表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/39

閉ざされた心

今回は少し短いです。

 ユーリが光の粒子となって消え死んだ後、横から「やったぜ!」って声が聞こえ俺の中で何かが壊れた。

 そして俺の中で黒い何かが蠢く。

 人を殺して「やったぜ!」だと……?

 人の命を何だと思っている!?


「お前がやったのかぁぁぁあああああ!!」


 俺の中で何かが壊れた瞬間、自分の感情を爆発させるように叫びながらそのプレイヤーに向かっていた。


「ひ、ひぃ」


 俺の形相が余程恐ろしかったのか、それとも、魔法使いの苦手な近接距離に入って死を恐れたのか分からないが、そのプレイヤーは腰を抜かした。だけど、俺はそのプレイヤーに対して何の躊躇なく剣を振るい続ける。


 俺がやっている事はこいつらと同じだ。

 同じプレイヤーである『人』に対して剣を振るっている。

 さっきもそうだ。

 ユーリを助けようと俺は二人のプレイヤーを殺した。

 さっきは罪悪感を感じたけど今となってはそれもない。

 あるのはユーリの命を奪った奴らに対する憎しみ……憎悪だ。

 ユーリはこの世界で一生懸命生きていた。

 元の世界に戻れる事を信じて夢に向かって努力していたのに……それを止める事なんて……奪う事なんて誰にもできるはずがないのに……それなのに……それなのにお前らはっ!!!!!


 手にさっきの二人を殺した時と同じ、モンスターを斬る時とは違った感触が伝わる。

 男は「悪かった!」「許してくれ!」と叫ぶが俺の元には届かない。……いや、正確には音として認識しているが、俺の脳がその意味を理解する事を拒否している。

 理解してしまったら俺の心が壊れそうだから……。


 俺の手に伝わる感触が示す通り男のHPゲージは見る見る間に減り最終的にはなくなり男の身体は光の粒子となって消えていく。

 

 そして、俺はユーリにとどめを刺した奴を殺しただけで止まらず、俺達を襲ってきたPKプレイヤーを手当たり次第この手にかけ続けた。



 それからどのくらいの時間がたったか分からないが、PKプレイヤー達は俺と体制を立て直したフライヤさん達によって勢いをなくし形勢が悪いと判断すると手を引くように一気に去って行った。

 俺はPKプレイヤーを追いかけようとしたが、「助けてくれ!」という遠征隊の叫び声が聞こえた瞬間、頭にユーリの姿が頭をよぎりその言葉の意味を脳が理解する。

 そして、同じチームのプレイヤーを助けないといけないと身体がそちらに反応する。

 振返るとそこには熊型のモンスターがプレイヤーを襲おうとする光景が目に入り、その光景を目にした瞬間俺は駆け出していた。


 ……もう仲間が目の前で死ぬのはたくさんだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ