初!魔法
眠かったので文おかしいかも
「さて、次は……」
モカさんがこちらを見た
よ、よーし、頑張るぞ
「宜しくお願いします」
「あぁ、条件は先程と同じだ。気軽にくるといい」
そう言って、剣を構えた
……さっきは構えなかったよな?
「えーと、太刀筋と速度を見るのでは?」
「ん?あぁ、あれはあくまで基準だ。貴殿には必要ないだろう?」
うっ、期待が重い…正直そんなに自分が強いとは思えない。けど、さっきの試合くらいなら俺も出来る自信はある。剣術スキルのお陰です
「じゃ、じゃあ行きますよ」
踏み込み、加速
様子見で横薙ぎに剣を振る
まぁ避けられるよな。なんとか剣を抜かせるくらいのとこにいないといけない、と思う
「てわけで、もっと頑張ります」
更に加速
右から斬りかかり、手首を返して左に
重心をつま先おいて、すぐ次に繋げられるようにしておく、ていうか既に避けられた後だ
「思ったよりは遅いな」
モカさんが余裕がある笑顔でそう言う
「もう少しですかね」
もっと、先へ
足元を狙い剣を振る
モカさんは跳んで後ろに避けた
タックルするように追撃をする。もっと早く動けなきゃ追いつけない
袈裟斬り、横薙ぎ、逆袈裟。どれも避けられた
しかし
「むっ!」
遂に、剣を抜かせた
後ろに回って横薙ぎ。先程マリー相手にモカさんが使った技術だ
「まさか剣を抜くことになるとは。先程から少しずつ速くなってはいないか?」
不敵な笑みを浮かべてそう言うモカさん
ここまでくるのにかなり頑張ったんだが、ここからが本番だ
「……次は反応速度と回避能力でしたか?」
「ふっ、避けられるかな?」
そう言うとすぐに踏み込み、真っ直ぐ突っ込んできた
って、速っ!?
「っく!」
あ、あぶねぇぇえ!よく避けれた俺!
正直、勘だった。床を転がり、立ち上がる。今回はうまく避けられたけど、次はわからない
「ほぅ、今のを避けるか。貴殿は、強いな。冒険者としたら実力的に上位クラスだ」
それは割と強いのでは?……まぁ、そこで妥協はしない
「最上位では無いのが残念です」
息が切れてきた。これは、体力づくり、必須!
「まぁ、最上位はワタシより強いやつが殆どだからな」
マジですかー
「それは、喜べないですね!」
この会話の途中も切り結んでいるのだ、かなり疲れる。でもまだ体感で10分くらいなんだよねぇ
「しかし、新入生でここまでできるものはそうはいまい。期待の新人といったところかな」
そう判断を下され、俺はその後、負けた
敗因は後ろに回って首に剣を当てられる、だ
戦法真似たら返されたでござる
「はぁ、はぁ、ありがとうございました」
「うむ。精進するように」
くっそぉ、あんだけやったのに俺だけしか疲れていない様子なのが辛い
しかもこの後他の奴ともやるんだろ?体力無尽蔵か
その後の手合せは、マリーと俺と比べると拙く、すぐに終わってしまった
「よし、全員終わったな。では次は魔力測定だ。検査室に行こう。来る時と同じようにわからない者は着いてくるように」
はーい、ついてきまーす
◇◆◇◆◇◆
「ここが検査室だ。先程までは魔法科が使っていたようだな」
魔法科。和光と涼太だっけ?間違ってたらすまん、記憶力良くないんだ
「それでは測定を始めよう」
そう言うと皆が並び始めた
カーテンの向こうに順番に入るようだ
俺は最後尾に並んだ
別に皆友達連れて並んでたから入れなかったとかじゃないし。違うし
と、そこで前に並んでいるのがマリー・サンソンということに気がついた
「マリー・サンソンさん。さっきはナイスファイトだったよ」
そう声をかけると、マリー・サンソンが振り返った
「あぁ、コムラ、だったかしら」
な、名前を呼んだ、だとぅ!?
「どうかしたのかしら?」
「えっとー、名前を呼ばれたので驚きました」
「そう。私は実力がある人は記憶に残すようにしてるの。負けたくないから」
その目には強い意思が見えた、気がする
ごめん、そういうの分からないからさ。気がするだけかもしれない
「それで、ナイスファイト、ね。貴方の方が良い勝負だと思ったのだけれど」
うーん。どうだろ
「正直自分ではわからないです。俺が見た中ではマリー・サンソンさんが一番よかったので」
実際、マリー以外は年齢にあったくらいの技術しか無かった
「思ったのだけれど、マリー・サンソンさんというのはやめていただけるかしら。マリーでいいわ」
うん、俺も長いと思ってた
「分かったよマリーさん」
「それでいいのよ。次は私の番だから、また話しましょう」
もう回ってきたのか。早いな
どんな感じで計ってんだと思い覗いて見た
「では、そこに服を置いてくれ」
「はい」
ソッコーで見るのやめた。いや、まさか服脱ぐとは思わないじゃん?
ちょっと見えた健康的な背中がとても綺麗だと思いましたまる
モカさんは見てしまった事に気がついていそうだ
しばらくして、マリーが出てきた。思ったよりも早い
俺はカーテンの中に入った
「よし、服を脱いでそこに置いてくれ」
「あ、はい」
言われた通り脱いで置いたけど、ハズいな!
そんなことを考えているうちに、肌に何か貼られた。なんだこれ。見た目はAEDのパッドとかそんな感じ
わかんなきゃ聞いときゃいい
「何です?これ」
「これは魔力炉のある場所に貼って、現在の魔力量を数値化する機械だ。数値はコードを伝って本体に送られ、結果は紙として出てくる」
へぇ!無駄にハイテクですね!
でも……
「魔力炉って、旅行者にもあるもんですか?」
ピタッとモカさんの動きが止まる
「……そういえばそうだな。以前までの旅行者達は普通に使っていたが、それがスキルの可能性もあるのか。もしくは、魔力を空気中から使っていたのかもしれん」
あらら。じゃあ無いかもしれない、と
「それ、測定出来るんです?」
「取り敢えずやるだけやろうか」
モカさんが作業を再開して数秒後、1枚の紙が出てきた
「んー、魔力炉は確認されてるな。魔力値は……ワタシと同じくらい、かな」
モカさんと同じくらい。どのくらいだろう
「ちなみにワタシは世界で4番目かな」
よ、4番?高くない?
「良かったな?魔力が変わらないということは、少なくともワタシと同じくらいの力は持てるわけだ」
そ、そうなるのか。ゴクリ
「ま、頑張ってくれ。最上位も夢ではない体のスペックはあるんだ」
「めっちゃ努力します!」
取り敢えず寮では筋トレだ!
「ふふっ、さぁ次は魔法実技だ」
◇◆◇◆◇◆
また場所が変わりまして魔法練習場。これは三つしかないらしい。魔法使いって少ないのかな?
「さて、では諸君らには簡単な魔法でも使ってもらおう。そうだな……ウィンドにしよう。掃除も事故もあまり無いことだしな」
ウィンド。そのまま風を起こす感じだと思われ
「では、順番に」
そう言われ、安定の最後尾だったり
そして前はマリーだったり
「さて、先程の会話続きでもいたします?」
あっちから話しかけてきた
「まぁ、暇なんでいいですけど」
「貴方は、何のために学園へ?」
「そうっすねー。超えないといけない人がいるんですよね。でも、その人強くてね。何も学んでない俺じゃあ勝てないんですよ。てわけで有名なこと学園に入れてもらったんです」
「そう。その人は、貴方の大切な人?」
「いえ、出会ったのは最近です。一目惚れってやつですかねー」
「あら?女性の方だったの。てっきり男性かと思っていたわ」
あ、口滑らしたぁ!
「ふふ、勝ったらその人を貰う、なんて約束をしていたりしたら、ロマンチックなのですけれど」
「ははははは」
うん、してます。バリバリしてます。言わないけど
「次はマリー・サンソン。ウィンドは分かるな?」
「えぇ、当然です」
マリーが右の掌を上に向けた
「ウィンド」
魔法名を唱えると、手のひらのあたりに風が渦をまいた。どうやらあれがそうらしい
魔法、やっぱり実際見るとテンション上がるな!
「ふむ、もういいだろう。制御能力と魔力量も努力の跡が見える。やはりいい腕だ」
モカさんが嬉しそうに言う
「嬉しそうですね、モカ先生」
「っ!……そうだな。優秀な後輩がいるとこの先安泰だからな。もし何が起こった時戦力になる者は多いほうがいい」
あれ、なんで顔赤くなったんだ?
まぁ、いいや。次は俺、なんだけど
「その、魔法使ったことないんですけど」
クラスの殆どが、固まった
そして爆笑された
「魔法使った事ないのに魔法剣士科に来たのかよw」
「剣は凄いんだから剣士科いけよw」
「てか、魔法使えんのかァ?w」
「俺でも半年はかかったぜ?w」
「半年w俺はひと月だぜw」
はははーーーふふふーーーくすくす
恥ずかしい。これは恥ずかしい
あーもー、これで使えなかったらマジで笑いものじゃん…
「大丈夫。君ならやれるさ」
モカさんが、いつもの、しかしこちらを思いやる笑顔でこちらを見ていた
いや、それに貴殿とか堅苦しい呼び方じゃなく、君!
少し仲良くなった気がする!
今なら何でも出来そうだ
「魔法はイメージ。魔法名なんてイメージの延長に過ぎないんだ。さぁ、想像して。君の手から風が起こる感覚を」
イメージ。イメージ
すると、体から何かがかなり少量だが、抜けていく感じがした
フワッーー
風が起こる
「よし。まだ拙いが、初めてにしては上手いじゃないか」
魔法。俺が魔法を使えた!
やったぜ!
こうして、俺は魔法剣士の道を歩み始める。具体的な目標なんてないけどな!
ひとまず、どうにかして強くなります