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籠の中の鳥は  作者: 若松ユウ
第二部
152/232

番外編⑧「夫婦漫才」【渋木】

番外編⑧「夫婦漫才」【渋木】


 目を覚ますと、漫才しなきゃ出られない部屋なる、ふざけた空間に閉じ込められてることに気付きました。隣にいるのは、やけに気分上々な静香。おそらく、空元気だろうと思う。

「導入が雑すぎないか」

「メタなツッコミをしないの。ネタに困ってるのよ」

 そういうことにしておくか。

「ジャンジャンボケるから、ガンガンツッコンで」

 白けるから、そういうことを言うなって。

「所得倍増っ」

 よりによって政治ネタかよ。

「お前は池田勇人か」

「ブログならやってないわよ」

「そっちじゃない。昔の首相だよ」

「あぁ、そっち系ね。貧乏人は麦茶を飲め」

「麦を食え、だ」

「金持ちは芋を食え、芋焼酎を飲め」

「米屋が上がったりだな」

「所得半減、右肩下がり。デフレ、スパイラール。わー、目が回る」

 グルグル回ってら。一応、落ちたのかな。でも、ゲートはピクリとも動かない。

「……これじゃ駄目みたいだな」

「よかろう。ならば、もう一戦だ」

 どこの武将だよ。

「列島改造っ」

「お前は田中角栄か」

「まー、そのー、内閣は凡人軍人変人の集まりでして」

「そっちは、娘のほうだ」

「コンピューターつきブルドッグ」

「ブルドーザー」

「犬じゃなくて、パンダよね。兄さん、寄ってらっしゃーい」

「そういう客寄せじゃない」

「お主も悪よのぉ」

「いえいえ、お代官さまほどでは。……何だ、この小芝居」

「この国の金権政治を、クリーンに洗濯申すぜよ」

「大改造だな」

「リフォームの匠、募集中」

「デザイン費込みで、予算内に収めてくれよ」

「番組的に厳しいね。演出で誤魔化しといて」

「ヤラセかよ。さっきの発言は、どうした」

「記憶にございません」

「いい加減にしろ」

「バーイ」

 こんな非難囂々のネタで、ゴーサインが出るはずが、あったな。ゲートが開いた。さっさと出よう。

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