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9.おいでよバナス大森林

「お前さんめっちゃ強かったな!正直下級冒険者だと思って舐めてたよ!」


馬車道中、盗賊を追っ払った俺に向かっておっちゃんが興奮した様子で言ってくる。


「襲い来る盗賊を千切っては投げ千切っては投げ……しびれるねぇ!!」


現金な奴だなぁ……。

俺が使えると分かったらすぐに態度を変えてきやがった。

まあ良いか。

ぶっちゃけさっきの俺は格好良かった思うし、相手がおっさんとはいえ褒められて悪い気はしない。


そういえばレベルが2に上がってからまだステータスを確認してなかったな。

ちょうど暇だし確認してみるか。

今もさっきの戦いについて唾を飛ばしながら熱心に語っているおっちゃんを無視して俺は『ステータス』と念じた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『斎藤建一』

種族:人間

Lv:2/80

HP:160/160

MP:60/80

攻撃力:60+30

防御力:30+40

魔法力:70

素早さ:85



装備:

体:『ルビエド騎士の鎧:E+』

手:『ルビエド騎士の直剣:E+』


固有スキル:

『魔力変質:Lv__』


耐性スキル:

『刺突耐性:Lv1』『痛覚遮断:Lv1』


通常スキル

『観察:Lv1』

『殴打:Lv1』


称号スキル

『化物騎士:Lv1』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


おお!

結構ステータス伸びたな!MPが減ってるのはスライムを倒す時に使ったハンマーのせいか?

どうやら物を出したりすると魔力を消費するらしいが、傷を塞いだりする程度なら魔力を消費しないらしいな。

それってかなり強くないか?手足をもがれたりしない限り半永久的に再生出来んだろ?

んなもん不死身じゃねーか!もしかして俺って鈴木より強かったりして……?うわ、テンション上がってきた!


まぁそれは一旦置いといて、ステータスのチェックといこう

新しく追加されたスキルは、


『殴打』

『刺突耐性』

『痛覚遮断』


そして称号スキルの『化物騎士』の4つか。

まぁ他の3つは名前から予想できるから良いとして、問題は『化物騎士』だ。

勝手に変な異名付けられると困るんだよなステータスちゃん?

取り敢えず説明を見てみるか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

完全に化物としか思えない騎士に贈られる称号。

魔族の場合進化に影響する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


なんだよこれ!

完全に化物呼ばわりされてんじゃねーか!

種族上は人間だぞ!種族上は!


俺種族人間だから進化にも影響しないし完全に汚名被っただけじゃねーか!何でステータスまで俺を人外に近づけようとすんだよ!!


はぁ……はぁ……クソっ!

貰っちまった物はしょうがない。

他人にステータスを見せなければ良いだけだ。


「おいお前さん!もうすぐ着くぞ!」


俺がステータスを見ている間に馬車はかなり進んでいた様だ。

遠くの方に、町の物よりはいくらかお粗末だが立派な門が見えている。

正直言って門には悪い思い出しかないからもう入るつもりは無いが、あそこがカリス村か。

ふと俺が横に目を向けると、そこにはこの世の全ての植物を持ってきたんじゃないかと思う程の圧倒的な「緑」があった。

俺がそれに目を奪われているとおっちゃんが、


「そういやお前さんはバナス大森林に用があったんだったな。ここで降りていくかい?」


と言ってきた。


そうだった。俺は元々森を探しに町から出てきたのだ。

俺は目の前の緑……もといバナス大森林を見つめた。

正に隠れ住むには打ってつけの場所だろう。


近くに村が有るのが球に傷だが、それも奥地に住めば気にならないだろう。

正に今の俺にとって理想的な場所だった。


「ああ、ここで降ろしてくれ。」


「分かった。さっきはありがとうな!お前さん名はなんて言うんだ?」


「ケンイチだ」


「ケンイチか。俺はザナホックだ!今度城下町に来たら俺の道具屋まで来い!安くしとくぜ!」


「ああ。」


城下町なんてもう一生行かねーけどな!

俺はこのバナス大森林ちゃんと生涯を共にすると誓い合ったんだ!


ザナホックと別れると、早速バナス大森林に足を踏み入れた。

そして入ってすぐに俺は感激した。


『ノチゴ』『ジガウモ』『リンボ』その他諸々、生えている植物を片っ端から『観察』していくと、前の世界にあった植物と同じ様な物をいくつも見つけたのだ。

これなら食い物には事欠かなそうだ。

俺は新たな植物を探しにガンガン森の奥地へと踏み込んでいく。

あ!『モモン』見っけ!

俺が木に実っていたモモらしき果物に手を伸ばすと誰かと手がぶつかったのを感じた。


「ん?」


「ガァ?」


俺の横には身長3m超の腕が4本生えた熊が立っていた。


ーーーーーーーーーーー

『グレーターベア』

ーーーーーーーーーーー


「うわぁぁぁっ!?」


きゃぁぁぁぁ!熊ぁぁぁぁ!

誰か猟友会の人呼んでぇぇぇぇ!!

ヤバイヤバイヤバイふざけてる場合じゃねぇぞ。

コイツはやべぇ、今思えばこんな本格的なモンスターに会うのは初めてかもしれない。

俺は熊の方を向いたまま、3歩後ずさった、熊は4歩距離を詰めてきた。

……おーい、現代知識息してるー?


熊は涎を垂らしながら俺に向かって腕を振り上げる。

あっ……これ死んだわ。

分かるもん本能的に、だって人間だもの。

俺は涙を流しながら股間が湿って行くのを感じた。

バイバイ異世界!こんにちはあの世!今まで散々だったぜ!


「ガァァァ!?」


その時、急にズドンという音がして熊が崩れ落ちた。

……何が起こったんだ?

恐る恐る目を開けるとそこにはーーー


「もう大丈夫ですよ!人間さん!」


全身返り血まみれのの巨大ウサギが居た。


「きゃぁぁぁぁぁ!!!!!」


「な!?どうしたんですか!?」


神様ーーどうか俺の人生に安寧を下さい。

いや、マジで。

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新作はじめました。 現代日本で騎士の怪物になってしまった男の物語です。 貌無し騎士は日本を守りたい!
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