番外編⑧「夫婦漫才」【渋木】
番外編⑧「夫婦漫才」【渋木】
目を覚ますと、漫才しなきゃ出られない部屋なる、ふざけた空間に閉じ込められてることに気付きました。隣にいるのは、やけに気分上々な静香。おそらく、空元気だろうと思う。
「導入が雑すぎないか」
「メタなツッコミをしないの。ネタに困ってるのよ」
そういうことにしておくか。
「ジャンジャンボケるから、ガンガンツッコンで」
白けるから、そういうことを言うなって。
「所得倍増っ」
よりによって政治ネタかよ。
「お前は池田勇人か」
「ブログならやってないわよ」
「そっちじゃない。昔の首相だよ」
「あぁ、そっち系ね。貧乏人は麦茶を飲め」
「麦を食え、だ」
「金持ちは芋を食え、芋焼酎を飲め」
「米屋が上がったりだな」
「所得半減、右肩下がり。デフレ、スパイラール。わー、目が回る」
グルグル回ってら。一応、落ちたのかな。でも、ゲートはピクリとも動かない。
「……これじゃ駄目みたいだな」
「よかろう。ならば、もう一戦だ」
どこの武将だよ。
「列島改造っ」
「お前は田中角栄か」
「まー、そのー、内閣は凡人軍人変人の集まりでして」
「そっちは、娘のほうだ」
「コンピューターつきブルドッグ」
「ブルドーザー」
「犬じゃなくて、パンダよね。兄さん、寄ってらっしゃーい」
「そういう客寄せじゃない」
「お主も悪よのぉ」
「いえいえ、お代官さまほどでは。……何だ、この小芝居」
「この国の金権政治を、クリーンに洗濯申すぜよ」
「大改造だな」
「リフォームの匠、募集中」
「デザイン費込みで、予算内に収めてくれよ」
「番組的に厳しいね。演出で誤魔化しといて」
「ヤラセかよ。さっきの発言は、どうした」
「記憶にございません」
「いい加減にしろ」
「バーイ」
こんな非難囂々のネタで、ゴーサインが出るはずが、あったな。ゲートが開いた。さっさと出よう。




