要塞都市ダイモン
〜夜の森〜
秋人 「和光、テントと布団は何人分ある?」
和光 「2,3人用が3つと4人用が1つ。布団は全員分と予備1個」
直也 「寝袋じゃないのかよ」
和光 「無かったんだよ!うるさいなぁお前は」
俺 「魔物って食えるのかな?」
モカ 「あの辺の牛型の魔物であるカーウは美味い。取ってこようか?」
俺 「俺も行くよ」
モカ 「そ、そうか!手順を教えるから血抜きまで覚えてみるか?」
俺 「ありがと。解体も教えてくれると助かる。ブロックにしたら暦さんに渡せばいいから」
暦さんとは、女子生徒の名前だ
あの、和光といい仲の人
直也 「テント、割り振りどうする?」
涼太 「俺はマールと一緒のとこね」
俺 「俺はモカと入れといて」
ハクア 「私も…拓にぃの…とこ」
俺 「それなら。涼太、マール。秋人、直也。和光、暦さん。俺、モカ、ハクア、杏子さんだな。おっとぉ、ひとグループだけホモホモしーなぁw」
秋人・直也 「うっせぇ!」
俺 「肉とってきまーすw」
とまぁ、サバイバル生活1日目はあまり困ることは無かった。元から準備してたしね
準備が終わったら飯を食って寝る。見張りはテント順でやる。モカとハクアとマールは経験者なので別ルーチンで、1人は居るようにした
経験者が居ないと、何かあった時テンパるからな
〜夜、テント内〜
「タクミ。そっちの布団に入ってもいいだろうか…?」
モカがそんなことを言ってきた。ヤバイ、少し照れてるのがほんと可愛い。こんな娘が慕ってくれてるだけ恵まれてるよなぁこの世界での俺
「えっ、と。いいけど、どうしたの?」
「ん、今晩は冷えそうだからな。それに今は君を感じていたい、そんな気分なんだ」
「……そっか。狭いけど、どうぞ」
「う、うむ」
モゾモゾとこちらの布団へ入ってくるモカ
その反対からもハクアと杏子さんが入ってきた
「ずるい…私も」
「あ、じゃあウチもぉ〜」
せ、狭い。流石に4人密着は無理がある気がする
これも嬉しい悲鳴ってやつかね。なんか違う気もするけど
「はいはい、見張りあるんだから休める時に休む」
俺はそう言ってハクアと御影杏子 (長いので今後杏子さんとする) の背中を軽く叩く
「今は…これで我慢する…すんすん」
「あははぁ、正論だぁねぇ」
ハクア、匂いを嗅ぐのはやめなさい
◇◆◇◆◇◆
「和光と暦さん、交代」
「おう。もう眠いわ。何にもなくて良かったけどさ」
俺は和光と手を打ち合わせて見張りを交代する
ハクアと杏子さんと暦さんも真似して手を打ち合わせていた
モカはまだ見張りの時間ではないので寝ている
さっきまでははマールちゃんで、今からはハクアだ
「さて、もうすぐ夜明けだしもう少し頑張ってこー」
「「おぉー」」
……まぁ、何も無かったんですけどね
2時間くらいで皆起きてきて、朝ご飯になった。見張りの時間は思ったより短かったなぁ
直也 「今日どこまで行けそう?」
和光 「モカさん、どうですかね?」
モカ 「そうだな……少なくとも半分位はいけると思うぞ。昨日のペースで行ければな」
俺 「ほい、あーん」
ハクア 「んぁーん……うまぃ」
杏子 「あぁ、ウチもぉ……あーん。ウマウマ」
涼太 「マール、あーん」
マール 「あーん!うぅん、美味しい!……はい、お返し!」
涼太 「おぉ!あーん。美味いなぁ」
モカ 「……マサミツとナオヤすまない……混ざってきていいだろか」
和光・直也 「はは、どうぞ」
モカ 「タクミ!ワタシにもくれ!」
暦 「ま、和光君!ど、どうぞ…」
和光 「お、おう。ありがとう……美味い」
秋人 「直也ほれ!」
直也 「ウワキモ。僕ホモの気無いんで」
秋人 「」
◇◆◇◆◇◆
「お、壁が見えてきた」
先頭にいた秋人がそう言った
「おぉ」
追いついて見えたのは、高い壁に囲まれて中が見えない街だった。いや、ほんと壁しか見えない
「あれが要塞都市で、隣国の最重要拠点だ」
モカがそう説明してくれた。そういえば、前の街の名前も知らないな、俺。まぁいいか
「では行こう」
モカに続いて、俺達は要塞都市に向かって歩き出した
◇◆◇◆◇◆
「ようこそ、要塞都市ダイモンへ。旅行者かな?」
鎧で見を固めた兵がそう声をかけてきた
「そうだな。許可証をくれるか?身分証明は、これでいいだろう」
モカが、ギルドカードを差し出した
「ギ、ギルドマスター?」
「隣国のギルドマスターをやっていたが、隣国は閉鎖。そこを脱走した身でな。深く聞かないでくれると助かる」
「そうでしたか。深くは聞きません。ここはそういう街です。後ろの方々も隣国から?」
「うむ。元学生達だ」
「分かりました。では、10人ですね。お金はありますか?入国料として1人金貨1枚です」
「持ち金……金貨は30枚あるな。ほら」
「……確かに受け取りました!改めて、ようこそ、ダイモンへ!貴方がたに守護神の御加護を」
敬礼を決めて俺たちを見送ってくれる兵士さん。いい人もいるもんだ
街に入ると、大通りが目に入った。だがあまり活気が無い
「行くぞ。宿は向こうだ」
俺達はモカについて行く
しばらく歩くと、宿があった
少し古いが、しっかりした建物だ
モカが入ると、俺達もそれに続く。何だか頼りっぱなしだ。お礼しないとなぁ
「店主はいるか?」
「はい、お客様ですか?」
「あぁ、10人居る。部屋は幾つある?」
「そうですね……個室は2人部屋が3つ、1人部屋が5つ、4人部屋が3つです」
「そういえば、タクミ。部屋割りはどうするんだ?」
考えてなかったが、テントの時と同じでいいだろう
「テントと同じでいいよな?」
俺は、後ろにいる和光に声をかける
「いいら」
という事なので、俺は手で丸を作りモカに伝える
「2人部屋を3つと4人部屋を1つ」
「かしこまりました。合計金貨1枚です……はい、確かにいただきました。こちら部屋の鍵になります。体を拭く水は別料金。食事は夕食のみ付けさせていただいています」
「分かった。では行こうか」
モカは鍵を配って部屋に向かう
手際がいいなぁ
◇◆◇◆◇◆
俺達は1時間後に宿の前に集合することにして、それぞれの部屋で少し休むことにした
「さて、これからどうする気だ?」
部屋に入ってそうそう、モカさんがそう聞いてきた。ハクアと杏子さんもこちらを見ている
「……実は考えてないです」
「……は?」
「……?」
「あははは!」
杏子さん、笑わんでよ……
「いやー、とりあえず杏子さんが死ななければ良いかなって。あの国?街?が潰れようと杏子さんが死ななければリセットされない訳で」
「だが、あの街が起点なのだろう?」
「起点ってだけですよ。修復は出来なくても補強はできる。とりあえず冒険者としての名を上げたい。影響力が出ますしお金も稼げて一石二鳥。今後の活動にも使えそうです」
敵は天使。それも数が多い。なら、人類総出で対処するしかない。その為に他国を纏めあげる
そんな計画なんだけど……と話した
「無理だろうな」
「多分……無理」
「流石に纏まらないんじゃないかなぁ」
ま、そうだよなぁ。簡単に纏まれば楽だけど
「ま、それでも名声は役に立ちますし。最悪ピンチになれば、人は割と纏まっちまうもんですよ。きっかけさえあればね」
そのキッカケを、作る為の土台作りの一環としての名声。それに金。この二つは最低でも欲しい
後は行動する人が沢山居ればなぁ
俺は、そう考えていた
楽観的であると言われても構わない。俺達には今、これしか出来ないのだから