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異世界では何がしたい  作者: リア友
灼熱都市フラムと冒険都市ダンジン
30/31

魔神の力

短め。これがやる気の差か……っ!




「モカっ!」


俺は屋敷に入り叫ぶ。すると、奥から男が出てきた。マハトだ


「マハトっ!モカを何処へやった!」


「君は…フレイの護衛くんじゃないか。何か雰囲気が変わったようだが、君かこれをやったのは

死罪だ。他国の王子の屋敷に無理矢理押し入り、物を壊す。あまつさえ剣を向けるなんて。外交問題だ」


「黙れ。俺は冒険者なんでな。外交問題にはならない。それに、屋敷(ここ)ごと何もかも消し飛ばせば、証拠もない」


そんなことは出来ないけどな


「ふん、出来もしないことを。それより、モカだったか。あの生意気な女なら地下で躾をした。もう僕のものさ」


「………そうか」


「残念だったな。ま、このまま帰るなら死罪は勘弁してやるよ」


「モカを穢したわけだ。万死に値するな」


俺は決めた。今、こいつを殺す


その時、俺の意識は何かに乗っ取られそうになった


「グッ…!」


「ん、どうした。早く帰れよ」


マハトの声は届かない


『お前、コイツ殺したいんだろ?』


どこからか声が聞こえる。そうだ、俺はこいつを殺す


『お前の女を穢したコイツが憎いか?』


憎い


『本当は諦めてんじゃねぇか?』


そんなことは無い。モカは大丈夫だ。彼女は強い。まだこいつの物じゃない


『ふーん。人なんて所詮、他人同士。それに薬、魔法、拷問なんか使えば壊れる脆い存在だ。例えそれが最上級冒険者だとしてもな』


……モカは大丈夫


『本心じゃねぇな。不安か?早く姿を見たいなぁ、壊れてるかもしれねぇけど』


俺は想像する。してしまう


モカが薬漬けにされて目を虚ろにして穢される姿


魔法によって洗脳、改造され、俺の事を忘れてマハトの物になった姿


多くの拷問で輝く美しい肌が傷つき、血を流し、泣き叫ぶ姿


『それは、誰のせいだ?』


これは全てマハトの手によるものだ


『殺したいんだろ憎いんだろ。俺に任せろ。より惨たらしく、苦しみ、それが長引くようにやってやるよ』


あぁ、本当は俺がやりたいんだが……俺が考えつかないような殺し方をしてくれるなら、それもいい。その記憶さえあれば、俺は……


俺はそこで、意識を『もう一人』に渡した。もしかしたら戻れないと分かっていながら、それでマハトが苦しむ事を選んだ


◇◆◇◆◇◆


「おい!帰れよ!」


「あぁん?黙れクソガキ」


『俺』はマハトを蹴り飛ばす。壁を一枚打ち抜いて飛んでいく


「ちっ、死んでねぇよな?宿主の最後の望みくれぇ叶えてやんねぇとな」


『俺』はマハトに近づく


「ゴホッゴホッ!クソッ!お前なんか死刑だ!すぐに父上に報こ…むぐっ!」


「うるせぇんだよクソガキが。まさか宿主が女ひとりにここまで怒るとは思わなかったが、テメェのお陰で『俺』が出てこれた。ありがと、よ!」


口を掴んで持ち上げて、右の掌を握り潰す


「ーーーーーーっ!!!!!」


声にならない叫びをあげて、マハトは泣き出す


「おいおい、惨たらしく殺すって約束なんだ。我慢しとけ」


握り潰した掌をグリグリと弄りながら、その手の爪を一枚一枚剥がしていく


手が青くなり、指先からは血が滴る


「つ、ぎ、は。反対の手な」


同じことを反対の手にもやる。握り潰して骨を砕いた時、痛みで失神したが爪を剥がされる痛みで起きる


「んんーーーーーーっ!!!!!」


「ん、何?足も?分かったよ」


両足とも同じことをする。そろそろ次のことをしようか


手を離してマハトを地面に落とす


「ぎゃぁぁぁぁあぁぁあああ!!!!!!」


「喚くな、煩い」


肺の辺りを踏みつけて、呼吸を一瞬止める


「ゴホッゴホッ!」


「次は、何しよっかな」


皮でも剥ぐかと考えていると、声がかけられる


「タク、ミ?」


モカを背負ったハクアだった


「あー、来ちまったか」


『俺』は皮を剥ごうとしていた手を止めて、ハクア達を見る。モカは服が破られているが穢されてはいない。そう判断できた


「……宿主が正しかったわけだ。いや、間に合ってたってところかな」


「……タクミじゃない。誰!?」


ハクアはモカを下ろして武器を構える


「体はタクミだ。だが『俺』は違う。そうだな、俺はコイツの怨讐の塊みたいなもんだ」


「………どういう事」


「あー、つまり。あいつはこのクソガキにそこの女を穢された事に怒り、コイツを憎み、死ぬほど苦しめて殺したいと、俺に託したんだよ。つまり!この体は俺が貰った」


「まさか……そんな……」


「そういう訳で、死ね」


『俺』は崩れ落ちたハクアを殺そうと、首の辺りを蹴ろうとした。しかし、途中で動作は止まり、動けなくなった


「んだと!?まさかっ無意識でもコイツらを傷つけねぇってか!?」


多分そういう事だろう。『俺』は宿主の精神力に驚きつつ、殺すことは諦めた


「ちっ、時間の無駄だ」


『俺』はマハトを掴んで転移()んだ。人がいないところまで


直前、ハクアが「待って!」と手を伸ばすが、遅かった


◇◆◇◆◇◆


「待って!」


私は手を伸ばす。しかしその行為も無駄に終わった


タクミとマハトの姿が消える。気配もなくなってしまった。つまりいなくなった


「タクミ……」


私は伸ばした手を胸で抱えて、泣きそうになる。でも、今はやる事がある


「必ず……追いかける」


今はモカを休ませることが先だ。私はフレイ姫様を寝かせた宿へと向かった

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