27.早朝
「う……ん?」
視界に光が入ってきた。
もう朝か。あー、よく寝た。
「すぴー、すぴー」
ブラウはまだグースカ寝ている。
コイツ夜更かししやがったな。
まぁいいや。朝の運動がてら二人分の果物でも取ってくるか。
俺は家のある開けた場所から出て、森に入っていく。
いやー、やっぱ早寝早起きって大事だわ。
日本に居たときとは比にならないくらい頭すっきりしてるもん。
それに運動もしてるからか、人間らしい生活をしている気がする。
「グラァァァァ!!」「ゴルルルルル……」「ガァァァ!」
「ガルァァ!」
茂みからグレーウルフが出てきた。
仕方ない、やっちまうか。
俺は一番近くのヤツを切りつけた。
「キャン!」
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【経験値を20取得しました】
【通常スキルに、『斬撃』が追加されました】
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よし、いっちょ上がり。
俺も馴れたもんだな。
俺がこの一週間ちょいで学んだ事だが、グレーウルフはよっぽど確実に勝てる時以外仲間が一体でも死ぬと、即座に逃げに転じる。
そのためサクッと一体やって撤退させるのがオススメだ。
一体誰に向かってオススメしてんだって話だが。
ちなみに俺の場合ラノベ主人公とかによくある、命を奪う事に対する葛藤とかはほとんど無かった。
こっちだって生きんのに必死なんだ。趣味でやってんじゃない。
お、モモンの木がある。珍しいな。
モモンの木は只でさえ数が少ないのに前まではグレーターベアが陣取っていておちおち採りに行けなかったからな。
モモンをもいでいく。
しかし、3つほどもいだところで俺は異臭に気づいた。
鉄っぽい臭い、それはこの世界に来てから嗅ぎ慣れた血の臭いだ。
かなり近いな。
しかし周辺で魔物同士が縄張り争い等をしている気配はない。
俺は不思議に思い、モモンの木の裏側に回りこんでみた。
するとそこには、体を無惨に食いちぎられた小さな熊の死体があった。
恐らくあのグレーターベアの子供だろう。
……どこの世界でも保護者が居なくなって一番に危機に晒されるのは子供ってわけか。
グロいのには馴れたもんだと思っていたが、こういうのが一番キツい。
あの状況ではしかたなかったと自分に言い聞かせせるが、それでもなおキツい。
俺はグレーターベアの子供を土に埋めてやり、その上に1つモモンを置き、手を合わせた。
「来世は人間に生まれ変われよ」
そう一言言って俺はその『モモン』の木から離れていく。
そうだ。これが、森で暮らすという事なのだ。
これが、スローライフという物なのだ。
綺麗な一面だけを見てるだけじゃ駄目だ。
このグレーターベアの子供のためにも楽しく生きよう。
それが俺のこいつに対して出来る唯一にして最大の弔いだ。
俺は周りに合ったリンゴと梨を3個づつ取った。
うし、じゃあ帰るか!ブラウが待ってるだろうしな。
俺は家の方面に歩きだした。
そういえばグレーターベアを倒して大幅にレベルアップしてから色々合ってまだステータスをチェックしてなかったな。
家に着くまでの暇潰しがてら見ておこう。
『ステータス』
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『齋藤健一』
種族:人間
Lv:27/80
HP:196
MP:170
攻撃力:80+30
防御力:40+40
魔法力:80
素早さ100
装備:
体:『ルビエド騎士の鎧』E
手:『ルビエド騎士の直剣』E
固有スキル:
『魔力変質Lv__』
耐性スキル:
『刺突耐性Lv1』
『痛覚遮断Lv3』
『殴打耐性Lv4』
『衝撃耐性Lv5』
通常スキル:
『刺突:Lv3』
『斬撃:Lv1』
『殴打:Lv1』
『バイルバンカー:Lv1』
称号スキル:
化物騎士Lv1
村の英雄Lv2
ロードオブナイツLv1
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スキルはガッツリ増えたが、ステータスの伸びはかなり悪いな。
MP以外ほとんど伸びてないぞ。
まぁ良っか。今すぐ倒したい敵が居るわけでもないしな。
のんびりやろうのんびり。