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13.『リトルコカトリス』

「ケンイチさん朝ですよ!」


俺は今、ブラウに凄まじい勢いで体をゆっさゆっさされている。

あー……眠い、あと鎧着たまま寝たせいで全身が痛い、エコノミークラス症候群になっちゃう。

これは早急に改善が必要だな。寝るときだけ鎧の中に藁でも敷き詰めるか。


「起きましたか?ご飯ですよ!」


俺が目を開けると目の前に幾つかの果物があった。

朝ごはんまで用意してくれるのか。


「ありがとう」


俺はブラウにそう言いながら目の前の果物にかじりついた。

うん、安定して旨いな。

俺は3つ程リンゴを平らげ、腹が膨れてきた所で立ち上がった。


さて……今日はレベル上げをしなくちゃいけねぇよな。

恐らく今の俺の戦闘力はE+ランク相当だ。

E+ランクといえばこの森では最弱クラスだし、安定して勝てる魔物もスライム位しかいない。


いや、「魔力変質」でゾンビ戦法すればもしかしたら勝てるかもしれないが、治るとはいえちゃんと痛覚は有るのだ。

そんなことしたら余裕で心が死ねるから出来れば避けたい。


あくまで保険だ保険。

しかしこんなんじゃレベリングもおちおちやってらんねぇから出来ればレベル上げはブラウに着いてきてもらいたい。


「ブラウ」


「なんですか?」


「今日俺のレベル上げに付き合ってくれないか?」


当然この世界の住人にもレベルを上げるという概念はあるだろう。

王様が自分でステータスを見せてたんだから間違いない。


「魔物と戦うという意味ですか?危ないですよ。」


やはりこうなるか。

しかし多分ブラウは押し弱いタイプだ。

俺が譲らなければきっと通る。


「お前が着いてこないなら俺1人で行くぞ?そして俺はこの森じゃお前が居ないと5分で死ぬぞ?いいのか?」


「その言い方はずるいですよ!はぁ…分かりました。着いていってあげます!けど危なかったらすぐ帰りますよ」


よし!これでレベリングが捗る!

そしてあのくそ熊にリベンジだぜぇ。

さっきはよくも恥じかかせてくれたなぁ?首を長くして待ってやがれ!

げへへへへ!!!


「あっ、待ってくださいケンイチさん!」


俺は居ても立っても居られなくなり、走ってブラウの家から飛び出した。

つかこの家の周辺には魔物ぜんぜん居ないよな。

この一帯の魔物がブラウを恐れてるのか?

野性動物界では生態系頂点のテリトリーには入らないのが常識だと良く言うし、この森においてはブラウがそうなんだろう。


「ケンイチさんってば!」


後ろから声が聞こえる。

どうやらブラウが追い付いてきた様だ。

やはりステータス差というのはデカイな。


俺は鎧を着けてるとはいえ全力疾走したのに、ブラウは全く息を切らせず並走してくる。

俺達は家があった開けた場所から、また森の中へと潜っていく。

俺達が森の中を歩いていると、木陰から影が出てきたのが見えた。

俺とブラウは急いで茂みに隠れ、その影に向かって『観察』を使った。


ーーーーーーーーーーーーーーーー

【『リトルコカトリス』ランクE】

ーーーーーーーーーーーーーーーー


こいつは……昨日ブラウになぎ倒されてた鳥だな。

ランクEだったのか。

多分勝てると思う。

俺一人だったら踏みとどまったかもしれねぇが、こっちにはC+のブラウが居んだよ!


「俺が危なかったら手を貸してくれ」


「は、はい」


どうやら俺の事が心配みたいだ。

けど問題ねぇ。

負けるかもしれないが、こいつに俺を殺しきれるとは思えない。

俺には再生チートがある。

俺は茂みの中からできるだけ『リトルコカトリス』に近づき、後ろから『魔力変質』で両手の手の平から刃物を生やして、右の刃で突き刺した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【通常スキルに『刺突Lv1』が追加されました】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「コォォォォォ!!!」


リトルコカトリスが、『グリンッ』と効果音が付きそうな位のスピードで首を回転させ、こちらを凄まじい形相で睨んできた。


よし当たった!かなり効いてるぞ!

俺は追い打ちを掛けようと右手の刃物をぶっ刺したまま左手を動かそうとするが、どうもおかしい。

動いてる感覚が無いのだ。

俺が焦れったく思いながら左手を見ると、左手が石に変わり果てていた。


お、おい!やべぇぞこれ!

思ったより楽勝そうだとか思ってたらこいつマジでトンデモねぇの持ってやがった!


俺は急いで右手のナイフを引き抜き、繰り返しリトルコカトリスに突き刺していく。

俺がそうしてる間にも俺の足先までもが石になっていくのを感じた。

早く!早く死んでくれ!

つかブラウは何で助けに来てくれねぇんだ!?


あ、そうか!

石化してるのは腕本体であって鎧は無傷だからブラウには俺が一方的に圧倒してる様に見えるのか。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【経験値90を得ました】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【『斎藤健一』のレベルが2から5へとあがりました】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

はぁはぁ………倒したか。大分危なかった。

手足の感覚がもとに戻っていくのを感じる。

どうやら術者が死んだら解かれる感じらしいな。

もしこれで解かれなかったりしてたら、手足ちぎらないといけなかったからかなり助かる。


そして肝心のレベルの方だが……一気に3アップか!

これは嬉しい誤算だ。

上がっても2程度だと思ってたからな。

結構簡単にレベルって上がるんだな!

これなら意外とすぐ最大レベルいっちまうんじゃねぇのか?

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新作はじめました。 現代日本で騎士の怪物になってしまった男の物語です。 貌無し騎士は日本を守りたい!
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