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籠の中の鳥は  作者: 若松ユウ
第二部
122/232

#115「新学期」【小梅】

#115「新学期」【小梅】


「山下、山下。三年は、山下も二組だぞ」

 クラス替えの紙を指差しながら、吉川は満面の笑みで山下のブレザーの袖を引っ張った。

「見ればわかる。制服が傷むから、離せ」

 山下は、しかめっ面で吉川の手を振り解く。

「何だよ。もっと喜べよ。嬉しくないのか」

 バシバシと山下の背中を叩く吉川。

「落ち着きのない、騒々しいクラスになりそうだと思ってさ」

「賑やかで楽しくなるぜ」

「俺は、静かに過ごしたい。それじゃあ」

 先に教室へ向かおうとする山下を、吉川は後ろ襟を掴んで引き止める。

「まぁまぁ、そう慌てるなって。あっ、松本だ。おーい」

 吉川は、人ごみの向こうに居る英里に向かい、大きく手を振った。

  * 

 新しい担任の名前は、斧塚由紀というのか。何かの都合で、着任は来週になるらしいけど、どんな先生なんだろう。

「放送部員、熱烈歓迎でーす。先着一名、もれなく副部長になれます。いかがですかー」

 校庭に集まる人ごみの中で、大橋は新入部員歓迎のビラを配っている。

 二年生になっても変わらないわね、放送部長。あっ、生徒会長に追いかけられてる。無許可だったのか。

「見て見て、小梅ちゃん。私たち、また二組よ」

 クラス替えの紙を指差し、英里は小梅に屈託ない笑顔を向ける。

「えっ。あぁ、本当。これで三年間一緒ね」

 吉川くんも一緒か。良かったわね、英里ちゃん。

「今年度もよろしくね、小梅ちゃん」

「こちらこそよろしくね、英里ちゃん」

 握った両手を軽くシェイクしながら、英里と小梅がお互いに喜びを共感し合っていると、小梅が人ごみの向こうで手を振っている人物に気付く。

「向こうで、吉川くんが呼んでるわよ、英里ちゃん」

 振り返り、吉川の姿を認める英里。

「あっ、本当だ。山下くんも一緒みたい」

 ホント。何か文句を付けてるみたいだけど、何を言ってるのかしら。

 英里と小梅が、人混みを掻き分けて吉川の近くへ行くと、先に吉川が声を掛ける、英里がそれに応じる。

「おっ、鶴岡も一緒だったのか。仲が良いですな、お二人さん」

「当然よ。私と小梅ちゃんは、同好の士なんだから」

 入学してすぐ、輪に入り損ねてた私に声を掛けてくれたのは、他でもない英里ちゃんだったのよね。あのときは、ホント助かったわ。

「今度は、山下くんも同じクラスなのよね。よろしくね、山下くん」

 小梅が山下のほうを向いて声を掛けると、山下は視線を泳がせながら答える。

「こちらこそ、一年間よろしく。のわっ」

 山下が言い切るか言い切らないかのタイミングで、吉川は山下と肩を組み、歩き出す。

「よーし。挨拶も済んだところで、教室へ行くぞ」

 歩き出した二人のあとを、英里と小梅もついて行く。

 うーん、迷惑だったかしら。吉川くんと仲が良いから、私も仲良くしてもらえたらありがたいと思ったんだけど。 


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