閑話:青髪狼娘
ストーリー進まなくてスイマセン!
思いついちゃって、凄く書きたかったのよさ………スマヌ(´・ω・`)
獣人ってのはなぁ、強いヤツには惹かれるのさ。だから、てめぇのかァちゃんも強かったんだぜぇ!あいつらは殺しあって、殺しあって、最後は2人、愛し合ったってなもんだ!
ずっと昔。父親代わりののジジイがそんなことを言った。その時はよく分からなかったんだ。まさか、奴隷になってから意味が分かるようになるなんてな
オレは、親に売られて奴隷になった
今は暗い檻にひとり入れられていた。別に寂しくはないし、悲しくもない
親はオレの事を忌み子だ何だと言った。名前も貰ってない
忌み子。目が赤いと血に飢えている悪魔のようだと。全く、意味が分からない。だが、昔からの風習らしいな
両親は自分の親、つまりジジイだ。そこにオレを預けていた
売られた理由は金が無くなって困っていたから。ありきたりなものだ
最初はジジイと反抗したけど、いくら殺しても無駄だということが分かった。奴隷商人の手下は変えが効くし、獣人の集団に取り押さえられるからな。……まぁオレを買った主人は、キッチリ全員殺してる。そのせいで買い手がつかなくなって、そろそろ殺されるかもしれない
こんなオレでも、始めは両親に振り向いて欲しくて勉強も狩りも、殺しだって頑張った。何でもしてた。だけど無意味だったね。結局一回も褒めては貰えなかった
今となっては気にしてないけど
まぁそんなことをしてたら隔離された。だからオレは今は1人だ
そんなある日、檻にいたためいつかは分からないが、買い手が現れるかもと浮き足立っていた
だが、今度もキッチリ殺す。どうせどこぞの幼女大好き貴族だろ
そう思っていた。それで、連れてこられた部屋で見た新しい主人になるかもしれないヤツ。まぁ、見た目は普通?貴族には見えなかったけど。金はあるらしい
まぁ、幼女大好きなのは変わらなそうだ。強そうにも見えない
周りを見ると、戦闘能力を求めてここに来たみたいだ。勘ではあるけど、オレに勝てそうなやつはいない。自惚れ?……かもな
奴隷商人は一人一人紹介していくようだ
……長い。客も苦笑いだぞ…商売人としてどうなんだよ
ようやく終わった紹介。足疲れた
1度部屋を移されるオレ達。これまで微動だにせずに立っていたんだ、体を動かさないと戦闘に支障が出ちまう。戦闘用奴隷にそんな扱いでいいのかよ
幸い足は拘束されてないので軽いストレッチをしておく。やってるのオレだけだけど
それにしても、アイツ。何で戦闘用奴隷なんて欲しがってんだ?最近みんな俺に向かって言ってたボッチってやつ?ダンジョン攻略にでも連れてって肉壁にでもすんのか?
そんな考え事をしていると、俺と獣人2人が呼ばれた。その2人もちみっこだし、やっぱり幼女大好き野郎め
口に出すわけもなく、奴隷商人について行く
はっ、オレを選んだら殺してやる
どうやら奴隷商人達はオレが元の主人を何人も殺してることは隠すようだ。好都合だった
「あなたが、ボクたちを呼んだ人?」
白狼がそういった。白狼ってのは、まぁ獣人内での種族名だな。エルフとダークエルフって感じ
「そうだね。ちょっと話がしたくて」
そう笑うコイツは、内心では笑ってなかった
見定めるような、こちらを探るような感じがする
「君達さ、冒険者が出来るくらい強いと聞いたけど、どうなの?」
こっちの力を疑ってんのか?
ちょうどいい、喧嘩でもフッかければついでに消せるだろ。ノらないと思うがな
「オレは、強い。なんなら今ここで試してみるかァ?」
ニヤついて、そう言ってみる。こうすれば大体のやつは怯むんだよな。……そんな怖いか?
オレは別に戦闘が好きじゃない。どちらかと言うと嫌いだ。でも、やらないと生きてけないから仕方なかった。今では、こういうの慣れた
だが、今回の主人 (仮)は全然こたえていないようだ
挙句の果てに
「ええ、やるだけやってみましょう」
なんて言い出した。マジかよこいつ、獣人の身体能力舐めてんのか?
子供とはいえ、普通の人族なら瞬殺できる位のスペックはある。こいつ、もしかして勝てると思ってんの?
「さぁて、誰から来る?」
「勿論、オレから」
ついそう答えてしまった。本当は残りのふたりで力を試すつもりだったが、何でだろうな。コイツはオレがしっかり試さないといけない気がした。というかふたりでは相手にならない、と思った
第一印象はひ弱そうな金持ちだったが、今は胸がざわつく。コイツは、かなり強い
早く闘ってみたい、殺りたい!
こんな気分は初めてだ。これがジジイの言ってた惹かれるってやつか?気分が高揚して体が火照る
「いいよ。ルールは降参もしくは死にそうになったら終わりだ」
「後悔すんなよなァ!」
勢いよく駆け出す。火照った体を冷ますように冷たい風が肌を撫でる
ここまま突っ込むのもいいが、それじゃあ勝てねぇ
様子見にアイツの周りを回った。普通見えねぇ筈だがアイツはしっかりと俺を捉えていた
隙がない。このままでは体力を削るだけだ
オレは飛び上がって、かかと落としをする
人族は上下の視野の移動に弱いって聞いた。これなら、少しは見失うかもしれないと思った
まぁ、実際はそんなことは無かったけど
「なっ!」
手で軽く横に押されて、体スレスレで避けられた
しかも避けつつこちらに拳を振るう
「ガッ!」
危なかった。少しでも反応が遅れていたら、ガードは間に合わなかっただろう
ホッ、と一息ついていると、アイツは腕に力を入れたままなことに気がついた
おいおい、まさか。そのまま振るっちまうんじゃあ……結果はそのまさかで、不意をつかれて受け身をとることも出来ずに壁にぶつかった
その直前に、何故か風で出来たクッションのようなものにあたり、ダメージは無かった
ここまで何も出来ないとは
悔しい、でもそんなところが眩しくて、かっこよく見えた。何でだろうな。これも獣人の血ってやつかな。それともあの両親の?
……どうでもいい。今は、アイツ目掛けて全力を尽くす。それで、オレを選んでほしい
オレの心の中は、それだけだった。だから、ただ真っ直ぐに、速く、全力を込めて突っ込んだ
(コイツが、今のオレの全力!)
少しでも、届いてくれ。そう願って拳を振るう
その願いも虚しく、上に避けられて空を切るオレの拳。そして、背中に衝撃をもらって地面に叩きつけられた。その時
「少し、服が切れたな」
その声は、オレにしか聞こえていないようで、アイツも気付かないうちに呟かれた言葉
願いは届いていたようだ
少しは届いてよかった。これで認めてもらえるだろうか。それが心配だ
「はい、終わり。次は2人だけど?」
首を全力で振る2人を見ながら、楽しいと感じた。こんな気分も久々だな
「おい、足どけてくれ」
「あ、ごめんごめん。お疲れ様」
優しく微笑むその笑顔はほんとに嬉しそうで、こちらもドキッとさせられてしまった。全く、オレは奴隷なのに何を考えているのやら
拘束されながらもそんなことを考えていた。買われるなら、この主人がいい
そして、その願いはしっかり届いてオレは、いやオレ達は買われた
そのへんの話は、また、だな