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籠の中の鳥は  作者: 若松ユウ
第二部
151/232

番外編⑦「白雪姫」【成二】

番外編⑦「白雪姫」【成二】


 どうも、木下成二です。ただいま、余興で漫才をやらされてます。一平の安請け合いのせいで。

「やっぱり、定番は読み聞かせだろう、成二。白雪姫なんか、どうだ」

「白雪姫か。ちゃんと出来るんだろうな、一平。ストーリーは、頭に入ってるのか」

「覚えてるで」

「どこぞの落語家か。どんな話か、かいつまんで言ってみろ」

「森に住む親切な魔女が、白雪に赤林檎をあげる話だろう」

「全然違う。魔女じゃなくて、継母だ。ある日、鏡の前で、こう言うんだよ。『鏡よ鏡、この世で最も美しいのは、だぁれ』って。そしたら、『それは、白雪です』って返事があって」

「継母は、電波系なのか」

「一人芝居じゃない。喋る鏡がいるんだ」

「おのれ、家庭平和に罅を入れる悪霊め。この桃太郎が、退治てくれよう」

「中世ドイツに侍は居ない。で、白雪を森に連れて行って射殺するよう、猟師に頼むんだよ」

「それで猟師は、ナイトキャップにネグリジェ姿の狼に出会うと」

「話が違う」

「お菓子の家か」

「そっちでもない」

「林檎をくれた魔女を、釜茹でにしちゃ駄目だよな」

「話がゴチャゴチャになってるし。猟師が言った通りにしなかったと知った継母は、魔女に扮して毒林檎を持って行くんだよ」

「始めから、そうすれば良かったのに。もし林檎嫌いだったら、葡萄に変えるのかな。毒ワインを持って、お見舞いに」

「赤ずきんから離れろ。小人が出てこない」

「白雪も得だよな。不細工だったら、持ってるハンマーで袋叩きにされてたところだ」

「小人は、争いを好まない。仮に醜女だったとしても、事情を酌んで嫌々でも家に置くさ。それから、いろいろあって、白雪は毒林檎を口にして倒れてしまうんだけど、通りがかった王子のキスで目を覚まし、息を吹き返す」

「遺体に欲情するとは、王子もマニアックな変態だな」

「美しいから良いんだ」

「小人が王子に言ったんだろうな。『綺麗な顔だろう。死んでるんだぜ』って」

「俺に言うな」

「双子の弟だろう」

「野球部のエースじゃない」

「王子のキスで目覚めるた白雪は、こう言うんだろう。『君の名は』って」

「人格は入れ替わらない」

「フィクションの定番なのに」

「話を混ぜるな。こうして白雪と王子は、末長く幸せに」

「待てよ。結局、美人は得だって話になってるじゃないか。他人を人相で判断しちゃいけません」

「そうは言っても、最後は顔で判断されるんだって」

「何だかなぁ」

「納得できないのか、グルメレポーター」

「あんな面長じゃない。よしっ、別の話にしよう。マッチ売りの異世界少女」

「炎上しそうなタイトルだな」

「今夜は燃えちゃうの」

「ビー級エーブイか。いい加減にしなさい。どうも、ありがとうございました」

「おそまつっ」

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