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化物騎士の森林生活   作者: 幕霧
龍神編: 製龍侵虐呪廻村カリス. 《アルタイル》
125/138

125.継承

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【経験値30000を取得しました。】

【『斎藤健一』のレベルが43から62へと上がりました】

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【″ドミネーター″『勇者クウガ』を淘汰しました。固有スキルの継承を開始します。】

【『グルット・ゼルレイド』を淘汰しました。″龍因子″を『斎藤健一』へ継承します。】

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「は……?」


固有スキルの、譲渡?

突如脳内に鳴り響いたアナウンスに、俺は困惑した。

辺りを見回すと、グルットと、砕け散った双大剣の片方……クウガの方から黒い砂嵐の様な粒子が沸き立ち、それがこちらへ向かってきていた。

アマネの方はクウガに比べて損壊率が低く、まるでクウガに守られたみたいに見える。

俺は何故かそれから目を離せず、不覚にも黒い砂嵐の接近を許してしまった。


「ぐ、う、っ!?」


鎧の隙間から入り込んできたソレは、同じ要領で口にも侵入してくる。

その瞬間、喉が焼ける様な激痛に包まれた。

激痛は次第に体、そして脚や手へと伝染し、俺の全身は瞬く間に激痛に支配された。


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【適応度が不十分。器の崩壊が懸念される。】

【″空間制圧″の開放率を100%から、既に取得している″魔力変質″と同様の27%へ低下。器の崩壊が免れる。】

【『グルット・ゼルレイド』が保有していた龍因子を継承……失敗。】

【″屠龍聖剣″により龍因子の継承が失敗しました。】

【再度、龍因子の継承を開始します。】

【″屠龍聖剣″により、龍因子の継承が失敗しました。】

【″屠龍聖剣″により、龍因子の継承が失敗しました。】

【″屠龍聖剣″により、龍因子の継承が失敗しました。】

【″屠龍聖剣″により、龍因子の継承が失敗しました。】

【″屠龍聖剣″により、龍因子の継承が失敗しました。】

【″屠龍聖剣″により、龍因子の継承が失敗しました。】

【″屠龍聖剣″により、龍因子の継承が失敗しました。】

【″屠龍聖剣″により、龍因子の継承が失敗しました。】

【″屠龍聖剣″により、龍因子の継承が失敗しました。】

【……継承不可。龍因子は『グルット・ゼルレイド』に帰結します。】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『キィィィ!』


屠龍聖剣がそれこそ龍と間違うような唸り声を挙げると、黒い砂嵐は消え去った。

……守って、くれたのか?グルットを″白痴の龍″にした龍因子から、俺を……


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【固有スキルに、『空間制圧』が追加されました。】

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……これは、勇者クウガの固有スキルか。

もしかして、勇者を殺すと、そいつの持つ固有スキルを奪えるのか?

この場合は武器に生体パーツとして組み込まれていた勇者クウガの脳を破壊したから、継承できたのだろう。


ーー僕の力はくれてやる。だからアマネには手を出すな……


「っ……!?」


その時、風に乗ってどこからか青年の声が聞こえた気がした。

耳を澄ますが、もう聞こえる事は無かった。

今のは……勇者クウガの声か?

俺や一緒に召喚されたクラスメイト達とは違う、もっともっと大昔の勇者ーー


「……あれ」


ーー瞬間、俺の胸中に疑問が生まれた。

どうしてそんな奴が、脳だけになって武器なんかに組み込まれていたのだろう。


「……」


まさか俺は……否、俺達は、とんでもない奴らに召喚されてしまったのだろうか。

人を人とも思わない、真性の外道共に。


「……もしかしたら、クラスメイト全員もう死んでたりしてな。」


心に渦巻いた不安を口に出すと余計不安になったので、これ以上何も言わないように口を閉じた。

もう、俺には関係無い事だ。

地球の裏側で人が死んでいるニュースを耳にした時と同じで、憐れだとは思えど自分が助けに行こうなど思える筈はない。


「……ケンイチさん。」


「なんだ。」


「どうして……そんな悲しそうな顔してるんですか?」


そう言ってきたブラウに、俺はカラ笑いしながら『冑で顔見えないだろ』とツッ込んだ。

それに、悲しそうな顔をしているのはプラウの方だろう。


「はは、なんでも無ーー」


「ヴラァァァァァ!!!」


「っ、なんだ……!?」


咆哮のした方を向くと、そこには半身を泥に包まれたグルットが、両腕で大事そうにカーニャを抱え、体と同じく泥の翼を広げながら飛び立とうとしていた。


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【『″動屍の半龍″グルット・ゼルレイド』ランクB】

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「アンデット化……!?」


……前に、既に死んだグレーターベアが動いている事があった。

それと同じだろう。

その右手にはボロボロの『陰剣アマネ』が握られており、刀身からは血が涌き出ている。

恐らくそれは内部に有るであろう勇者アマネの脳からの出血だ。


「……俺は、必ず″真龍″に成る……」


凄まじい風圧と共にグルットの翼がはためき、離陸する。

ブラウは追い掛けようとしたが、千切れ飛んできた樹のせいで見失った。


「……凄まじい、執念ですね。」


『ああ。』と返し、俺は座り込んだ。

……グルットは居なくなったが、森はぐちゃぐちゃになってしまったな。

木は多くが倒壊し、地面は穴だらけ。

そして……


「ん、うぅ……」


雪の冷たさによって止血されたのか、グレイは目を覚ましかけていた。

……こいつを、村に返さなきゃいけないな。


「よっ……と、こいつを村に送るから、ブラウは先に帰っててくれ。」


「……分かりました。」


背におぶるとグレイは、ハーネスと同じぐらい軽かった。

……こいつ、ちゃんと食ってるのか?死ぬほど細いんだけど。肌も病んだみたいに白いし、本当に病気でも持ってるのかも知れない。

……まあ、それは良いとして、村に着くまで久々にステータスの確認でもするか。


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【斎藤健一】

Lv:62/80

種族:人間

状態:勇者

HP:329/490

魔力:43/500

攻撃力:390+500

防御力250+15

魔法力:100

素早さ:380


装備:

『崩れかけたルビエド騎士の鎧』F+

『屠龍聖剣』*


固有スキル:

『魔力変質Lv__』

『空間制圧Lv_』


耐性スキル:

『刺突耐性LV1』

『痛覚遮断LV6』

「殴打耐性LV4」

『石化耐性LV1』

『衝撃耐性LV6』

『熱耐性LV5』

『凍傷耐性Lv1』


通常スキル:

『観察Lv6』

『刺撃Lv4』

『斬撃Lv1』

『射撃Lv1』

『蹴り上げLv1』

『殴打Lv1』

『バイルバンカーLv4』

『精神鎮静化Lv1』

『狂化Lv6』


称号:

化物騎士LV1

村の英雄LV2

ロードオブナイツLV1

災禍の元凶LvMax

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屠龍聖剣の補正+500って……強すぎないか?

しかも、一つ見覚えの無いスキルがあるな。


【『狂化』Lv6】


……随分物騒な名前だ。

効果は大体予想できるが、あまり使いたくはない。


「やです……きしさま……あなた、だけは……」


俺の背中で眠るグレイは、何故かうなされていた。

そっと頭の上に手を乗せてやると、少しだけ表情が緩和する。

遠くに、村が見えてきた。


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新作はじめました。 現代日本で騎士の怪物になってしまった男の物語です。 貌無し騎士は日本を守りたい!
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