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57.遺跡

ブラウが走り出してから結構時間が経った。

しかし、未だに着地しようとしない。


「おい、まだ着かないのか?」


「……」


ブラウは下を向き、なにも答えない。

どうやら地上を見ている様だ。

え……まさか。


「もしかして……迷ったのか?」


「……!」


俺が聞くとブラウの顔が焦りに染まった。

あー……マジかよ。

絶対迷ってるわコイツ。


「違います!違いますから!……ほら!一旦あそこに着地しましょう!」


ブラウが急降下しだした。

俺に凄まじい圧力が掛かり、全身の血液が掻き回される様な感覚に恐われた。

ちょっ……まっ!


「ぬぉぉぉ……」


風圧が凄い。

もし鎧を着ていなかったらどこぞのリアクション芸人の様に顔がエグい事になっていたことだろう。

まぁ、元々エグいけど。ハハッ!(迫真)


ドガァン!


ブラウの着地と共に、足元の石片が飛び散る。

辺りを見渡すと、なんかの遺跡?っぽい。

朽ちかけた柱や建物がいくつかポツポツと建っている。

……どこすか?ここ。


「おい、ここからどう森に帰るんだ?」


「……分かりません」


「……マジか。」


俺はもう一度、辺りを見渡す。

魔物の姿は見えないが、かなり不気味な雰囲気を纏っていた。

……とりあえず、長居はしたくねぇな。

ブラウにさっきのジャンプをまたしてもらって、空から森林を探そう。

それを頼もうと思って横を見ると、もうブラウはいなかった。

遠くを見ると、遺跡の建物から出てきたブラウの姿があった。

……こんな時に呑気に何してんだよ。


「何やってるんだ?」


「あ、この建物に入ってみたんですけど、中にある扉を壊したら、その先に変な箱があったんですよね」


ブラウはそう言いながら、俺に四方30㎝程の小さな正方形の箱を見せてきた。

コイツ……自分のせいでこんな事になってるのに勝手に冒険しやがって……。


「お前……」


「……すいません、久々に森以外に来たから興奮しちゃって……」


「はぁ……まぁいいや、ちょっと見せてくれ。」


俺はブラウから箱を受けとる。

良く見ると、不思議な紋章みたいな物が幾つも書いており、

しかもかなり厳重に保管……いや、むしろ封印されてる様に見えないこともない。

も、もしかして、古代のアーティファクト的なアレ!?

マジか……!封印の武器とか絶対強いじゃん!これは開けるしかねぇな!

俺は箱の蓋を探すが、見当たらない。

仕方がないから剣で無理矢理中身だけ出そうとしたが、メチャクソ硬い。

くそ!こうなったら最後の手段だ!


「ブラウ!開けてくれ!」


「はい!」


ズゴォン!


ブラウの拳が箱に炸裂した。

いや、違う違う!お前のパンチじゃ中身ごと御陀仏だろ!

砂煙が晴れ見えた箱は、大きく凹んでいた。

うわぁ……。

これ絶対中身入ってたとしても壊れてるよ……。

そう思いながらも箱を手に取ると、凹んだせいか上の面がグラグラしている。

おお!開くぞ!

俺は隙間に剣を差し込み、こじ開けた。


「……へ?」


「何が入ってたんですか!?」


ブラウがワクワクした顔で俺の手元にある箱を覗いてきたが、中身を見た瞬間俺と同じくギョッとした。

中に入っていたのは、異常にデカイ蝿の死骸だった。

人の拳と同じぐらいのサイズで、見ていると何か寒気がする。

と、とりあえず、何なのか調べてみよう。


「か、観察!」


【能力差が大きいため正確な情報を取得出来ませんでした】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【『ベ◆$ビ%£ト』∃≪⌒+Λ】

【§¢に寄☆▼!$;に#:#§やす。】

【古¢@世*●£@$¥&#≠“∥〆#$】

【暴食&#〆£$ゝ〃▽▲⊂←⊿#+*#!】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あがっ!?」


観察を使った瞬間に圧倒的な頭痛と悪寒が俺を襲った。

思わず箱を手から落としてしまった。

視界が白くチラつき、吐きそうになる。


「け、ケンイチさん!?どうしたんですか!?」


心配そうに近づいてきたブラウの姿の先で、俺が落とした箱の中から黒い物体が空へと飛んでいくのが見えた。

ーーだめだ。

今あれを逃がせば、必ず大変な事になる。

ここで、殺す!


「バイルバンカぁぁぁ!」


全ての魔力を注ぎ最大サイズの槍を形成し、空へと打ち出す。

既に空高く飛んでいた黒い物体だが、ギリギリ届き槍がソイツの体を掠めた。

しかし少しだけ体勢を崩しただけで、どんどん遠ざかっていった。


「あ、あ……!」


「ケンイチさん!ケンイチさん!?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【バイルバンカーのレベルが3から5へと上がりました。】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


魔力を使いすぎたせいなのか遠のく意識の中最後に聞こえたのは、俺を心配する温かい相棒の声と、事務的な冷たい声だった。

なん、だったんだあれ。

意識が闇に呑まれていく。

ああ……ちくしょう……。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【称号スキルに『災禍の元凶』レベルMaxが追加されました】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ブクマが100を越えた記念に、モンスター図鑑やります。

3日以内には完成すると思うので、しばしお待ちを。

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新作はじめました。 現代日本で騎士の怪物になってしまった男の物語です。 貌無し騎士は日本を守りたい!
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