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75.祟龍ノ剛腕

ブックマークが200を越えたので近々記念に何かします。かなり先になるとは思いますが、次は300記念に何をするか考えなければ……

俺は、白い鱗が生えている変わり果てた自分の腕を見ながら雪道を歩いていた。

少しざらついていて、なんと言うか……触った事は無いけどトカゲの鱗ってこんな感じなんだろうなって感じだ。


「……隠しとくか。」


ブラウしか居ないとはいえ、こんなの着けて帰ったら心配どころの騒ぎじゃないからな。

完全に切断された鎧の腕部に鉄を流し込み、接着した。

……うん、ちょっと動かし難いけど、見た目的にはあんまり違和感無い。

鎧の腹に食らった爪痕は、直すのに時間が掛かりそうだからまあ良いだろう。

……ん?待てよ?腕が生えた時に腹も治ったよな?

まさか……!


「……マジかよ」


フィンブルの爪で抉れた部分に覆い被さる様に、白い鱗が生え揃っていた。

触ると、腕と同じくざらついた感覚。

うわぁ……、俺ってば只でさえ人外だったのに、ついにドラゴンともコラボしちゃったよ。

腕だけなら最悪切り飛ばして再生出来たけど、胴体は内臓とか傷つけて死にそうで怖い。

まあ、俺は滅多に鎧を脱がないから極論問題ないな!

……ほんとに問題ないんだよ!?(切迫)


「ただいまー……」


「お帰りなさいケンイチさん!料理は貰えましたか!?」


家に入ると、ブラウが凄まじい勢いで料理が入った籠に飛び付いてきた。

マズイ!また食われてしまう!


「……あげないぞ。大体、魔族は栄養を摂る必要が無いって言ってただろ。」


「ぐっ、余計な事を言うんじゃありませんでした……!」


ジャガイモを掴み、口に突っ込んだ。

今はあまり腹が減っていないが、あまり長持ちはしないだろう。

食える内に食っておく、それが大事だってどっかの偉い人が言ってた気がする。


「じーーーー」


「だからあげないってば!」


俺は次のジャガイモを取ろうと手を伸ばす。

しかし固い感触を感じ、手先を見るとそこにあったのは土色の酒が入ったひょうたんだった。

あー……そういや、酒貰ってたっけ。

蓋を開けて匂いを嗅いでみると、鼻につくツンとしたアルコールっぽい匂いと葡萄の匂いがまざっていて美味そうには感じない。


「その臭いはもしかしてお酒ですか!?」


ブラウが鼻をクンカクンカしながら目を輝かせ駆け寄ってきた。


「そ、そうだけど。」


「ください!」


「わ、わかった。」


「やったぁぁぁ!」


俺が酒を差し出すとブラウは大喜びしながら容器に頬擦りし始めた。

そんなに飲みたいか……、というかウサギってアルコールオーケーなのか?

まあ何回か飲んだ事が有るみたいだしあれだけで機嫌が取れるならそれはそれで良いか。

そう思いながら、最後のジャガイモを口に突っ込む。

よし、腹も膨れたしもう寝るか。


「んじゃブラウ、俺はもう寝るから……」


「ケンイチざぁぁぁん!」


ブラウが俺に覆い被さってきた。

え、酔っぱらうの早くね!?

ひょうたんの中身を見てみると、もうほとんど残っていなかった。

一口で全部飲んだのか、ペース配分考えろよ……。


「重たいわ!どけ!」


「あっ、すいません。」


ったく……。

明日は早くから村へマントを取りに行かなければならない。

今度はブラウの分の料理も貰えたら貰おう。

早く寝なければ。



「ん……」


冷たい澄んだ空気が鎧を頬を撫で、朝の日差しが誇りを照らしている。

朝か……昨日より更に肌寒い気がする。

早くマントにくるまりたい。


「おはようございます……」


「ああ、おはよう。」


俺は立ち上がり、体を伸ばす。

んー、ずっと鎧に押し込められてるから全身バッキバキだな。

今度鎧脱いで思いっきり運動しないとエコノミークラス症候群になってしまう。


「どこかいくんですか?」


「村にマントを取りに行く」


「あの……二日酔いで頭痛いのでお水貰ってきて下さい……。」


そう言い残すとブラウはガクッ、と藁に倒れ伏した。


「だ、大丈夫か?」


「早く……早く、お水ぉぉぉ……!」


「ブラウゥゥゥ!?」


ヤバイヤバイ!

早くしないと死ぬぞ!やっぱりウサギにアルコールはNGだったか!


「行ってくる!」


「お願いします……」


俺はドアを開け、外に出た。

メチャクチャ寒いな……良く考えれば雪が降り始めたのは昨日だし、冬本番はこれからか。


「コォォォン!」


雪道を走っていると、後方から魔物の鳴き声が聞こえる。

……何か来たか。


ーーーーーーーーーーーーーーーー

【『エイギルフォックス』C-ランク】

ーーーーーーーーーーーーーーーー


前に村を襲いに来たヤツだな。

足場が不安定なのは問題だが、ランクC-は安定して勝てる。

俺は背中から剣を引き抜いた。

しかし剣は根元からへし折れていて使い物になりそうにない。


「あっ……」


忘れてた……昨日の戦闘で壊れたんだった!


「コォォォン!」


「うわぁぁぁ!?」


エイギルフォックスの爪になんとか反応し、右腕を薙ぎ払う。


バゴォン!!


「コキュッ!?」


「え?」


右腕に当たったエイギルフォックスはゴムボールみたいな速度で吹き飛び、木に叩きつけられた。

えっ……え?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【経験値を500得ました】

【『斎藤建一』のレベルが39から40へと上がりました】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


なんか俺メチャクチャ強くなってね!?

試しに左腕で木を殴ってみたが、いつもと変化はない。

こっちの腕は強くない……?

俺は手甲を外し、右腕を確認する。

爬虫類然とした白い腕が露になった。

もしかして……これのせいか?

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新作はじめました。 現代日本で騎士の怪物になってしまった男の物語です。 貌無し騎士は日本を守りたい!
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