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14.不穏な空気

先程リトルコカトリスを倒し、レベルが5に上がった俺はブラウと共に茂みの中に隠れ、次なる獲物を待ち伏せしていた。


しかし待っても中々現れる気配は無い。

……暇だな、ブラウはウトウトして眠そうだしレベルが上がったからステータスでも確認するか。


『ステータス』


ーーーーーーーーーーーーーー

『斎藤健一』

種族:人間

状態:勇者

Lv:5/80

HP:174/174

MP:59/90

攻撃力:70+30

防御力:34+40

魔法力:73

素早さ:89

ーーーーーーーーーーーーーー


うーん……2に上がった時よりもステータスの伸びが悪い気がする。

しっかし相変わらず紙耐久だな。

あの騎士には悪いが鎧を盗んできて本当に良かった。

もし無かったら攻撃受けるの怖すぎてレベリングに踏み切れなかったかもしれない。


俺がそう思っていると、後方から物音が聞こえた。

どうやら魔物が現れた様だ。

さて、次は何が来る?『観察』


ーーーーーーーーーーーーーーー

【『グレーウルフ』ランク:F-】


【『グレーウルフ』ランクF-】


【『グレーウルフ』ランクF-】

ーーーーーーーーーーーーーーー


そこには血の臭いに釣られて来たのか、灰色の毛並をした狼が居た。

……ランクFの下位が3体か。

多分昨日の盗賊20人よりは遥かに楽だと思う。

クロスボウでようやく貫けたこの鎧が狼の牙程度に負けるとは思えない。


……よし、やろう!

幸い昨日の盗賊で1対多の経験はある、今更ただの狼に遅れは取るつもりは無い。

まず不意打ちで1体、そしてそのあと2対1だ。

俺は再び狼を見据える。

狙うなら1番右の狼だな。そいつが最も近い。


つか三体共こっち向いてないか?……あっ、目があった。

やばいこれ完全に見つかってるわ!

なんでバレたんだ!?

あっ……確か俺の鎧にはさっきのリトルコカトリスの返り血が大量に付いていた。

犬の嗅覚は人間の数億倍らしいしそりゃバレるわな。

次からは気を付けるとしよう。

それより今は目の前の危機に集中しなくちゃな。


「ガァァ…………」「ゴァァッ!!!」「グァァァッ!!!」


グレーウルフ3体が一斉に威嚇してくる。

あっ、マズイこれ。クソ怖いぞ。


俺の方が強いと頭ではわかっていても獣への本能的な恐怖から足がすくんで動かない。

盗賊の時は鎧してるから刃物なんて怖く無かったけどあいつらとはまた別種の怖さがある。


鼓動が高鳴り肌がピりつくってヤツだ。

前の『グレーターベア』の時もそうだった。

あのときはもっとヤバかったが、あれが一番近い。

今思えばあの時ブラウがいなければ俺はどうなっていたかわからない。


『魔力変質』による無限再生も有るには有るが、あれも使う間もなく瞬殺されたり、もしくは頭を吹き飛ばされたりしたら、もしかしたら死んでしまうかもしれない。

そう。死んでしまうかもしれないのだ。


「グルァァァァッ!!」


「ひっ……!」


グレーウルフの1体が、痺れを切らして俺に飛び掛かってきた。

明確な死へのイメージから俺は体を動かすことが出来なかった。


その瞬間、首の辺りに衝撃を感じる。

恐らくグレーウルフが噛みつこうとしたのだ。

しかし鎧には、文字通り全く歯が立たない。


……はは、そうだよ!そうだった!コイツらの攻撃は俺には通用しねぇんだよ!


石のように固まっていた体に血が巡っていくのを感じた。

俺はふと後ろを見る。

そこにはブラウが、何時でも助けに入れる様、低い体勢で構えていた。


そうだ、なにも恐れる必要は無い。

普通に戦ってコイツらに俺が負ける要素は元々何一つ無いのだ。

俺は目の前のグレーウルフに思いきり蹴りをかましてやった。


「キャン!」


グレーウルフが情けない鳴き声を上げて2m位ふっ飛んでいく。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【経験値を50得ました】


【通常スキルに『蹴りあげLv1』が追加されました】


【『斎藤健一』のレベルが5から6へと上がりました】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


っしゃあ!ワンパンしてやったぞ!

残り2匹のグレーウルフも、仲間が一撃で動かなくなったのを見て、少したじろいでいる様だ。


おいおいどうしたんだぁ?さっきまでの威勢は?グレーウルフさんよぉ?

逃げようったって無駄たぜぇ?2匹纏めて経験値として俺の血となり肉としてやるよ!ぐへへへ!


「コォォォォォォ!!!」


俺がグレーウルフウルフに向かって一歩進んだ瞬間、横の方から凄まじい金切り声が聞こえてきた。

こ、今度はなんだ?

けどまずはグレーウルフの相手を……。

あれ?一向に動く気配が無い。


……あいつら石になってやがる。

もちろん俺が最初から狼の形をした石に向かって勘違いして戦っていた訳では無い。

流石の俺もそこまでポンコツではない筈だ。


さっきの声の主の仕業か?

石化といえばさっきの「リトルコカトリス」が一番に思い付くがあいつの石化はせいぜい腕や足が少しづつな程度だ。

それでも充分脅威だったが、今度の奴は俺が目を離した一瞬で石にしやがった。

一体どんなバケモンが来たんだ?






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新作はじめました。 現代日本で騎士の怪物になってしまった男の物語です。 貌無し騎士は日本を守りたい!
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