して森の外に出ることにしてみた。転移すると気の使い方をマスターした賢太はあることに気づく。
「なぁマフィン、あの奥で誰かが戦ってない?」
「あぁ。しかも結構な規模だ。少し行ってみよう。」そう言って気配を完璧に消し目に見えるところまで接近すると人間と亜人が激しい戦いを繰り広げていた。
「おそらくあの仮面を被りながら戦っているのは兎族で間違いない、そして大きな盾と槍を持つ騎士は教会の連中だな。」
「なんで教会の奴らはこの森の亜人を襲ったんだよ!?」
「あの紋章はネフィスト教の奴らだな。この世界で最も信仰されている宗教であの宗教の教えの中には、亜人は人間達より下だという考えがあったな。だからああして度々狩にくるんだろ。」
「そんなのおかしいだろ!」
「仕方ない。この世界では亜人は悪と危険だと考えられているからな。」
それを聞き賢太はすごく気分が悪くなっていた。でも人間達が危険だと騒ぐ理由も今起こっている戦場を見てなんとなくわかった。
パッと見て教会側の騎士達は1000人以上あるのに対して兎族は100人程度で苦戦はしているものの兎族はみんな二刀流という変わったスタイルの戦い方でまるで剣舞のように美しい剣さばきで族長と思わしきものとその側近たちは教会側の騎士たちを押してすらいる。
「兎族強くね?」
「あぁ。この亜人の森の中で剣技においては
兎族の右に出るものはいないと言われているくらいだからな。しかし情報より人数がずっと少ないな、戦えるものは300人くらいいるはずなんだがな。」
そう話をしているとやはり数の力は強力らしい。さらに騎士の後ろにはヒーラー役である魔法使いが待機していて、瀕死に追いやっても周りの奴がカバーに入り、すぐさまヒールをかけるということをしていたので兎族にとっては最悪の状況だった。そんな時、兎族の身長や体つきからだいたい14歳〜15歳くらいの兎族の少年が捕まってしまった。助けてと叫ぶその少年に騎士たちは笑いながら殺さ無いように痛めつけるという拷問まがいのことを始めた。
「うゎゎわわわわ!痛い、痛い!助けて!!!」
悲痛な泣き叫ぶ声を聞いた聞いた瞬間、兎族たちは豹変する。お面の隙間から見える目が真っ赤に光り戦闘力が爆発的に上がる。そしてその少年を救出しようと敵をすごい勢いで切り刻んでいく、がやはり届かない。そしてひとりの騎士がその少年を殺そうと剣を振り上げる。
くそ!!間に合わない!自分にもっと力があればそう心の中で涙を流しながら悔やんでいた族長が
「やめろーー!!」そう叫んだ瞬間だった。
少年を殺そうとした騎士とその周りにいた者たちがとてつもない勢いで吹き飛んでいき、両者が困惑する。そんな中、族長のの目に映ったのは少年を抱きかかえ、すごい殺気を放った賢太の姿だった。
次話は早く上がると思います。