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18.騎士と村娘

さて……水も使えないし、解体作業どうすっかな。

血が着いたままでも火通したら食えんのか?せっかくの肉だ。無駄にはしたくはない。

それにちょっと腐ってたとしても焼けば大丈夫だろ、うん。

物は試しだ。早速火を起こしてみよう。 えーと……確かなんかの映画で火の起こし方見たな。

確かその映画では新聞紙と炭を使っていた。

新聞紙も炭もねーよ!どうすりゃ良いんだ……


こうなったら我流でいくしかねぇ!

とりあえず家の中から藁をもってきて、それを1ヶ所に固めてみる。

そして近場から手頃な石を持ってきて、それを打ち付けあって火花を出し、点火させる!

フハハハハ!名付けて!『原始人大作戦』!猿でも火に出会えたんだ!俺に点火出来ねぇわけがねぇ!

ちょっ、熱っっつ!火花が手に飛んできた!

そういや俺今手甲外してたんだった。

俺は急いで手甲を装着し、点火作業を再開する。


火花自体は結構出てんだけど、中々燃え移ってくれない。

あー、これ一生燃えないやつだわ。直感的に分かるもん。

やっぱ我流は良くないな。違う方法でいこう。

今度は一番スタンダードな方法でやってみるか。

みんな小さい頃1度はやったであろうあの方法である。

まず葉っぱを集め、1ヶ所に固める。

藁が葉っぱに変わっただけで、ここまではさっきと同じだ。ここからは違う。


俺はさっき魔法を出そうとして拾った、木の棒を落ち葉の中心に突き刺した。

そうだ………!これだよ!これ!落ち葉に木の棒さして両手で挟んでグルグルするやつ!

サバイバル着火と言えばこれに限るだろ!

俺は早速作業を開始した。しかし一向に火がつく気配はない。

グルグルグルグルググルグルググルグルググルグルググルグルググルグルググルグルググルグルググルグルググルグル

俺は回し続ける。着いてくれ!頼む!着いてくれ!!!


ーー6時間後ーー


はぁ……はぁ……

結局火は着かなかった。

途方もない喪失感が俺を襲う。

ああくそ!もう辺り明るくなってきてんだけど!

火着けるのに徹夜したってどんな心境だよ!?バカか!?


ガチャ、


後ろからドアが開く音が聞こえた。

フラウが起きてきたのか。

そりゃそうか。昼からずっと寝てんだもんな。


「ふぁー、あれ?ケンイチさん起きてたんですか」


「ああ」


「というかなんで昨日の魔物達が外に出されてるんですか?」


「……ちょっとな」



火つけられなくて徹夜したなんて恥ずかしくて口が裂けても言えない。


「?、そうですか。それは良いとして朝ご飯探しに行きませんか?目も覚めますよ!」


目はもうギンギンに覚めているんだが、朝飯か。

いつもブラウだけに任せるのは忍びないし俺も行くか。

それに道中で魔物に遭遇すればレベル上げにもなる。


「それじゃあ行こうかな」


「やった!じゃあ早速行きましょう!」


「ああ」


俺とブラウは森の中に向かって歩き出した。

いやー、昨日たっぷり昼寝したから眠くはないんだけど、火が着かなかった事による精神的にダメージがデカイ。

火がないと肉が食えないからな。

流石の俺も腐った肉を生で食うほどじゃない。


まぁ良いか。嫌なことはうまい果物でも食って忘れよう。

俺は周りを見渡す。

景色はもうさっきの平原から森に切り替わっており、様々な果物が実っている。どれもうまそうだ。


俺は近場にあった、『リンボ』をかじった。


「すっぱ……。」


このリンゴはハズレだ。

ちょっと酸味が強すぎるな。

こういうのが好きな人も居るとは思うが、俺は酸っぱいのは苦手な人だ。


俺がハズレのリンゴを一旦保留にして、近くにあった別のリンゴに口をつける。

うん、うまい!

これは当たりだ。やっぱリンゴはこうでなくっちゃな。


「誰か!助けてください!」


俺がリンゴを貪っていると、右の方から声が聞こえてきた。

な、なんだ?女の声だったよな。

……これは助けに行った方が良いか。救える命はできるだけ救いたい。

当然行ってみて危なそうだったら逃げるけど。


「行きましょうケンイチさん!」


俺はブラウの上に乗り、ブラウは声のした方向に向かって、凄まじいスピードで駆け出した。

乗ってる俺が風圧で吹き飛びそうなんですけど。

数秒後、突然風圧が止まった。どうやら着いた様だ。


俺は声の主を確認する。年は……15才ほどだろうか。

茶髪に麻の服、THE、村娘って感じの風貌だな。

今まで必死に逃げてきたのか、息を荒げながら地面にへたりこんでいる。


対する相手はグレーウルフ一体だな。分かりやすく雑魚だ。

俺は颯爽とグレーウルフと村娘の間に割って入った。

そしてグレーウルフを騎士剣で思いきり切りつける。


「キャウン!」


ーーーーーーーーーーー

【経験値39を得ました】

ーーーーーーーーーーー


よし、しっかり仕留めたな。

剣を仕舞い込み、後ろの村娘に振り替えった。


「怪我はないか?」


村娘は一瞬唖然とした顔をしたが、すぐに安堵の表情になって、


「あ、ありがとうございます騎士様!」


と言った。

やっぱり感謝されると気分が良いな。


「そうだ!騎士様!グルットさんが……グルットさんが大変なんです!どうかお助け下さい!」


……グルット?一体誰のことだ。この村娘の仲間か?


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新作はじめました。 現代日本で騎士の怪物になってしまった男の物語です。 貌無し騎士は日本を守りたい!
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