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守護神 時の神

「グォォオオオオオオ!!!」


 時の神は声を上げると共に何処からともなく杖を出して構えた。

 時の神というくらいだから何か言葉でも話すのかと思ったけど、やっぱり迷宮の守護神……クエストのボスのいう事でモンスターという位置付けなのか、言葉を発する事はなく叫び声をあげただけだった。


 そして、倒すべきモンスターという位置付けというのを表すように、HPゲージが表示されていてその数は四本。今の攻撃で削れたのは一本中の十分の一程だ。ボス級モンスターとしては決して多いHPではないが、やはり守護神という事もありこいつは防御力も高い。このクエストに参加できるのは三人までだけど今は俺一人だ。だから決して余裕があるとは言えない。でも、俺は……やらなければならない!


「うぉぉぉおおおおお!!!!」


 時の神と距離を取っていた俺は相手の動きを見るべく、神剣エアリアルを手に時の神へと再度詰め寄る。

 さて、魔法による攻撃かそれとも意表を突いて物理攻撃で来るのか……

 すると、時の神は何処からか出した杖を上に掲げる。そして、杖の先が何やら眩く光る。

 いったい何が……?


「っ!? ぐぁぁあああ〜!!!」


 次の瞬間、上空から雷がフィールド上へ降り注ぐ。その範囲は時の神を中心から三メートル離れたところから十メートル程。

 距離を取って時の神へ近づこうとしていた俺は雷が降り注ぐ前に近寄り切る事が出来ずに雷の範囲に入り雷を食らってしまう。


 ぐっ……まさか雷魔法とは……そんな上級魔法を使うなんて……しかも、無詠唱で使用……さすがにこの報酬……懺悔の涙は伊達じゃないって事か?


 WOFの世界には魔法使いがいるが、その魔法使いが使える魔法の属性は基本、火、水、土、風の四属性だ。それ以外にも今の雷、氷、時空、重力といった魔法が存在するらしいけど、少なくとも俺はあの悪夢の日以前にはそれらの魔法を習得したというプレイヤーの情報は聞いた事がなかった。

 それは無詠唱スキルも同じであるとは噂されていたが、実際に習得しているプレイヤーを見る事はなかった。


「くっ……」


 俺は雷魔法を食らった事で身体が痺れて動く事が出来ず、片手片膝をついた状態から動く事が出来ない。

 そうか、雷魔法には麻痺効果も付与されているのか……。


 そして、動けない俺に時の神は近寄り杖を振りかざす。


「グハッ!!」


 次の瞬間には時の神が振るった杖が俺の左脇腹辺りを直撃し、俺は吹き飛ばされ地面を転がる。


「くっ……」


 さっきの雷魔法と今の物理攻撃によって俺のHPゲージは三分の一くらい削られる。

 レベルを上げている俺でもこのダメージか……くそっ!


 俺は動こうとしない身体に信号を送りながら思考を加速させる。

 なぜ今雷魔法で攻撃して来なかった? 雷魔法が使えるなら遠距離から攻撃する方が安全なはずだ。……もしかして、雷魔法はリキャストタイムが長いのか?


 本来なら魔法は詠唱を行った後にもう一度詠唱すればすぐに使用出来るようになっているが、強力な魔法になるほど詠唱は長く連発は出来ない。

 さらにそれ以上に強力な魔法になるとリキャストタイムが設定されていて一度使用するとある程度の時間は再使用が出来なくなると聞いた事がある。

 もしかしたら、時の神の雷魔法はそれにあたるのかもしれない。

 だとしたら雷魔法を避けた後に接近すれば……。


 とにかく今は距離を取って回復しないと!


「くっ……!」

 

 俺は雷による麻痺と先ほど吹き飛ばされた衝撃でいう事が効かない身体をなんとか動かそうと身体に命令を送る。

 幸いな事に時の神は動き自体は速くないので連発で攻撃を喰らう事はなさそうだ。しかし、いつまた雷魔法を使ってくるかわからないし早く動かないと!


 俺は少しずつだが動くようになった手でウインドウを開き万能薬を取り出す。万能薬は少しレアなアイテムだけど、毒による麻痺ではないし麻痺を治すのはこれしかない。


 俺は小瓶に入った万能薬を具現化させると口まで持って行き一気に飲み干す。

 よし、これで動ける!!


 身体は多少衝撃による痛みはあるけど、問題なく動けるレベルだ。

 俺はすぐさま時の神と距離を取り構える。

 今のところ雷魔法を使う予兆はないし他の魔法を使う様子もない。

 ならば……。


「うぉぉおおお!」


 俺は再度、時の神へと駆け寄る。

 すると案の定時の神は雷魔法を使用する事なく、杖で俺を飛ばそうとしたり、杖を持っていない方の手で俺を払い除けようとする。

 でも、時の神はレベルを上げ神剣エアリアルを手にした俺のスピードの前では敵ではなく、俺はその攻撃をかいくぐりながらダメージを与える。

 

「なにっ!?」


 しかし、時の神もそんな単調な攻撃ばかりではなく、まとわりついてある程度の時間が経つと自らの危険を顧みず自分を中心に雷魔法を放ってきた。


「ぐぁぁあああ!!!」


 それによって俺はまたダメージを受けるのと同時に麻痺になってしまう。

 そして、動けない俺に時の神は先ほど同様に近寄り杖を振りかざす。


「グハッ!!」


 さっきと同じように時の神が振るった杖が俺の左脇腹辺りを直撃し、俺は吹き飛ばされ地面を転がるが、今回は飛ばされた方向が悪く、すぐ近くに壁があった為にまだ時の神の射程圏内に入っている。


「くっ……」


 俺はさっきと同じ場所に受けた衝撃の麻痺によって動けず、雷魔法と今の物理攻撃によって俺のHPゲージは三分の一くらい削られている。


「グハッ!!」


 そんな俺に時の神は杖を上から俺の鳩尾に振り下ろす。

 鳩尾から脳に痛みの信号が送られるのと同時に、鳩尾に受けた衝撃で呼吸困難になる。


「うっ……はぁ、はぁ……」


 上からの攻撃だった為に俺の場所は変わらずまだ時の神の射程距離のままだ。

 くそ……やっぱり守護神相手に一人で挑むのは無謀だったか……エアリアルを手に入れた時に守護神を一人で倒して天狗になってたか……いや、あれも結局は一人で倒していない。最初にエアリアルを手に入れた時もレンのアドバイスがなければ倒せなかったし、今回もラウルさん達が最初にHPゲージを削っていたところをレンの教えてくれた攻略法で倒しただけだ。結局、俺は一人で何も出来てない……。


 時の神は俺に情けをかける事なく再度杖を振り上げる。

 俺はこのままここで死ぬのか……。


 その時だった。

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