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異世界では何がしたい  作者: リア友
学園編的な
12/31

逃走と闘争

明けましておめでとうございます


新年1発目。小話にするか悩みましたが、本編を進めることにしました

今年も宜しくお願いします





「よし、始めよう」


作戦決行日、つまり御影杏子の処刑の日。俺達は処刑台の前に居た


何で公開処刑にするんだろう。個室で殺したりすればいいのに。まぁ、今俺達には好都合だからいいけどさ


「直也と和光。準備は?」


「できてる」


「同じく」


最終確認を済ませて、俺達は広場から姿を消した

まぁ、モカが前に使っていた姿を隠す魔法だ。案外簡単に使える


「散開。持ち場に」


「「応!」」


3人別々の方向へと向かう。俺は処刑台の後ろ

和光は近くの建物の屋根。直也は退路の確保

人数が少ないので、1人1人やることが多い


まず直也は退路の確保と万が一の為、住民に結界を張る役。後は怪我の治療か


和光は御影杏子の手錠を狙撃して破壊。それに邪魔者の排除


俺は手錠を外した御影杏子の確保及び街の外への逃走。壁に穴を開けてそこから出る。それと、モカを止めることだ


3人なのでやれる事はこれぐらい、だと思う。まだ高校生だし、あんまり頭良くないからこれぐらいしか思い浮かばなかった

全て、出来るだけバレずに速やかに行う事。これを徹底していきたい


◇◆◇◆◇◆


「これより!罪人、ミカゲアンコの処刑を始める!」


ついに始まった。これを止められなければ、俺達はここに来ていないことになり、またあの無駄に思える人生を送らなければいけなくなる。それは阻止したい


タイミングを伺っていると、台の上の御影杏子がこちらを見た。気のせいでもなく、俺をしっかりと認識している


待ってろ、俺は声に出さずに口を動かした

そして、それは確かに伝わったようで、御影杏子は微笑んだ、待ってる、と口を動かして


さぁ、この世界で最初の使命、と言っとこ。何かカッコイイし!

中二病?……ち、違うし


「では、処刑人。前へ」


2人の男が剣を持って御影杏子の左右に立つ。2人で首を落とすのだ


「死ぬ前に、何か言いたいことはあるかね。ミカゲアンコ」


「そうだねぇ。ウチは、もっと生きたい」


その言葉で、俺達は行動を始めた。事前に決めていた通りに御影杏子の言葉で他の2人も動いていた


パリンッ!


「「「なっ」」」


処刑人と司会?と言えばいいのかな。そんな感じの人が驚いている。和光の遠距離狙撃で2人の剣と御影杏子の手足枷を撃ち抜いたのだ


混乱のスキに俺は体裁きと速度を生かして、人目につかないよう御影杏子を攫った

恐らく、殆どの人には突然消えたように見えただろう


それを見て直也と和光も即離脱。もしもの為に結界を張る役を作ったが、必要なかったな。緩い警備でよかった


「負担はあると思うが我慢してくれよ?」


「大丈夫だよぉ。そのまま、走ってぇ」


お言葉に甘えて、俺は壁に向かって走る。その途中には、かなりの広さを誇る丘がある。木も生えていない、本当にただの丘。そこに、恐らくいるだろう


ーーーーーだよなぁ



「思ったより、早かったな」


モカはそう言って、剣を抜いた


「通しては、くれないですよね」


「無論だ。ワタシは任務でここにいる。放棄することは認められない。……君こそ、彼女を置いて普段の生活に戻るという選択は?」


「無いです。聞いていたでしょう?俺は、まだこの世界を楽しんでいない」


「そうか。では、剣を抜くといい。ワタシの決意は力で押し通す。君の決意は、ワタシの決意に勝てるかな」


予想通り、こうなるよなぁ。残念だが、決着をつけねばならない


御影杏子には、下がっていて貰う


「少し早いですが、卒業試験を受けるとします」


「うむ。全力で来い。ワタシも全力をもって君を止めると約束しよう」


最後の難関。これを超えなければ、この先のことはやっていけない。他の最上位冒険者や、国の騎士。ましてや国なんて夢のまた夢になる。それではダメだ


「俺は今日、貴女を超える」



ふたりの姿が消えたと思った次の瞬間、2人が立っていた位置のちょうど真ん中で、剣を打ち合っていた


超高速の剣舞、周りには何もなく、聞こえてくるのは剣が空を切る音と、相手の呼吸。そこは二人だけの空間だと言えた


「どうした!顔がにやけているぞ!」


「モカこそ、笑ってますって!」


ふたりの顔には自然と笑みが浮かぶ

しかし、勢いは留まるどころかなお激しさを増していった


剣の一振りで地面を抉り、刃に触れずとも肌を傷つける。互いに少しずつ傷を増やし、それでもなお勢いが収まることは無い。己の決意の為に


背後からの突きを避け、そのまま体を捻りカウンター気味に袈裟斬りを入れる

モカはそれを剣で受けた、その時


パリッーーー


モカの剣が、欠けた


あれだけ激しい打ち合いだ。普通の剣であれば刃こぼれしてもしょうがないだろう。しかし、俺の剣は壊れない木剣。欠けることは無い


「はぁ!」


俺はモカ目掛けて剣を振る。彼女がこれぐらいで止まるわけがない


「はぁあ!」


欠けた剣を魔法で強化して受け流す。やはり止まらなかった。しかし、その一撃で剣は壊れた


「剣が壊れたら、拳がある!」


懐に潜り込み、鳩尾を狙った掌底を放たれる


「ぐっ!」


何とか左腕で受けることが出来たが、回復するまでは使い物にならないだろう。衝撃も殺しきれず、体に少し抜けている


休む間もなく、右脚の蹴りが顔面に向かってきている

俺は剣を投げて、右手で足を上に打ち上げる

そこから左脚を狙って蹴りを出すが、流石に入らない

しかし、右脚に少しダメージが入ったようで、違和感があるようだ。まぁ、決定打にはなり得ないんだけど


左腕が痛むが、そんなことを気にしている場合ではない。ダラリと下げたまま、構える


モカも調整が終わったようで、既に構えていた


会話も無く、再開


モカが真っ直ぐ、そして速く()んだ


「っ!」


辛うじて見えていた俺は、突き出す腕を掴み、勢いを利用して地面に叩きつけた


「がはっ!」


轟音と共に地面にヒビが入る

追撃で胸を狙い拳を打ち込む


少し浮いた体が、もう一度地面へと叩きつけられた

モカは、立ち上がらなかった





俺の、勝ちだ


◇◆◇◆◇◆


〜モカ視点〜


身体中が痛む。そう、ワタシはタクミに負けたのだ

手を抜いた訳では無い。ただ単純に、強かった


……体が動かない。ははっ、最上位冒険者になってから、こんなに清々しい負けなど無かったな


ワタシは、目の前に立つ勝者に賛辞を送る


「……おめでとう。君の、勝ちだ」


「えぇ。勝ちました」


そう無邪気に笑う笑顔に胸が高鳴る。あぁ、やっぱり、ワタシはもう彼に心から惚れている。ここで立ち塞がらなかったら、彼についていってこの街を抜け出していたら、楽しかっただろうな……


この道を選んだ後悔と再確認した感情は、ワタシに涙を流させるには十分だった


頬を涙が伝う

そんな涙を、指で拭った彼は言った


「どうしたんですか?泣かないで。さぁ、一緒に行きますよ!」


一瞬、何を言っているのか分からなかった


一緒に、行く?立ち塞がったワタシと?


そう聞くと、彼は頷き、「勝ったら、モカは俺の物」と、あの日交わした約束を持ち出してきた


「モカも、俺達を手伝って!6人じゃあ、神様は止められない」


手を差し出して来る彼。その手を取れば、ワタシは幸せだろう。国を裏切り追われる身となっても、それは変わらない


でも、その資格はあるのかと悩んでしまう


……そして、ワタシは決めた


「しょうがない、な。微力ながら、力になろう。愛する君のためなら、ワタシは悪魔にも魂を売るよ」


少し恥ずかしいが、言わなきゃいけない


「その代わり、ワタシを幸せにしてくれないか?」


彼は驚いた。でも、すぐに笑った


この選択は、きっと後悔しないだろう


「全力で、幸せにするよ」


そう言った彼とワタシは、唇を重ねた






◇◆◇◆◇◆


驚いた。モカが交換条件として「幸せにしてくれないか?」と言うとは思わなかった


でも、嬉しかった。俺からだけではなく、彼女からも求められて。恥ずかしくもあるけど、それより今は嬉しい


衝動的にキ、キスまでしちゃったし!

あぁ、唇、柔らかかったなぁ


「トリップしてるとこ悪いけど、追手が来てるよぉ」


少し、頬を染めつつ拗ねたように言う御影杏子


そうだ、今は逃げなきゃならない


「モカ、立てるかい?」


「すまない、肩を貸してくれ」


俺は肩を貸す、のを止めてモカをお姫様抱っこする


「なっ!こら!肩を貸してくれれば走れる!」


「俺がしたいからしてるの!杏子さんは背中乗って!」


「はいはーい」


真っ赤になっているモカを無視して(堪能して)

御影杏子が背中に乗ったのを確認すると、背中と腕の中の柔らかさを堪能する暇もなく走った


壁はすぐそこだ


◇◆◇◆◇◆


「村氏!こっち!」


「何で抱えてんのw」


直也と和光が呼ぶ声がする


「お、あそこか」


既に穴を開けていたようで、かなりの大穴が見える

その向こうに4人と、他にも何人かいるのが見えた


「駆け抜けろ!」


言われた通りに穴の外へと駆け抜けると、4人がかりで穴を埋めていた

そんなに大穴開けなければよかったのに


しかし、俺達は逃げ切った。とりあえず一休みできそう、という訳もなくすぐさま隣国まで逃げる。追手を撒くのと、宿を取れるところを探すのだ


お尋ね者になったと思われる俺達は、これから逃亡生活を送らねばならない。頑張るぞ!……はぁ



そういえば、ここには誰がいるか確認してなかった



「秋人。ここには誰がいる?」


移動中に一人一人確認する元気は無いので、纏めて守っていた秋人に聞く


「えっと、まず俺ら5人な。モカさんと御影さん。マールちゃん。後、女子生徒が1人」


女子生徒?誰だろ


「何か、和光に気があるみたいだったぞ」


へぇ……そっかぁ(ニヤリ

ま、これから進展して欲しいね


「あぁ、それと……」


秋人が何か言う前に、俺の背中に衝撃と柔らかさを感じた


「いってぇ!な、なんだ!?」


「拓にぃい!心配……したんだよ」


抱きついてきたのは、ハクアだった


「ハ、ハクア!痛い!痛いから!」


「ぅあ…ごめん……でも、ホントに…心配した…」


泣きそうになりながら謝るハクア


「落ち込まないで。心配してくれてありがと」


ハクアの頭を撫でる。嫌がるかと思ったが、むしろ嬉しそうでよかった


「ハーレム作ってるよ村氏」

「くっそ、羨ましいなぁ」


後ろで直也と秋人がボヤいてるが、気にしない!

悔しかったら和光みたいに頑張れ


さて、先は長い。これからのことを相談もしないといけないし、その他のことも、な

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